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街、一匹、ヴィラン(1)
何もない人生
そんなのちっとも面白くないじゃないか
だから俺は考えた
サイコーに面白いことをしてやろうと
道行く人々と目が合うことはきっとない
なぜなら俺は深々とフードをかぶっているからだ
黒いパーカーに
黒のズボン
目の下まで深々と下げたフードに
伸ばしっぱなしの髪
ポケットに手を突っ込んで
ずっと地面を見て歩く
だからみんな俺のことを指さして
”変な男”
”怪しい男”と笑いながら言う
別に何と思われたってかまわない
変な男だろうが
怪しい男だろうが
全力で演じ切って見せる
俺は明日の夜
お前らの記憶にこびり付く
サイコーな男になるんだから
きっと報道ニュースにも取り上げられて
記者もたくさん取材して
ニュース速報なんかにも乗ってしまうだろう
どうしよう
とても楽しみになってきた
”この世の中はどうあがいても駄目だ”
そう改めて思った
結局みんな何も真剣に考えていない
総理大臣になるといって
演説をして
”この国をもっといい国に!”って言ってるけど
結局今までなってきたやつで
本気で世の中をどうにかしなければと真剣に悩んでいる奴はいなかった
結局、金目当てだ
こんなんだから駄目なんだよと
朝の報道ニュースを見て思う
どうやら新しい総理大臣が決まったらしい
どーせ次もろくな奴でもないんだろうもうこの世界は救いようがない
今更真剣に悩んだところで何も変わらない
これから先どれだけの天才が現れてももう手遅れだ
そうバカらしくなってテレビを消した
散らかった部屋は
綺麗だったあのころの面影が全く残っていない状況だった
床に乱雑に捨てられた新聞紙
びりびりに破られた選挙戦のチラシ
食べかけのカップラーメンがキッチンに置きっぱなしだった
俺は一人暮らしだ
家族も何もない
ただクソ狭いアパートの一部屋に
ただ独りで住んでいる
めったに外に出ることはないし
常に部屋は真っ暗で
電気もつけずカーテンを隙間なく締め
日光をさえぎっていた
そんな部屋の中特にやることもなく
暇を持て余していた
何も考えられないほど頭が動かない
頭痛がするまっすぐ歩けない
まるでずっと夢の中を泳いでいるようだ
ちょっと前まで働いていたけど
やる気がなくてやめた
ってかもうなんのために働いてるかわからなくて
でももうちょっと働いとけばよかったなと思う
そしたらもうちょっと金の貯えがあったはず
まぁ仕方ない別にいいもういらない
昼か夜かもわからない日々で
眠れない日々が続いていた
寝たいが寝付けないし
目が冴えているから全然眠たくないのだが
ずっと寝ないままだと体に支障が出ることに気づき
最近は寝ようとしている
しかしだいぶ寝てないせいか全く眠くならなかった
というか昔からなんだ
昔から少し眠るという行為に怖いという感情を覚える
だって寝たら明日が来るじゃないか
嫌でも
明日嫌なことがある人かなら余計な
寝てる間は意識がないわけだし
気づけば朝になってるじゃないか
それが怖い
寝るより寝ない方が意識的に朝が来るのは遅いし
正直寝てる時間さえ無駄に感じていた
もう寝たら一生起きたくないというのが本音かもしれない
いやそれはそれで怖い
というか意識を失うという部分に恐怖を感じているのかもしれない
本当に怖い
寝なきゃそれまで意識があるわけだから何か考えられるだろ
でも解決策すら考えさせてくれないんだよ
怖いだから寝るのは少し嫌だ
そして寝る直前になると急に
嫌なことを思い出すだから嫌だ
嫌なことを考えながら寝たくない
ってか眠れない
だから嫌だ
腹が減ったらカップラーメンを食うが
ストックがなくなったら
買いに行かないと飯がないから
その時だけ外に出る
外の騒がしさと日差しにめまいがした
日光を見ると目が急激に痛くなる
ずっと引きこもっているせいだろう
このままじゃだめだという自覚はあったが
今ではもう何も感じなくなってしまった
久しぶりに外に出ると
どうやら外が騒がしい
何があったんだと思い
人々の視線の先にある
街の大きなスクリーンを見てみる
どうやら売れていた歌手が死んだらしい
こんにちはraraです!
初めて描いた作品です
全部で15000字あるので分けて出していきます
是非お時間あれば寄ってくださったらうれしいです!