創作台本「That's OMK」
登場人物
凡海 たける(ぼんかい たける)♂42歳
OMKニュースメインキャスター。
まじめが取り得。女の子は大好き。でも花房さんはちょっとにがて。
花房 麗子(はなふさ れいこ)♀33歳
OMKニュースサブキャスター。
色っぽさが売りだが、自分が色っぽい事には気付いていない。
天然ボケあり。
小痔馬 太郎(こじま たろう)♂35歳
OMKニュース現場レポーター。
目が悪い。時々ボーっとしてしまう。事件のある所どこへでもかけつける。
殿方 松男(とのかた まつお)♂28歳
天気予報士
山田 弘志(やまだ ひろし)♂51歳
イタリアンレストラン「シニョリータ」店長。
犯人♂??歳
正体不明。40代半ばと見られる。中華料理が得意。
曾樫 拳児(そかし けんじ)♂64歳
酔拳の達人。
迫田 宇宙(さこた ゆにば)♂19歳
はげ鷹ファイヤーズのドラマー。バンドネーム “シンバルのおさこ”
柿田 玄一(かきた げんいち)♂19歳
はげ鷹ファイヤーズのギター。バンドネーム “ハンマリングのゲン”
城 絵瑠藻(じょう えるも)♂19歳
はげ鷹ファイヤーズのベース。バンドネーム “ピッキングジョー”
警官♂31歳
賭けは好き
貴志くん♂12歳
足が速い。
マフィア♂52歳
走るのはあまり得意ではない。
That's OMK
凡海「OMKヌ...OMKニュース」(1回かむ)
~オープニング&提供~
NR「This program has been brought to you by(パッケージ)」
凡海「今晩は、OMKニュースの時間です。
今日もこのOMKスタジオから皆さんに沢山のニュースをお届けしてまいりたいと思います。私、凡海たけると、」
(キャスターテロップ)
花房「花房麗子がお伝えしてまいります。」
2人「よろしくお願いします。」
凡海「それでは早速、最初のニュースから。
○○県で、レストランに包丁を持った男が押し入りました。犯人は、現在も店内に立てこもっています。」
花房「今日午前8時頃、○○県○○市のイタリアンレストラン『シニョリータ』に包丁を持った男が押し入り、店長を脅した後、自前の包丁で調理を始めました。現場から入った情報によりますと、犯人が作った料理は酢豚やエビチリなどで、現在も店内で調理を続けているという事です。」
凡海「それでは、現場と中継でつながっていますので呼んでみましょう。」
2人「現場の、こじまさーん。」
★レストランシニョリータ前
小痔馬、マイクを持って立っている。
小痔馬「はい。」
凡海「…こじまさん。」
小痔馬「はい、何でしょうか。」
凡海「あぁ、レポートをお願いします。」
小痔馬「レポート?… 何の?」
凡海「えと、事件のレポートをお願いします。」
小痔馬「事件?...ああ、これね。はい、分かりました。
ええ、これまでに分かった事を申し上げますと、犯人が店に入ったのは今朝午前8時頃で、所持している包丁は中華包丁だという事がこれまでに分かっています。犯人が最初に作った料理は酢豚でしたが、その後も犯人は料理を作り続け、エビチリ、八宝菜、回鍋肉、春巻き、ニラレバなど、またデザートとして杏仁豆腐、さらには、イタリアンと中華の素材を織り交ぜた和洋折衷ならぬ中洋折衷とでも言いましょうか、中華と洋食のハーモニーが絶品の犯人オリジナルの新メニューなんかも作っているようです。
店内にない材料や調味料はアルバイトの店員に買いに行かせて、出来上がった料理はまず店長に味見をさせているという情報も入ってきています。」
凡海「ほう、おいしそうですね。
小痔馬さん、それで犯人の身元はまだ分からないんですか。」
小痔馬「はい、残念ながら犯人が何者なのか、また、どういった動機でこの店に立てこもっているのかと言った事はまだ何も分かっていません。ただ犯人は、誰にも危害を加える様子はなく、今は一生懸命レパートリーをこなしていっています。」
凡海「警察の動きなんかは、どうなっていますでしょうか?」
