こだわりは『気持ち悪い』からこそ、ホンモノだ【いもーとらいふ 感想】
こだわりは捨てれば軽くなる。
自分が失われるわけだから。
それの良し悪しは誰にもわからない。
ただそれを『楽になる』と勘違いすると、
途端に薄っぺらくなる。
入間人間『いもーとらいふ(下)』
Kindle 1657/2183
恐ろしい物語を読んでしまった。
これはきっと
ホンモノのこだわりの物語。
…以下、ネタバレ含む
この物語は、表紙も、タイトルも
ラノベらしい可愛らしいもので
実際、読み始めると
非常に微笑ましい感じに始まる。
妹の夏休みの絵日記の宿題を
兄が助けてあげるという
心温まるエピソード
そこから、
元々友達の居ない妹が
お兄さんにベッタリになるのも
まあ、自然な流れだ。
ただ、通常の関係なら
思春期を迎えるにあたって
他の人間関係ができて
兄とは少し距離が離れていくものだ。
…とは言え、ここはラノベの世界
中学~高校生くらいの兄妹が
色々ありつつ仲がいい…という作品なら
SAOなり、俺妹なり、他にも色々ある。
しかし…
「いもーとらいふ」では
一生、兄と妹がべったりなのだ。
大学時代に二人暮らしになり
卒業してもそのまま…
お互い結婚することもなく
ずっとずっと…
30過ぎてもブラコンとシスコンのまま
どうだろう…?
30過ぎの兄と20代後半の妹が
腕を組みながら買い物をしていたら…
気持ち悪くないだろうか?
…
兄は重度のシスコンでありつつも
一般的な感性の持ち主である。
だから、自分と妹の関係が
周りから見て「気持ち悪い」ことを
十分に自覚しているのだ。
だから、苦しい。
自分の本心と
一般常識が噛み合わない
それでも二人暮らしの初期には
「自分が居ないとどうしようもない妹」を
養ってやる…という大義名分
つまり、「言い訳」があった
しかし、妹の才能の開花とともに
金銭面、社会面での力関係が逆転し
大義名分が消える。
兄にとって、一番の苦悩のときが訪れる。
もう、逃げ道はない。
それでも一緒にいるとしたら
その理由は、もう
「ただ、妹が好きだから」という
『一般的には』気持ち悪い理由しかない
ここでの兄の選択が
この物語の真骨頂であったと思う。
…
「こだわり」というのは
こういうものなんじゃないだろうか?
「本人だけの好き」があり
それが周りからどう見えようと…
たとえ『気持ち悪く』見えようと
それでも「好き」を優先する。
一般常識を優先して
「妥協」した先にも幸福はある。
兄には、妹との関係を捨て
他の女性と結婚する道も
あったかもしれない。
でも、本心を殺した先には
真の満足は無い。
…
こだわりは捨てれば軽くなる。
自分が失われるわけだから。
それの良し悪しは誰にもわからない。
ただそれを『楽になる』と勘違いすると、
途端に薄っぺらくなる。
入間人間『いもーとらいふ(下)』
Kindle 1657/2183
一般に流されて
その『こだわり』を『気持ち悪い好き』を
捨てた人間は、きっと「楽」を感じるだろう
でも、薄っぺらくなる。
それが別に良いとも、悪いとも言わない。
ただ「満足」からは遠ざかる。
…
私は「こだわり」が好きだ。
思いっきり『気持ち悪い』くらいが
ちょうどいい。
…
最後まで読んでいただき
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