達人の道の落とし穴【達人のサイエンス⑫】
ここまで、達人の道はどういうものか
どのように実践していけばよいのか
ということを紹介してきた。
本書では以前に紹介した
「ホメオスタシス」以外に
達人の道への壁になるものが
13個紹介されている。
その中から特に重要なものを
5つにまとめて紹介していく。
…
1,生活上の葛藤
達人への道を歩むには時間が要る
しかし、その達人の道が
生活の糧を得るのに直結している場合は
ともかくとして、そうでないときは
必ず労働との時間の食い合いが発生する。
そういうときは
達人の道「以外」の部分の時間を点検する
事が大切である。
目的無く動画を眺めたり、SNSをしたり…と
いった時間を取っていないだろうか?
あるいは、どうしても時間を取られること
(例えば、家事や、通勤の時間など…)を
「達人の道」の一部として活かすように
できないだろうか?
そういった視点で見直してみるのである。
2,オブセッシブ(せっかち型)の目的指向
早く確実に成果を求めたくなるのは
現代人の典型的な欲望である…が
これは、達人の道の敵になる
以前に紹介した
プラトー(停滞)への対処の
ところで紹介した通り
焦ってもいい結果は生まない。
むしろ、挫折に繋がってしまう。
いつか成長の時はくる
せっかちにならず、日々の実践に努めよう
3,よくない指導
良い指導者の見分け方は
以前に紹介した通りだ。
原則、教師には全面的に従うべきである。
…が、どうしてもうまくいかない場合は
教師を変える勇気も必要である。
忘れてはならないのは
最終的に「伸びる」か「伸びない」かは、
指導を受けるあなたに責任がある
ということである。
伸びない原因が教師にあると
自分で判断したのなら、
変える勇気が必要だ。
4,適度でない競争
競争はスパイスとなり、動機をくれる。
だから、競争がゼロの状態は望ましくない
しかし、だからといって
過度になってはならない。
勝つことだけを求めるならば
長期的に見ると必ず負けることになる
イチローも羽生九段もウメハラも
その1試合の勝ち負けだけに拘らない
もっと長い目で見ている
繰り返すが、達人の道は
継続的な成長の道なのである。
その瞬間の結果を求めるものではない。
5,外的動機付け(賞、メダル)
燃え尽き症候群…というのを
聞いたことが無いだろうか?
一つの大きな目標を達成した後
モチベーションを失ってしまうことだ。
チャンピオンランナーたちは
金メダルや、新記録を達成すると
記録が伸びなくなるという。
それは、メダルや記録が
モチベーションの元になっていたからだ。
そこで歩みが止まってしまえば
成長も止まってしまう。
達人の道を歩む充実感は
そこで止まってしまうのである。
究極の報酬は金メダルではなく、マスタリーの道そのものであると気づくのだ。
P152
マスタリーの道、すなわち
達人の道そのものが報酬である。
達人とは、明けても暮れても道を歩み続ける人間なのだ。進んでトライし、失敗し、そしてまたトライし、生きている限りそれを続ける人間のことなのだ。
P155
金メダルを取っても
そこで人生が終わるわけではない
そこで燃え尽きてしまえば
あとの人生は成長のない空しいものに
なってしまう。
明けても暮れても
達人の道を歩み続けよう。
…
まとめ
達人の道への落とし穴
1,生活上の葛藤
2,オブセッシブ(せっかち型)の目的指向
3,よくない指導
4,適度でない競争
5,外的動機付け(賞、メダル)