小痔馬「はい、警察も続々と現場には駆けつけているものの、捜査員の方々一同に、現場に漂うにんにくのにおいに魅了されて、捜査というよりは、どちらかというと試食会と言った状況が繰り広げられています。」
凡海「なるほど、気になるのはお客さんなんですが、店内にお客さんはまだ何人か残っているんでしょうか。」
小痔馬「では、中に入ってみましょう。」
パンすると入口に行列ができている。
凡海「ああ結構賑わってますね。」
花房「大繁盛ですね。」
店内に入って行く小痔馬
小痔馬「入口に近づくにつれ、中華料理のとてもいい匂いがします。」
★レストラン店内
店内、大賑わい。大勢の客が中華を食べている。
レジ前で「何名様ですか。」と対応する店員。隣に店長。
小痔馬「ええ、こちらが店長の山田さんです。こんばんは。」
店長「ああ、どうもこんばんは。」
小痔馬「事件の詳細をお聞かせ願いたいのですが。」
店長「ええ、びっくりしましたよー。最初はお客さんかと思ったんですけどね、包丁と中華鍋を持ってたんで、ちょっと違うかなとも思ったんですよ。でも本当にお客さんだったら失礼があるといけないでしょ。だから普段通りに応対したんですけど、気が付いた時にはもう、にんにくを刻んで、炒めていたんですよ。」
小痔馬「犯人の動機について何か心当たりみたいなものは、あるんでしょうか。」
店長「いや、何もありませんねぇ。」
少しうれしそうな笑みがこぼれる
小痔馬「そうですか。では、調理場に案内して頂けますでしょうか。」
店長「分かりました。こちらです、どうぞ。」
厨房に向かって移動する2人。途中で客が注文してくる。
客「餃子ある?」
店長「はい。ございますが。」
客「じゃあ、ひとつ。」
店長「かしこまりました。」
★調理場
調理場に入っていく店長と小痔馬。
忙しそうに店員が出入りしている。
ガスコンロで調理を進める犯人。
小痔馬「到着しました。こちらがその調理場です。そして、こちらで今なべを振っているのが犯人です。」
小痔馬「今作ってるのは何ですか。」
犯人「見りゃ分かんだろ。麻婆豆腐だよ。」
小痔馬「ほう、おいしそうですね。」
犯人「なに言ってんだよ。うまいに決まってんだろ。」
犯人、店長に気づく。
犯人「おい、何サボってんだよ。テレビなんか出てる暇があったら手伝えよ。」
店長「はい、すいません。ああそうだ、餃子ひとつ追加です。」
犯人「えー、また餃子かよ。いっぺんに頼めよな。」
厨房に入ってくる店員。手にできたての八宝菜を持っている。
店員 「すいません、八宝菜いくらでしたっけ?」
犯人「お前、一回で覚えろよな。400円だよ!」
店員「はい、すいません。」
厨房から出ていく店員
小痔馬「え?今の八宝菜、400円ですか?」
犯人「なんだよ、何か文句あんのか?」
小痔馬「いや、安い!」
店長「でしょ?」
小痔馬「すいません、僕の分も、持ち帰りで2人前お願いします。」
犯人「今、混んでっからよ。ちょっと待つぞ。」
小痔馬「いや、全然大丈夫っすよ。」
店長が、伝票を取り出して、小痔馬の注文を書こうとする
犯人「ああ、ちょっと待て。こいつのは、いいよ。」
犯人、小痔馬の方を向いて
犯人「オメーのは金いらねえからよ、ちょっと手伝え。」
小痔馬「え?ああ、僕ですか。何をやりましょうか。」
犯人「皿洗い!」
小痔馬「わ、分かりました。…ええ、では現場からは以上です。」
★スタジオ
凡海「いやー、おいしそうでしたね。そして、安い。」
花房「ホントですねー。
実は、その酢豚と海老チリなんですが、先ほどスタッフがこのスタジオまで届けてくださっているんですよ。」
凡海「なんと!」
バニーガール登場。料理を運んで来る。
凡海「これは、実際に犯人が作ったものなんですか。」
花房「ええ、もちろん。後でいただく事にしましょう。」
ポーズを決めて去るバニー。凡海、目で追いつつ
凡海「こっちもおいしそうですね。」
花房に睨まれ、咳を鳴らして仕切りなおす凡海。
凡海「では、次のニュースです。
○○市で路上演奏を行っていたアマチュアバンドに、酔っ払った男性が絡んで、一時大騒動となりました。」
