【器のはなし】かわいいもので心を救う。かわいいは疲れに効く。
何もしてないのに暑さで疲れる夏よ。いまさら熱中症対策でタブレットと粉アクエリを買ってきた。軽い熱中症に一度なった後遺症が続いている。春雨スープに浮いているお花の具材の可愛さに救われるんだから、可愛いものを見せて他人の心を救うのは、今、まさに今、求められていることのはずだ。
今回は、私が実際に何度も元気づけられた器を紹介する。
ざっくりしたゆるゆるの絵付けに良い予感を感じる。まあね、とりあえず一周分の写真をご覧ください。
これ!この背中のこれ!!雀!!!何度見ても良い〜〜〜!!!!
こいつらに何度助けられたことか。在庫的には他にもあったんだけど、買った時点で選んだのがこの二つだった。本当にかわいい。疲れた心に染み渡るかわいさ。銘菓のひよ子に尻尾と羽をつけたみたいなフォルムよ。今思ったが、世間のゆるキャラはこれくらい作画の幅あっても良いな。そこまでゆるいんだ……っていう。
竹林図も二つを見比べると結構違いがあって面白い。筆跡的に同じ人が描いたんだろうけども。雀の顔側、向かって竹の左側の笹の上になんかこんもりしてるのは、雪なのかな。
雪持ち竹の意匠も割と好きなんだよな。持ってるかな〜って食器棚探したけど無さそう。探さないと持ってるか分からない。
向付だから昔は小鉢で使われてたものなんだけど、今は小鉢に深さが求められてないから、蕎麦猪口、湯呑み、プリンの入れ物などに使われがち。今年の夏は麺つゆ入れられがちだったな。向付自体はぐい呑みの元になったものだから焼酎とか入れてぐいぐい飲むのも良い。
向付の好きなところは、猪口よりだいぶ廉価で買えるのと形が結構自由で選ぶ楽しさが幅広いこと。なんだったら筒型じゃなくて四角柱型のものもあるし、六角八角もある。口が朝顔の花みたいに外側に沿っているものもある。帽子みたいに口が直角に曲がっている鍔縁もある。あとは内側に絵付けされてるものが多いのもポイントかも。蕎麦猪口は内側に絵付の無いものも割とある。
ただ、上手のものを求めるなら蕎麦猪口のが探しやすい。今回の向付みたいなゆるいものが蕎麦猪口には少ない気がする。猪口は明治入ると印判か山水図か矢羽根か市松とかの定番柄ばかりになるので、集めていくとほぼ江戸期の中で探すようになるだろうし、磁器は全体的に明治より江戸のが手が良いものが多い。だからランクが上とされているものを選びやすい。
私はランクが下、つまり庶民、大衆向けだったり絵付けが雑なものに惹かれがちなため、自分の趣味が財布に優しくて非常に助かっている。
上手のものだと、柿右衛門は見れば見るほど、いいなー欲しいなーって思うんだけど、古九谷はものによる。柿右衛門、図柄が食器としての使用を重視してるから器として使ってみたくなるし、筆致の繊細さがずば抜けていて「綺麗なだけじゃん」の域を超えてくる。4Kを初めて観た人が、肌の質感見えすぎだろって驚いてしまうみたいな、スルーできない美しさがある。
最後の方は全然関係ない話をしてた。そうだった、今回はかわいさで心を救う回だった。かわいいものを抱きしめて、なついあつを最後まで乗り切ろうね。
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