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監査法人1年目の教科書 -監査法人にいる間にすべきこと1つ選ぶなら-

私の結論

私の結論を述べてしまえば「"身内"を増やす」です。監査法人勤務と、転職を経験を踏まえ「なぜそう思うのか」を書いていきます。なお、すべきことを列挙するのではなく1つにした理由は、列挙すると本質が埋もれるかもと懸念したためです。

それでは早速本文へ

そもそも私の言う身内とは?

曖昧な言葉でまとめてしまうと「自分が好きな人で、力になりたいと思えて、相手も力になってくれる関係」です。

それを少し細かく分解すると、以下の要素になるでしょうか。

  1. 自分の弱みを見せれる

  2. 有事の際は理屈抜きで助けたいと思う

  3. 仕事抜きで、プライベートでも一緒に過ごせる

ちなみに私は「人脈」と「身内」という言葉を使い分けています。

人脈は小手先のテクニックで繋がり理屈が支配している関係です。GIVE& TAKEが一時点でも成り立たなくなると途切れます。

一方、身内は小手先ではなく、曖昧な表現ですが感情的に繋がってる関係です。感情で繋がると短期的にGIVE& TAKEの関係が崩れても繋がり続けます。持ちつ持たれつですね。

「あなたが言うんだったらしょうがないなぁー、教えてあげるよ。逆にここは教えて」と気軽に話せる身内が大事なのです。

最初は浅い関係でも構いません。ご自身なりの方法や、後述する私なりの身内を増やす方法も参考にしてください。

ポイントはプライベートも共にでき、お互い助け合いの意識が理屈ではなく、無意識下にある関係ということです。


監査法人にいる間に、身内を増やすべき理由

「身内」は人生で最も大事な資産であるから

「身内」は何物にも代えられない資産であるにも拘らず、手に入れることが難しく、そして失いやすいです。

ご存じの方も多いかもしれませんが、改めてハーバード大学の「幸福と健康」に関する研究をご紹介させてください。

研究結果を要約します。「ハーバード大学の75年間にわたる追跡調査によれば、人間の幸福や健康は、年収、学歴、職業と直接的には関係ない。関係があるのは質のいい人間関係である」です。ポイントは友人やパートナーの数ではなく、関係の深さということです。

もしご興味あれば研究に関する記事はこちらです。
ハーバード大75年の追跡調査「人間の幸福と健康」を高めるたった1つの方法 1人でも「信頼できる人」がいるか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

深い関係を築くには、それなりの年月とトライ&エラーが必要です。ここでいうトライ&エラーは小手先のテクニックに関してではありません。

もっと深く「自分がどう在るべきか、どう生きるか」というレベルの話です。

以下書いているように、人材の宝庫である監査法人にいる間にぜひ、身内づくりにトライしてほしいです。


監査法人は人材の宝庫であるから

監査法人は人材の宝庫です。一人でも多く身内を作ればよかった、私が後悔していることです。転職して感じたことは、監査法人にいた人たちは優秀だということです。

管理職として投資銀行に移りましたが、入社してきた新人のレベルにびっくりしました。しかし、考えてみればそれもそのはず。会計士試験を突破した人材は1,2年ないしそれ以上の期間すでに勉強しているのです。その1,2年は伊達ではないですし、それを耐え抜いた人材はやはり優秀であると思いました。

それを前提に、監査法人を一つのコミュニティと考えると、非常に質がよいコミュニティであると言えます。

メール一つで色んな人と繋がれますので、ぜひその環境の恩恵を享受してほしいです。インサイダー情報を多く取り扱う私達ですので、社外と社内は別世界です。転職し、社外に出ると、気軽に連絡は叶いませんので。


実務は相談できる人が大事

実務では知りたいことに限って本には載っていないケースが多々あります。誰かの意見を聞きたい…、そう思う日が必ず来ます。

監査法人を出ると、期待されることは「即戦力」です。会計士に教えるなんて恐れ多い、むしろ教えてくれと思う方が大多数です。敬意をもって○○先生と呼ばれることも増えます。

しかし監査法人を出たばかりの頃、間違いなくぶつかる壁が「実務がわからない」です。そして知りたいことに限って本に載っていないじゃないかと悲 おそらく監査法人から出て、すでに働かれている方は共感いただけると思います笑

そんな状況の中、実務は幅広く一人では学びきれないかつ問題は大抵複合して襲ってきます(会計だけに限らず、労務など横断的に)。

その壁を突破するのに、大事なのが実務について相談できる身内です。

たしかに監査法人にいる間に色んな会社のケースを見ていれば、多少は対応力が上がるかもしれません。しかし、そうして学んだ実務は「その時点の」実務です。実務は刻一刻と変化していますので、その学びには賞味期限があります。

私見ですが、実務に関しては監査法人時代どんなに意識して学んだとしてもおそらく学びきれません。やはり業種ごとに慣行がありますし、IPO監査はまた一般的な監査とは違う。アドバイザリーもまた異なります。

それを踏まえると、極論自分で学ぶ必要はないのです。相談できる身内がいればいいんです。長い目で見て、各々得意分野を作っていく身内は本当に心強いです。(後述しますが、自分は自分の得意を作る必要があります)

身内を増やすには?

