Evernoteで手帳2019/読書手帳2019
Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2019/01/07 第430号
はじめに
はじめましての方、はじめまして。 毎度おなじみの方、ありがとうございます。
さて、2019年になりました。
去年は最終号が大晦日だったので、新年一発目が7日とまったく正月感ない配信となっていますが、とりあえず、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
先週号は、大晦日ということで特別号でしたが、今回も年始一発目ということで特別号です。まったく遠慮なく、マニアックな話を繰り広げておりますので、お楽しみ頂ければ幸いです。
本編に入る前に、今週のQ(キュー)を一つ。正解のない単なる問いかけなので、脳のウォーミングアップにでも考えていただければ幸いです。
Q. 今年の目標はなんですか。どんな一年にしたいと思いますか?
では、さっそく本編に入りましょう。「Evernoteで手帳2019」と「読書手帳2019」という二つの手帳的なお話です。
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2019/01/07 第430号の目次
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○「Evernoteで手帳2019」
今年のEvernoteの運用スタイルを紹介します。長いです。
○「読書手帳2019」
今年から新しくはじめた「読書手帳」について紹介します。
※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。
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○「Evernoteで手帳2019」
先週、もしEvernoteで手帳を実現するならどうすればいいかについて考察しました。
人間というのは不思議なもので、そういう想像(妄想)を働かせると、実際にやってみたくなります。で、実際にやってみました。
今回は、2019年にEvernoteを手帳的に使っていくために準備したもろもろを紹介してみます。
■旧ノートの処理
まず考えたのが、2018年のデイリーノートの処理でした。
去年の私も、365枚のデイリーノートを作り、それを日記帳的に使っていました。
当初は、未使用のものを〈day/stock〉というノートブックに入れ、そのノートを使う日がやって来たら〈inbox〉に移動させ、週の終わりの週次レビューのときに、一週間分のデイリーノートを〈worklog〉に移動させる、という運用を行っていました。
図示すれば以下のような流れです。
〈day/stock〉…1月1日,1月2日,1月3日・・・・12月31日
↓
〈inbox〉…(今日が1月3日なら)1月3日
↓
〈worklog〉…(一週間経ったら)1月1日,1月2日,1月3日
しかし、去年の途中から、「ワンノートブックシステム」で運用するようになったので、〈worklog〉に移動するのは止めにして、そのままinboxにたゆたわせるようになりました。それでも、未使用のものが入った〈day/stock〉から〈inbox〉への移動は健在です。でないと、〈inbox〉の中身が、しばらく使う予定のないノートで溢れかえるからです。
しかし、2018年の年末には、〈day/stock〉はほとんど空になり、その大半が〈inbox〉と〈worklog〉に移動されていました。このノートたちをどうするか?
「ワンノートブックシステム」の理念で言えば、それらのノートがinboxに残っていてもまったく問題はないはずです。しかし、現実的に考えて、去年のデイリーノートを頻繁に参照したいということが起きるかというとかなり微妙です。
所詮それらは、日記であり、ログでしかありません。それらを素材にした情報の再生産が起こる余地は高くありません。
というわけで、それらのデイリーノートは、2018年というタグを付けたのち、そのすべてを〈worklog〉に移動させることにしました。幸いデイリーノートには{diary}というタグがついているので、一括操作は楽チンです。
これで、〈inbox〉から2018年のデイリーノートはなくなり、〈worklog〉にそれが集まり、〈day/stock〉は空っぽとなりました。これで準備は万端です。
※ちなみに、移動させたのはデイリーノートだけで、2018年に作成したアイデアノートなどはinboxに滞在し続けています。
■デイリーノートの作成、の前に
ノートブックの準備が整ったので、続いてデイリーノートの作成に取りかかりました。365日分のノートを「手作り」するのはさすがに困難ですから、簡単に使えるAppleScriptでEvernoteを操作します。
