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「知らないオジサン」を一瞬で「特別な存在」に変える魔法! 【人類進化の謎を解き明かす】

家族から知らないオジサンの
写真を見せられた
としましょう。

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あなたはきっと

「誰、このオジサン?」

となって、何も特別な気持ちを
感じることはない
でしょう。

それもそうです。

人と人が関係性を築くには
多くの時間を使って
お互いの事を知ることが必要
だからです。

あなたは、このオジサンのことを
何も知りません。

せいぜい「フツーの見た目だなぁ…」
という程度のものです。

では、そこで
この情報が入ったらどうでしょう?

「実はこの人
 お母さんの兄さんなのよ。

 あなたにとっては
 叔父に当たる人
ね」

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知らないオジサン→私の叔父

…どうでしょう?

自分の叔父という
「血縁関係のラベル」がついた途端
知らないオジサンの時より
はるかに強い関係性を感じる
のでは
ないでしょうか?

オジサンが、叔父であることが分かった

という、たった1つの情報だけ

この人物がどんな人格の持ち主なのか
何もわかっていないにも関わらず、
「特別感」が出てしまうのです。

「血縁関係」の魔法

「血縁関係」だけで特別扱いする性質
どうやら、ずーっと昔からヒトに
備わっているもの
のようです。

類人猿の時代からの
進化の歴史を紐解いた
こちらの本から引用します。

だれかが自分と血縁関係があると聞かされると、一度も会ったことがなくても、その人はただの友人とはかなりちがった種類の人間であるように思われる。言語上の呼称によって、ふつうなら深い情動や生物学的結びつきにもとづく、近い血縁関係の特権である情動的な反応が生じるのは不思議というほかない。
 つまり血縁関係は、だれかに対してどう振る舞うか決めねばならないときに、さほど時間を無駄にせず、複雑な関係を処理するための早道である可能性がある。

前掲書 P256

かつての人間にとっては
生きるためにより大きな集団を
維持することが必要
でした。

誰と、どういう風に関わるか
ということを一々考えていると
時間が足りなく
なります。

その時、この「血縁関係」によって
「少なくとも自分の仲間に近い」
「自分の仲間だ」と決めてしまうことで
コミュニケーションのコストを下げた
のです。

「宗教」は「血縁関係の魔法」を利用している!

この「血縁関係の魔法」を
うまく使っている集団
があります。

それは「宗教」です。

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教理宗教が生まれるときに、きわめて大勢のまったく見知らぬ人から成る架空の共同体への帰属意識をつくるための基盤として、友情を補強する基本的な心理過程が利用されたかのようなのだ。血縁関係の重要性がここでも尊重される。ほとんどすべての教義を重んずる宗教は、近い血縁関係を意味する言葉(父、母、兄弟、姉妹)を用いて、家族的な親密性の錯覚を作り上げようとしているかに見える。

前掲書 P304 

本当の血縁関係が無くとも
父、母、兄弟、姉妹といった言葉を
使うことによって
「血縁関係の魔法」を起こし
親密性を高めてしまおう!

というわけです。

上手く人間の性質を
使っているんだなぁ…と
感心してしまいますね!

まとめ

知らないオジサンを
一瞬で特別な存在に変えてしまう言葉
「この人はアナタの叔父だよ」
→「血縁関係の魔法」

「宗教」においても
「血縁関係の魔法」は利用されている。

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