花房「演奏を行っていたのは、○○市に住む迫田うちゅうさん、通称“シンバルのおさこ”率いるバンド『はげ鷹ファイヤーズ』のメンバーで、事件が起こったのは昨日の午後11時頃でした。
事件を起こしたのは○○市に住む無職、曾樫拳児容疑者で、事件当時はかなりの泥酔状態でした。警察の話によりますと、曾樫容疑者は繁華街で酒を飲んで家に帰る途中、路上で演奏していたバンドの前を通りかかり、メンバーの1人に、うるさいと言って絡んで行きました。
気を悪くしたメンバーの1人、“ハンマリングのゲン”こと柿田玄一さんがギターで曽樫氏を殴ると、後の2人、“シンバルのおさこ”とベース担当の“ピッキングジョー”こと城エルモさんも加わり、大乱闘となりました。」
凡海「なんとOMKでは、この現場を偶然にもカメラで捉えた貴重な映像を入手いたしました。さっそくご覧下さい。」
★VTR/乱闘
はげ鷹ファイヤーズが演奏している。
曽樫、ふらふらと歩み寄って来る。
曽樫「うるへーんらよ」
ゲン「何だテメー。今何言ったよ。」
曽樫「うるへーってひったんらよ。」
ゲン「何だとクソじじい、テメーこそ酒臭ェんだよ。」
ゲン、ギターでどつく。
曽樫「ああ、なにすんらー。やんのかぁ。」
残りのメンバーも加勢し、曽樫をやっつけにかかる。続々と野次馬が集まってくる。警官がやって来て、仲裁に入る。
警官「こら、やめなさい。3人がかりで卑怯じゃないか。」
うつ伏せに丸くなっていた曽樫、立ち上がる。
曽樫「そうら、卑怯らろ。」
意外に元気な曽樫にギャラリーが「おお」っとどよめく。
ゲン「ようし、じゃあ1人で相手になってやるよ。」
警官「だめだ、やめなさい。」
曽樫「いや、おまわりしゃん、止めないれくれ。1人なら大丈夫ら。」
警官「大丈夫な訳ないでしょ。あんたみたいな酔っ払いの爺さんが勝てる相手じゃないんだから。」
曽樫「じゃあ、あんたあっちに賭けるか。」
警官「当たり前でしょう。」
曽樫「よし、のったど。俺は、自分に賭けるろ。」
曽樫、立ち上がって背広を脱ぐと、下にカンフー服を着ている。再びギャラリーがどっとうなる。警官も驚く。そのギャラリーに向かってもう一度。
曽樫「ほかに俺に賭ける奴はいねえのか。」
ギャラリーの間でもどっと賭けが始まる。
警官「あんた、拳法つかいなのか。」
曽樫「さあね。」
警官「ちょっと待った。やっぱり俺もあんたに賭けようかな。」
曽樫「お好きに。」
ゲン「どうでもいいけどよお、早くしろよ。」
曽樫、おもむろに酒瓶を出して一気に飲む。
曽樫「よし、行くのら!」
乱闘始まり、曽樫、酔拳で大暴れ。曽樫が勝ち、警官と抱き合い大喜び。ギャラリーでも賭け金の払い戻しが始まっている。ゲンが負けて、他のメンバーも曾樫に襲いかかるが、一網打尽にされる。
★スタジオ
凡海、酢豚を試食中。
カメラが戻って慌ててむせるが、なんとか呑み込む。
凡海「いや、すごい乱闘でしたね。」
花房もエビチリがまだ口に残っており、口元に赤いソースが付いている。あわてて呑み込んで
花房「ええっと、ここで訂正です。先ほど原稿の中で、迫田うちゅうさんとお伝えしましたが、正しくは、さこたゆにばさんです。宇宙と書いてゆにば、と読むそうです。失礼いたしました。」
カメラ、凡海に切り替わるが、
花房「(聞こえる小声で)バカじゃないの?宇宙でゆにば?キラキラにもほどがあるでしょ。…」
戸惑う凡海、横でぶつくさ言ってる花房に目配せするが、無視
凡海「花房さん、花房さん、入ってる、入ってるよ」
マイクを指さしている凡海のジェスチャーで花房気付き、少しあせるが、満面の笑顔で
花房「はい。えーっと、それでは、CMです。」
★VTR/「あごセンサー」CM
NR(タレント)「仕事の合間の昼休み、車を運転している時、子守唄を歌われてしまった時、(イメージ映像後、タレント登場)私たちの生活の中で睡魔は突然やってきます。しかし、眠ってはいけない状況での睡魔は、まさに人類の大敵です。そこで、ジョニザックの顎センサー。(商品アップ)ついウトウトしてしまい、眠りそうになった時、下がった顎に敏感に反応し、電気ショックで起こしてくれます。(イメージ映像)