去年も同じように作成したのですが、今年は少し違う思惑があります。365日分のデイリーノートを作り、それぞれのノートの作成日を、ノートのタイトルと同じ日に合わせる、という思惑です。
つまり、
1月1日(のデイリーノート)…1月1日に作成されたことにする
1月2日(のデイリーノート)…1月2日に作成されたことにする
1月3日(のデイリーノート)…1月3日に作成されたことにする
…
12月31日(のデイリーノート)…12月31日に作成されたことにする
ということです。
AppleScriptを経由すれば、作成日の変更は簡単にできるので、私の脳内では簡単に行けると踏んでいました。去年使ったプログラムをちょこっと変更すればすぐ実装できる、と。
そう思って、プログラムのコードを覗いてみると、かなり悲惨な状況に遭遇しました。コードがとっちらかっていて、どこにどう手を加えればいいのかわからないのです。
原因は、安易な改修でした。もともと「一週間分のデイリーノートを作り、それらのノートリンクを含む一週間ノートを作る」というプログラムがあり、それを少しアレンジして、「一年分のデイリーノートを作る」という目的のために使っていました。その際、コードの細部に手を加えずに、たんに「7回これを繰り返す」を「365回これを繰り返す」に書き換えただけだったので、コードに整合性がありません。
たとえば、一年分の日付を保存する変数の名前が OneWeek とかになっています。こういうコードは非常に読みにくいものです。しかも、冒頭で宣言しているのに、以降まったく参照されていない変数もちらほらありました。小学生の甥っ子が遊びに来て、そのまま片付けずに帰っていった部屋、のような状況です。
一瞬、既存のコードを改修するのではなく、一から書こうかとも思ったのですが、この「悪癖」を直さない限り、私の生産性が向上することはなさそうだと思い、使うコードを書く前に、まずコードのリファクタリングを行いました。
※この辺は、去年読んだ『リーダブルコード』の強い影響を受けていると思います。
今、わりと大げさな風に書いていますが、実際やっていることはせいぜい100行ぐらいのコードの、十数行を手直しするだけです。変数を適切な名前にし、不要な箇所は削除し、よりわかりやすい形に書き直す。それだけです。全体のロジックを動かすようなことは何一つしていません。本当に小さな手入れです。
しかし、その小さな手入れを怠っていると、「同じように使う」ことはできても、「アレンジ」がしにくくなるのです。この辺は、アイデアメモとかノートの取り方についても同じことが言える気がします。
■コードの実装
コードのリファクタリングが終わったのち、求める機能を追加しました。
できあがったコードは、以下に保存してあります。
◇Evernoteに365日分のデイリーノートを作成するAppleScript
https://scrapbox.io/rashitamemo/Evernoteに365日分のデイリーノートを作成するAppleScript
流れを簡単にまとめると、こんな感じです。
・2019年1月1日の日付を設定する
・その日付を起点にして、「+1日」を365回繰り返し、それぞれを保存しておく(365日分の日付データ)
・日付データを用いて、「○月○日」という文字列と「○曜日」の文字列を作成し、それをタイトルにしたノートをEvernoteで作成する(365個のノートができる)
・いったんそのノートたちを同期させる(同期が終わるまで処理を進めない)
・それぞれのノートに、前後の日付のノートリンクを貼り付ける
・さらにノートのテンプレート(表組み)を貼り付ける
・さらに{diary}というタグを付ける
・さらに自身の日付に対応する作成日に変更する
特に難しい工程はありませんが、気をつけたいのが同期の部分です。Evernote for Macで作成したばかりのノートはノートリンクが取得できません。それがクラウドに同期されてはじめて取得できるようになります。
よって、ノートリンクを扱う前にいったん同期させる処理を挟み込んでいます。具体的には、同期を実行し、365個のノートの最後のノートリンクが取得できるまで処理を進めないというアプローチです。
これをやらないと、設定したノートリンクがすべてmissing valueになって使いものになりませんのでご注意ください。
■ノートの保存場所
コードが完成したので、少しコードを書き換え、「三日分」だけにしてから実行してみました。特に問題なく3枚のノートが作成され、それぞれにノートリンクが貼られつつも、作成日はそれぞれの日付に対応しています。ばっちりです。
というわけで、365日分に戻して、コードを実行しました。するとノートブックにどんどんとデイリーノートが作成されていきます。それをぼーっと眺めているうちに気がつきました。
ノートブックを、間違えている!
