ドラゴンキラー
せんべい布団の中で闇を見つめながら
思い出す
祖父がよく言っていた
人間誰もが、生まれた時から小さな龍を持っている
そいつは飼いならさなきゃいけない
そうしないと、自分が食われてしまう
たぶん、それは太古の昔にぶっ殺した奴らの消えない呪いなんだろう
本能は無くならない
俺たちが奪いつづけ、血を流す限り
エサを得て力を蓄えて少しつづ毎日を暮らしていくだけのどうでもいい理由を生み出していく
カタチだけある様に見えて、しっかり色だけは奪われていく
輝いていたはずの道のりが
既視感のある闇に変わっている
追い風だと思っていたのはただの風だ
友だと思っていた連中の、すでに背中を眺めて俺は彼らの道にいたモブだったのか?
いや違う、きっと・・違う
痛みに対して向かっていった身体は
新しい傷が怖くて逃げる
用事があって、今日は疲れてるからと仰向けになり、この天井の景色が変わるのは俺が死んだ後だろうか?
弱肉強食の世界なら、俺はなんという生き物か?
どれにも当てはまるわけは無い
俺は人間だ
ドラゴンを倒して地上の覇者になった人間の末裔。みんなそうだ。ドラゴンに勝てないわけは無い
装備はどうだっていい。敵も選ぶな
スライムでも経験だ
魔王に負けても経験だ
俺は自分が弱い理由を探してばかりだ
そろそろ闘う理由を思い出そうと思う
きっと、それが唯一のドラゴンキラーさ