身内になるには時間がかかります。時間をかけたとしてもなれるか不明です。

しかし積極的にかかわりを増やしていかなければまずなれません。乱暴に言ってしまえば、この世のほぼすべてが確率論で説明できるわけで、試行回数を増やせばいつかは辿り着けます。

以下ではどのように試行回数を増やし、身内になれる確率を上げられるか、私なりに整理しました。ご参考にしていただければ幸いです。ただ身内になるというのは本当に難しく、いい方法があればぜひコメントください。私も勉強中です。

自分の武器を磨く

長期的な関係を築くには、GIVEできるものが必要です。聞き上手である、相手の知らないことを知っている、面白い等なんでもいいです。何かしら相手にプラスになるものを持っている必要があります。この関係フェアじゃないなぁと思われてしまったら、遠のいてしまうのです。

GIVEできるものは仕事に関するものでなくて全く構いません。参考までに、私なりの「人にGIVEできるもの」を見つけるコツを紹介させてください。

肝となるのは「人と比べないことです」。得意がない、強みがないという人はおそらく「人と比べて得意・強みがない」とおっしゃっているのではないでしょうか。真面目な方に限って、人と比較してしまいドツボにはまりがちです。

確かにスキルに限れば、残念ながら自分の上位互換は必ずいます。必ず。

しかし自分が最上位でないと得意と言えないのであれば、世界一の人しか得意分野がなくなってしまいます。世界一や、周りの人間の中で一番でなくても十分強みと言えるのです。以下とある歌詞の抜粋です。

得意な事があった事 今じゃもう忘れてるのは
それを自分より 得意な誰かが居たから

才能人応援歌 BUMP OF CHICKEN

人と比べず、過去を棚卸してみてください。必ず、なにかあるはずです。

ここまで書いて「強みを見つけ、磨く」という話だけで一つのnoteが書けてしまうことに気づいたので、続きは別のnoteで書こうと思います。

ちなみにどの時点で強みを十分に磨けたと言えるのか?それは紹介されるレベルになることです。

イベント主催者になる

イベントを主催しましょう。主催すると色んな人と接点が増えますし、頼られる回数が増えます。頼られると自然と情報も集まってきます。情報は不思議で、情報の発信者に集まります。

所属する監査チームによりますが、リモート環境が相まって監査法人では思った以上に関係が希薄です。入社1年後の同期にも関わらず、敬語で話してたりします。

イベント開催好きが周りにいない限り、自ら開催しないと仲を深めることが難しいです。

実は皆コミュニケーション取りたがってたりするので、開催すると感謝され周りへのGIVEになります。

理屈を超えた仲になるためには「10回お茶より1回ご飯、10回ご飯より1回泊まる」なのです。そういったイベントを企画してみましょう。

なお「自宅に泊める」はハードルが高いかもしれません。その場合、代替案が2つあります。

①旅行に行く
旅路でお互いの人柄も見れますし。計画するのが好きなのか、協力的なのか、お金の使い方、気分の浮き沈み、お腹がすいた時の行動 etc。学生時代、修学旅行でぐっと仲が深まった経験があるかと思います。それは社会人になっても同じなのです。

②ゴルフに行く
私は以前ゴルフに苦手意識を持っていました。接待に使われることが多く、なんだか下心のある人達が行くというイメージだったからです。しかし、モノは試しと一度やってみると接待に使われる理由がなんとなくわかりました。一日一緒に過ごせることと、プレースタイルでその人の人格が分かるのです。「こんな一面あるんだ!?」となかなか面白いです。

関係を結び続ける

人間関係は解けないわけじゃなく、結び続ける必要があります。このことは皆さんもご経験があるかと思います。昔はずっと一緒だったのに今は連絡も取っていない方がいると思います。

関係が途絶えた原因には色んな原因が考えられます。価値観が変わった、物理的に離れたetc。中には自分でコントロールできない要因もあるでしょう。明日の気分ですら、私たちは知ることができないのですから。

ここで関係を結び続けるコツは「定期的に直接会う」です。ご飯でも旅行でも、自ら企画するのです。私は少なくとも年に1回はそれぞれの身内に会うようにしています。

電話をしたり、メッセージを送ってみるも効果がありますが、直接会うには敵いません。このことはオンライン飲み会が定着していないことから明らかであると私は思っています。

面倒くさい、そんな思いを乗り越えて会いたいと思う人には自らアタックしましょう。

最後に

これからも「監査法人1年目の教科書」定期投稿予定です。いい記事って何だろう?といつも考えます。その問いに対する私の答えは「読んだ数年後も正しかった」と思ってもらえる記事です。正しくない情報も、真っ当にみえてしまうご時世ですが、いい記事を皆様に届けられるよう等身大で投稿します。

なお以下の記事が「監査法人1年目の教科書」シリーズすべてを集約したものです。私がこのシリーズを始めたきっかけ、込めた願い等も書いていますのでよかったらどうぞ!



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