当初は、昨年通り〈day/stock〉に入れようと思っていたのです(だから空っぽにしました)。しかし、今ノートが増えているのは〈inbox〉です。
まあ、後から{diary}で検索して移動させれば済むので(だからタグ付けは重要です)、あまり気にしないことにします。
で、すべてのノートの作成が終わり、それぞれにきちんと機能するノートリンクが付いています。ばっちぐーです。
そうして作成したノートを、〈day/stock〉に移動させようかとも思ったのですが、「手帳的Evernote」の運用では、むしろ分けない方が良さそうだと思い直し、そのまま〈inbox〉に入れっぱなしにすることにしました。
となると、〈day/stock〉は、以降ずっと空っぽのままになるので、無用と判断しノートブック自体を削除しました。
■しおり紐の準備
これで私の〈inbox〉には、365日分のデイリーノートが、それぞれの日付ごとに並んでいます。当然、ソート順は「作成日順」です。
次にとりかかったのが、「しおり紐ノート」の作成。といっても、ごく単純で、タイトルが「-------------------------------」なノートを作り、それをショートカット欄の4番目に置いただけ。あと必要なのは、それを移動させるためのコードです。これもAppleScriptで書きました。
◇Evernoteのしおり紐を移動させるAppScript
https://scrapbox.io/rashitamemo/Evernoteのしおり紐を移動させるAppScript
AppleScriptでEvernoteのノートを操作する場合、いくつか方法があります。
・ノートを新規作成し、それを変数に入れて操作する
・ノートを find notes で検索し、その結果を変数に入れて操作する
・ノートを find note で取得し、その結果を変数に入れて操作する
・ 選択しているノートをselectionから取得する
詳しい説明は避けますが、今回使ったのは三つ目の方法です。移動させたい(≒作成日を変更したい)ノートは、毎回同じなので、検索するのではなく、ノートのID(この場合はノートリンク)をあらかじめ取得しておいて、そのIDを利用して対象のノートを指定する方法です。
四つめの「選択しているノート」を対象とする方法を使えば、しおり紐ノート以外にも適用させられるようになるのですが、しおり紐ノートを変更させるためにまずしおり紐ノートを見つけなければならないという手間が発生するので、今回はこの方法を選びました。もし、複数のしおり紐を運用する場合なら、「選択しているノート」を対象するやり方がうまくいくかもしれません。
■Evernote用コマンドランチャー
さて、上のコードは、一日に一回起動してノートを移動させることになります。で、その日動かせば、もう次の日まで動かすことはありません。「最低一日一回」が頻度です。
そう考えると、ショートカットキーに登録してアクセシビリティーを過剰に高める必要はないと判断しました。代わりに、「Evernote用コマンドランチャー」に登録して使用します。
この「Evernote用コマンドランチャー」も、AppleScriptで私が書いたコードで、小さな動作を行うたくさんのEvernote用AppleScriptにアクセスするためだけのScirptです。
◇Evernote用コマンドランチャー
https://scrapbox.io/rashitamemo/Evernote用コマンドランチャー
Scriptがたくさん増えると、そこにアクセスするための方法を覚えるのが難しくなりますが、「Evernote用コマンドランチャー」に登録しておけば、このスクリプトにさえアクセスできればバッチリです。で、このコマンドランチャーは、e_commandlauncherという名前でアプリケーションフォルダに保存してあるので、spotlightを起動して(control + space)、「e_」と入力すればすぐに出てきます。つまり、私が覚えておくべきことは、e_だけであり、さすがにこれは覚えられます。
これで、「しおり紐」の移動も容易に行えるようになりました。準備は整いつつあります。
■しおり紐の意外なメリット
で、実際に数日この「しおり紐」移動メソッド(おおげさ)を行ってみたのですが、意外なメリットがありました。何かと言えば、リマインダーになるのです。
私の朝の動きはこうです。
・Evernoteを開く
・Evernote用コマンドランチャーから「しおり紐の移動」を実行する
・command +4 を押す
・そのまま↓キーを押す
・当日のデイリーノートあたりにスクロールが移動する
で、この操作のおかげで、私の一月分のノートは、inboxのトップからみてかなり下(少なくとも360ノート分程度は下)にあるのですが、それを意識したことはありません。
たとえば、どこでもドアがあって、東京のある場所と大阪のある場所がつながっていたとしましょう。おそらく、その二地点を移動する人は、実際の「距離」を感じないはずです。言い換えれば、「距離を感じる」とは、自分が実際に払った手間によって生まれる感覚です。
それと同じで、私も〈inbox〉の中身に距離を感じていません。当日あたりにはcommand + 4 で飛べますし、トップには command + 1 で飛べます。この二つのショートカットコマンドだけで、だいたいの移動は完了します。実に不思議な感覚です。
話が逸れました。
上記のように毎日一回、「しおり紐」ノートを移動させ、そのノートへのジャンプでスクロールを代替させているのですが、当然そのたびごとに、「しおり紐」ノートが表示されることになります。言い換えれば、そのノートが目に入ります。
