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人との関わりが大切。感覚遮断の実験から考えると引きこもりとの関係
下記にリンクいたしました、前回の記事で
「不登校、引きこもりやうつ状態は自分の命を守っている状態」と説明させていただきましたが、今回はさらに一歩進めて、引きこもって命を守っている状態だけれど、一定の条件を満たす必要があることをオピニオンの最後にお伝えしたいと思います。
それは「人とのかかわりを無くしてしまうと病状が出てくる可能性がある」というものです。
1951年にドナルド・ヘッブという心理学者が学生の協力のもとに医療体制を構築したうえで行った【感覚遮断】という実験があります。
その内容は14のワンルームのような個室を設け、学生に一人ずつ入っていただき誰とも話せない、食事はランチボックスで与えると言った独房のような状態におき、その中で生活をするとどのような変化があるかという人体実験です。
皆さんは一人きりでいるとどのようになると思いますか?
最初はリラックスしていても誰とも話をしない状況に置かれると、気持ちが落ちもんでしまう方も少なくないように思います。
この実験結果では80~90時間が経過するとその学生たちは“幻聴・幻覚・妄想”といった症状が現れたそうです。
一人で誰とも関わらない孤立している状態になると精神面の病状が出てくるようになったのです。
自宅二階の部屋に閉じこもっている子どもに親が心配だからと部屋のドアの前まで食事を持って行ったとすると、この感覚遮断の実験と同じようになる可能性があります。
1972年にグアム島で発見された元日本兵横井庄一さんがいましたが、横井さんはジャングルで戦後28年間地面に掘った穴に身を隠して野ネズミや木の実などを食べて暮らしたそうです。自分自身で食べる努力をしていたように思います。
このことから考えると人間は本来「生理的欲求(食べたい)という欲求」がありますが、二階の部屋で閉じこもっている子どもに食事を与えていると生理的欲求を満たすことができなくなり、病状が出てくる可能性があるように思います。
一方で横井庄一さんは自分から生きるために食べたいという欲求のために、病状が出なかったともいえると思います。
親として「食べたかったら自分で食べろ」との気持ちで接することで、子どもは自分から仕方なく部屋から出てくるようになりますし、部屋を出るきっかけになるように思います。
さらに、子どもの名前を呼んで「食べたんだね。ありがとう」とドア越しでも話しかけることが大切のように思います。
現代社会では「何でこんな事件が起きたんだろう」と思いもよらない事件がありますが【感覚遮断】の状態になっている方が少なくないと思います。
孤立を無くし落ち込んでいる方がほっとできる環境を私たち一人ひとりが意識して相手の成長を信じて見守ったり、安心の「味方メッセージ」を伝えることが大切と思います。