『言葉』を得たことによる『副作用』【儀式論 第14章 人間と儀式】
長く紹介してきた儀式論も
最後の章になりました。
第14章は人間と儀式です。
今日はその中から
人間が「言葉」を得たことで
生まれたもの、
そしてそれと引き換えに被った
副作用について紹介します。
…
生まれたもの「新しい世界」
人間が言葉を得て新たに
生まれたもの…それは
「新たな世界」だと言います。
言葉を得たことで
経験していないものや
そもそも存在していないものを
意識の中にイメージできるようになった
そして、そのイメージを具現化するため
自らの肉体を用いて自然を操作した
そして文明が生まれてきた…というんです。
この能力のおかげで
今現在までの人間の発展がある
というわけです。
…
言語をもったことによる副作用「分離の不安」
言語を持つ前の人間は
他の動物と同じく、
自分を宇宙・自然の一部だと
認識していました。
しかし、言語を持ち
意識を持ったことで
自分がこの宇宙で分離され
孤立した存在であることを知った
…というわけです。
想像の世界…という
新しい世界を知ったことで
この宇宙そのものとの
繋がりが薄くなったように
感じる…ということですね。
これを「分離の不安」といいます。
不安があれば、除去しようと
努力するのが人間です。
この不安を除去しようとする努力が
文化の原点であり
哲学・芸術・宗教に発展していきました。
つまり
言語は
文明を産む原動力となった一方で
副作用として「分離の不安」が生んだ。
その「分離の不安」を除去するために
生まれたのが文化だ
ということになります。
…
芸術・哲学・宗教
芸術・哲学・宗教が同じように
言語による「分離の不安」から
生まれた、という話をしました。
言語によって
「分離の不安」が生まれたなら…
一旦、言語を操る理性・知性から
感性のレベルに戻って
不安を昇華しよう…として
生まれたのが「芸術」
言語をさらに使いこなすことで
真理を求め、悟りを得ようとしたのが
「哲学」
祈り、瞑想、座禅などの行為を通し
絶対者、この世の創造者に帰依して
悟りを得ようとしたのが「宗教」
このように分類できるわけです。
…
まとめ
人間は言葉を得たことで
経験・現実を超えた
新たな世界を得た
そのことにより
文明が生まれ人間は発展した
一方で、宇宙・自然からの孤立
分離の不安も生まれた
分離の不安を除去するために
生まれたのが文化…
すなわち、芸術・哲学・宗教だった。
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