こうなると、そのノートに中身を書き込みたくなります。当初は、単にタイトルだけある空っぽのノートとして運用する予定でしたが、今は簡易のリマインダーとして使っていて、「月末までに市民税の支払い」とか「B6の下敷きを探す」といった覚え書きを書き込んでいます。
この辺の使い方は、まだまだ探究できそうです。
■月間カレンダー
デイリーページの設定が完了したので、残すは「年間インデックス」と「月間カレンダー」です。
まず、月間カレンダーですが、去年のEvernote公式のものを流用して、2019年版を作りました。
◇2019 Evernote 月間カレンダー用テンプレート | R-style
https://rashita.net/blog/?p=26482
去年はこの12枚の表組みを12枚のノートにそれぞれ貼り付けていたのですが、今年はそれを1枚のノートにまとめることにしました。つまり、「2019年月間カレンダー」というノートに十二ヶ月分すべてのカレンダーが入っていることになります。
で、そのままだと、5月くらいになったらノートを開くたびにスクロールする必要が出てくるのですが、そこは一工夫です。月がかわるたびに、カレンダーを下に送ればいいのです。つまり、
〈1月〉
1月
2月
3月
…
12月
〈2月〉
2月
3月
…
12月
1月(←コピペして移動した)
ということです。これを12月まで続けて、最後に12月を一番下に送れば、あら不思議。もともとの状態に戻ってきます。こういう移動ができるのがデジタル情報の特徴でもあるので、それを活用したいところです。
この運用によって、毎月「今月のカレンダーにアクセスするためのリマインダーとショートカット」を登録し直していたのですが、その手間がなくなりました。扱うノートが一つだけでいい、というのはやはり楽チンです。
■年間インデックス
続いて「年間インデックス」です。
去年は、まず「総合カレンダー」というのがあり、そこに、「365枚のデイリーページ」「52枚の週間ページ」「12枚の月間ページ」へのページリンクをまとめていました。さらに、それとは別に「一年間の購入本リスト」「読了本リスト」を作っていました。
しかし一年経ってみると、「週間ページ」はほとんど使わなくなり、「読了本リスト」も途中で記入が止まっていました。リファクタリングが必要です。
そこで今年は、絞りに絞りました。
「年間インデックス」ノートを作り、そこに「365枚のデイリーページ」のノートリンクを貼る。続いて、「月間カレンダー」のリンクを貼る。以上です。
買った本や読み終えた本は、もし書きたいなら、この「年間インデックス」に書き込みます。
たとえば、以下のようにノートリンクが並んでいるので、
1月1日
1月2日
1月3日
1月4日
その間に記入していきます。
1月1日
1月2日
読了
・『キノの旅』
購入
・📔神域のカンピオーネス 3 黄泉比良坂
・📔神域のカンピオーネス 2 ラグナロクの狼
・📔神域のカンピオーネス トロイア戦争
1月3日
1月4日
上は書籍の情報ですが、それ以外に何かあっても、別のノートを作らず、ここに集約していきます。仮に何かしら2019年関連でノートを作った場合も、とりあえずここにノートリンクを貼り付けておけば、見失うことはなくなります。
よって、この年間インデックスが「2019年の総合カレンダー」として機能します。
■2019年三大テーマ
あとは、先週にも書いた「2019年三大テーマ」です。
去年作成した「2018年三大テーマ」というノートは、2018年の間ほとんど顧みられることがありませんでした。なんとなく失敗感というか、残念感が漂う結果です。その反省として出てきたのがこの運用法なので、しっかり「2019年三大テーマ」ノートはフォローしておきたいところ。
といっても、それぞれの日付の更新日を変え、更新日順にノートをソートしている段階で準備はできています。「2019年三大テーマ」というノートを作り、その作成日を「2019年12月31日 23:59:59」にすれば良いだけです。これで、〈inbox〉ノートブックのほぼトップ(※)に固定表示されますし、このノートブックを表示するたびにそのノートが目に入るようになります。
※一番上はさまざまなノートへのリンクを持つハブノートです。
もちろん、「2019年の総合カレンダー」にもノートリンクを貼っておけばバッチリです。これで、少なくとも月次レビューのタイミングくらいでは、見返しが発生するでしょう。去年がさんざんな結果だったことを考えれば、一年の途中で一度以上でも見返しが発生したら一定の成果があったと言えます。
で、そのノートにどんなテーマを書いたのかですが、実はまだほとんど何も書いていません。去年から引き続いている書籍執筆がまだ終わっておらず、しかし本当にあともう一歩(残タスク3つ)なので、それが終わって一息ついてから、改めて考えようと思っています。
これも、「2019年三大テーマ」ノートが常に上部に表示されるので、設定し忘れるということはないでしょうが、一応「しおり紐」ノートに、「2019年三大テーマ」を設定すること、の一文を加えておくことにします。ほら、便利でしょ。
■おわりに
というわけで、かなりガッツリと「Evernoteの手帳的運用の準備」について紹介してみました。
せっかくの新年なので、ここまでを無料で読める分としてnoteでは公開しておきます。
続いて、今年から始めようと画策しているもう一つの手帳「読書手帳」について紹介します。
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