【感染予防】何度手を洗っても、蛇口のハンドルが汚かったら無意味。家庭内の最悪リスクポイントの改善法
蛇口のハンドルほど汚いものはない
昔、公共のトイレに関して、こんな文章を書きました。その頃は、まだセンサー式の自動吐水口が付いてるのが珍しかった頃。
トイレの流しの蛇口ほど汚いものはないと思っている。
常に水分のある場所にあり、大勢の人が、陰部を直接触ったり、肛門を拭いたりした手で、そのまま蛇口を握っているのだから。
手をいくら洗ってきれいにしても、またその蛇口に触れるのだから、汚い。
尿や糞便はもちろん、経血やオリモノや精液が付着している可能性もあるだろう。また、流しで歯磨きやうがいをする人もいるから、唾液も飛んでいる可能性も高い。個室で鼻をほじる人、あくびをして涙をぬぐう人、ニキビを潰している人、わき汗を拭く人、中には嘔吐している人もいるだろう。
あらゆる体液が付いている可能性のある場所。
トイレは、そこにいる不特定多数の誰もが使うすべての汚物の集中する特殊な場所だ。その空間の中で、流しの蛇口だけは衛生上の盲点になっていると思う。
掃除の際に雑巾で拭かれはするだろうが、それ以上のことは滅多にされないと思う。洗剤を使われることも、流水にさらされることも。
蛇口に触ったあとに、人は、そこにある鏡を見る。
顔(目や鼻や口)に触れる人もいるだろう。
病院や老人施設などで感染が広がったというニュースを聞くと、実は、トイレの蛇口から感染が広がっているのではないかなと密かに気になっている。
今でも、公共のトイレの流しが自動吐水式ではなく、ハンドル式の蛇口になっていると触りたくないし、なんなら手を洗わない方がきれいなのではないかと思うこともな……(←おい)。
どうすれば正解なのか考えると、理想的には、手と同時にハンドルも洗ってきれいにするということ。でも、正直なところ面倒ですね。現実的には、トイレットペーパーやティッシュでハンドルに触れないようにしながら蛇口をひねるというところになってしまうでしょう。
#家庭内感染 のリスクを考える
幸い、ほとんどの家のトイレでは、ロータンクのレバーをひねると手洗管から自動的に水が出て、自動的に止まるようになっていますから、トイレは問題はありません。レバーをひねった後に手を洗って、そのあとレバーに触らなくて済むからです。順番が正しいのです。
問題は、キッチンと浴室の流しの蛇口のハンドルです。
きっと、一日に何度も手を洗う日々が続いていると思いますが、蛇口のハンドルが汚かったら、何度手を洗っても無意味です。
1. 水を出す(菌やウイルスがハンドルにつく)
2. 手を洗う(手がきれいになる)
3. 水を止める(きれいな手に菌やウイルスがつく)
無意味どころから、逆に、菌やウイルスを蛇口のハンドルに集積しているような状況になっています。なぜなら、「手を洗いたい」ときは、手に菌やウイルスが付いているかもと不安に思っているときだからです。外で電車の手すりを握っていた、現金の受け渡しをしたなど……。あるいは、鼻をかんで鼻水が指に付いた、くしゃみをしてとっさに手のひらで覆ったなど……。
蛇口のハンドルの立場で考えてみましょう。
1. 水を出される(人が菌やウイルスや汚物が手に付いているときに寄ってきて握ってくる)
2. 水を止められる(適度な水分が与えられ、菌やウイルスが汚物とミックスされる)
温水の蛇口なら人の体温に近い温度に温められていることもあります。水分があり、栄養分(汚物)もあるところなら、少なくても菌にとっては格好な生存条件になるのではないでしょうか(ウイルスに関してはどういう環境が最適な生存条件となるのかは不明な点もありますが)。
蛇口ハンドルからの感染リスクを抑える要点は二つ
無管理の蛇口のハンドルがいかに危険か理解してもらえたと思います。手を洗ったという油断のあとに、食器を触ることや、目鼻口を触ることで、容易に家庭内に感染が拡大します。
家庭内において、蛇口のハンドルは最悪の感染リスクポイントなのだと考えています。
ハンドルを常に衛生的に保つには、公共の場の蛇口のハンドルと同じく、次の二つが肝心と思います。
●こまめに蛇口のハンドルを清潔にする(清掃したり、消毒液を掛けたり)
●ハンドルに触れないようにする(ティッシュなどでカバーしてひねる)
以下、この二つを徹底するための具体的な案を述べます。
ハード面の改善
古い水道設備の家ならば、蛇口のハンドルを最適化することを提案したいと思います。下図のようにロングタイプのものに交換すると、指一本で水を出したり止めたりできます。
頭の青いビスを回せば簡単にハンドルが取れますから、子どもでも2分もあれば交換できるでしょう。プライヤーかラジオペンチを使うのですが、指で外せることもあります。
接触面を最低限にできます。指三本を使って回していたものが、指一本で済みます。加えて、てこの原理で軽く回せることから、ティッシュ一枚を丸めて軽く押し当てるだけで、完全に手に触れることなく水を出したり止めたりできます。というより、手の甲だけで回せます。なんなら、手首でも肘でも回せます。指先をウイルスから完全に護れます。
また、形状がシンプルなので、ハンドルを簡単に掃除できるメリットがあります。
もちろん、予算があるなら自動吐水口に蛇口ごとすげ替える手もあります。家庭内の最悪の感染リスクポイントに対し、根本的な対策が可能です。
ハンドルに朱肉を塗って実験してみました
交換前のハンドルに朱肉を塗って、普通に水を出してみたときの付着状況が次の写真です。
三本の指にべったり朱肉が付きました。特に親指にはくっきりと長い跡が残りました。
次に、ロングレバーハンドルに交換して同じ条件で水を出してみました。
指一本で回せるので、人差し指にしか朱肉が付きませんでした。しかも、軽い力で回せるので比較的薄く跡が残っているだけです。あれ、こんなに付き具合が違うんだと実験してみて驚きました。
ソフト面の改善
家族の中で、蛇口のハンドルをきちんと掃除する役割の人を一人決めましょう。旦那か子どもがよいでしょう。その人は流しを使ったあとに、必ずテイッシュでハンドルを丁寧に拭くか、洗剤や消毒液できれいにすることにします。これで、ハンドルを清潔に保つことができます。
一人住まいの場合は、一日にきれいにする回数とタイミングを決めるマイルールをつくるとよいでしょう。
最後に
いまは建築年数の浅い新しい物件なら、キッチンの蛇口のほとんどは、このような長いレバーを持ったハンドルに移行しています。長いレバーハンドルは、感染の話を抜きにしても便利な代物ですよ。何の工事も要らず簡単に交換できますので、もちろん賃貸物件でも使用できます(外したハンドルを取っておいてくださいね)。
感染対策は、長い闘いになりそうです。古い蛇口ハンドルを使っているという方は、日々、ストレスなく感染対策をするために改善をお勧めいたします。
[補足]
その他の良さげなレバーハンドルの紹介。
カクダイのオンラインカタログで、レバーハンドルのページはここ(P284~285)です。
SANEIのオンラインカタログで、レバーハンドルのページはここ(P192)あ、こちらは直接飛べませんね。