レビュー映像
サラリーマン「今までは、会議中につい、ウトウトしてしまってて、よく課長に叱られていたんですが、これを使うようになってからは、もうそんな事はなくなりましたね。」
婦人「私、もう歳でしょ。よく電車なんか乗ってるとね、乗り過ごしちゃうのよ。そしたら、また反対側の電車に乗って引き返さなきゃいけないじゃない。でも、これつけたら、寝ちゃうことなくなったわ。」
看護師「仕事でどうしても寝不足になりがちなんですけど、何ていうの?電気ショックが、中途半端じゃないから、どんだけ寝ててももう、絶対に目が覚める。」
タレントに戻る
「どうですか?すごい反響ですね。これで、大事な会議で眠ってしまうような大失態や、居眠り運転とは、もうおさらばです。(イメージ映像)ジョニザックの顎センサー。首かけタイプなので持ち運ぶ必要もありません。着用するのが恥ずかしいと言う方にはカモフラージュタイプもあります。いつでもどこでも顎センサー。ジョニザックの顎センサー今なら1年間の保証付。私も使ってます。」
★スタジオ
花房に戻るカメラ。
花房、どうしていいか分からずとりあえず笑みでごまかしながら、凡海に何かを伝えようとする。カメラ引く。
眠りかけてる凡海、カモフラージュ型顎センサーで目覚める。
凡海 「はいー。それでは、続いてスポーツです。」
花房 「はい。お伝えします。
今日は○○小学校で親子共同参加の区民大運動会が行われました。借り物競争の映像が届いていますのでVTRをご覧下さい。」
★VTR/区民運動会
スターター 「よーい、ドン」
一斉に走りだし、コース上に巻かれたメモを拾って各々に見る子供達。メモ=「めがね」、「おにぎり」、「ランドセル」、「コップ」、「とんぼ」6コースの子供は「アタッシュケース」。少し悩むが辺りを見回し、会場内にアタッシュケースを持ったマフィアを見つけ、走り出す。
マフィアから鞄を奪い、驚いたマフィアが追いかけてくる。逃げる子供。他の子を抜き、1番になるが逃げつづける。
先生 「ちょっと貴志君、どこ行くの。」
2着のマフィア、貴志を追う。
マフィア 「こら待て、くそガキがぁ。」
★スタジオ
フリップに戻る。
花房「各競技の結果はこのようになっています。で、結局勝ったのは白組でした。」
凡海「それにしても貴志君は、どこまで行っちゃったんでしょうね。」
花房「貴志君、近所でも足が早いって評判だったみたいですよ。まだ走ってるんじゃないですか。」
凡海「ほう、そうなると持久力もかなりのモノが必要になってきますね。それではお天気まいりましょう。殿方さん」
殿方「はい、では明日の空模様をお伝えします。まずは概況からです。明日は、太平洋からの高気圧が大陸側の低気圧の前線とぶつかり合い、さらには日本上空に停滞中の寒気団ともみあって全国的に楽しい天気になりそうです。
それでは明日の全国の天気予報です。北からまいりましょう。まず北海道ですが、昼間は前線の西側に落ち着いて晴れまたは雨の天気となりますが、夜になるにつれ、空が徐々に暗くなっていくと思われます。女性の方は特に暴漢などに注意してください。
続いて本州です。明日の本州は寒い季節になりますが、雪が降るようなことは多分ありませんので道などで転ぶ心配はないでしょう。ただ、くれぐれも風邪をひかないようにだけは注意してください。四国地方は、全般的に晴れ模様ですがひょっとするとどこかで雨がふるかもしれません。気になる方は一度下駄を飛ばしてみてください。最後に九州地方です。九州地方の天気ですが、こちらの明日の天気は、明日になってみないと分かりません。私個人としては、明日は、晴れだと思います。以上、天気予報でした。」
凡海「明日は明日の風が吹きそうですね。それでは今夜はこの辺で。また、お会いしましょう、ごきげんよう!」
カメラ引いていく。
貴志くんとマフィアがカメラの前、走り抜けていく。驚きながら、目で追うキャスター。
エンドテロップ
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