【STOP倒産】事業を継続させるためのこれからの物理的コロナ対策「職場の分割・二重化」~病院・介護施設でも
非常事態宣言を受け、すでに多くの会社で出勤者を減らすために在宅勤務を導入したり、人員をチーム分けして交代勤務させたりするという対策を行っているところがあると思います。ここで紹介したいのは、完全在宅勤務を導入できない企業などにおいて、その次の段階に採るべき方法です。
ある企業が事業継続のために採用した方法
企業には、コロナ禍であっても、社会的に果たすべき責任から事業を継続させなければいけないところがあります。これから紹介する方法はそのような業種の会社で実際に新型コロナウイルス対策として実施されているものであり、初めて聞いたときはそんな斬新な方法があるのかと思いました。
その方法とは、職場を物理的に複数に分割し、それぞれの職場内で仕事を完結できるようにするというものです。つまり、企業機能を二つに分けるということです。すでに人員をチーム分けしているところは多いと思います。次の段階として、職場を完全にエリア分けするのです。
その企業では、職場を完全パーティションで分けて分断し、入り口も別にしました。もう片方のエリアには原則立ち入り禁止です。冷蔵庫、電子レンジ、電気ポット、シュレッダなどはそれぞれに設置してあります。もう片方のエリアにいる人とは原則として顔を合わすことはありません。人的資源のみならず、機材や什器などの物理的なものも分割し、二重化してしまったのです。
物理的にチームを切り離すことにより、通常は並行して業務を遂行し続けます。もし、どちらかが新型コロナウイルスへの感染で機能ダウンした場合は、残った一方で片肺運転を続け、業務の遂行を継続していくという考えです。
民間旅客機は、エンジンを複数基を搭載しており、1基のエンジンが故障しても、他のエンジンだけで安全に着陸するまで飛行継続が可能なように設計されているそうですが、これと似ています。
ITシステムの用語でいえば、2台が同時に稼動して負荷分散しながら並列に処理をするので「完全二重化負荷分散クラスタシステム」ということになるのでしょうか(うーん。「クラスタ」って嫌な印象が付いてしまいましたね)。
この方法のメリット
今後、新型コロナウイルスとの闘いは、1~2年程度の長期になるとの見込みが報道され始めてきました。この間、企業活動も雇用も守らなければなりません。この方法は、比較的安価で実施でき(物量が多かったり、エリアを遠く離す場合は引越業者に依頼が必要ですが)、恒久的に効果がある方法です。
もし、職場内で新型コロナウイルスの患者が発生したとしても、片方だけ休業させることで「墜落」を免れることができます。2週間ほど休業し、感染者のいるエリアを消毒すれば、またフルの企業活動に戻れるでしょう。
この方法を実施する際のポイント
さて、この方法を採用するにあたっては、チーム分けを慎重に考慮する必要があります。単に、フロアの真ん中に衝立を立てたところでうまくいきません。
同じ業務を担当し、同じ程度の実力(技能・知識)の持ち主をペアにして考え、それを二つに分けていくのです。分割できない単位のグループも同様にペアにして考え、同じ程度の実力(技能・知識)を持つグループ同士を二つに分けていきます。
病院や介護施設での適用
この方法は企業のみならず、病院や介護施設でも適用できます(病院の場合、すでに必要に迫られてレッドゾーンとグリーンゾーンとして実施しているところも多いかも知れませんね)。
階単位でトイレなどの必要な設備が設置されていますから階単位で機能を分割してしまうのが実際的でしょう。出入り口を分け、階段には通り抜けできない階にプラスチック製のチェーンを渡し、通行禁止の札を掛けることで、施設の内部を二重化するとよいと思います。エレベーターが1基しかないと面倒ですが、1時間おきに交代で使うというルールを設け、交代する時間には消毒チームが入るということで解決できると思います(そもそも、その位の頻度ではしっかり消毒すべき場所だと思いますし)。
最後に
感染が一日も早く収まりますように。そして、経済活動の停滞による社会的な壊死が起こることなく、健康な社会に一日も早く戻りますように。