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フランス料理のマメ知識~用語総集編~

フォン関係

クールブイヨン

COURT BOUILLON と言葉の通り『短い』を意味する。基本的には野菜のみでだし汁を取り、何かを茹でるときに使う。これ自体をスープのベース等に使用することは無い。なぜなら「香り」しかないからである

ナージュ

NAGEと言葉の通り『水泳』である。つまり何かを茹でるときに使う。基本的にはCOURT BOUILLONと同じだが、白ワインやヴィネガーを用いるのが特徴。魚や甲殻類を茹でるときに使うので、臭みけしとしてこれらを用いる。

実際に表面にNAGEの香りが移り、臭みがとれるが、美味しいかと聞かれると悩ましい。あまり使わない

ブイヨン・ド・レギューム

野菜だけをたっぷり使った、甘味と香りを生かしただし汁。こちらは甘味と香りを加えたいときに、ソースやスープのベースに使用する。

トマトソースや、野菜のスープベース等に使うと、香りに深みが出て、甘味でコクを感じやすくなる。

フォン・ド・ヴォライユ

老廃鶏、鶏がら、くず肉にあわせて香味野菜とともに煮だすだし汁。どんな料理でも合わせやすい特徴がある。香味野菜を入れないと、臭みが際立つのでこのようなルセットになっている。

スープのベースや、煮詰めてソースの旨味を補う場合に使用する。鶏の出汁だが、魚のソースに使ってもよい。

フォン・ド・ヴォー

子牛(VEAU)の肉・骨や香味野菜をしっかり色付けてから煮だす出汁。しっかりと焼き色をつけた分の旨味が出るので、コクが強く香り高いのが特徴。

ソース・エスパニョールやドゥミグラスに使用することも屡々。このだし汁を煮詰めたら、ゼラチン質の濃度が高いのでグラスになる。半分以上に詰めたものをフォンドヴォ・コルセと呼ぶことがあるが、現場でコルセという単語が飛び交うことは無い。

赤ワインを加えたフォンドヴォーを煮詰めれば、ソース・ヴァンルージュにもなり、万能なフォンであるが、手間がかかるので一から煮だす人は少ない。今では冷凍の既製品を使うことが多い

フュメ・ド・ポワッソン

魚のあら・香味野菜・白ワイン等で煮だすだし汁。魚の臭みが出やすいので、白ワインの酸味やレモン汁などを多用して、香味野菜もたっぷり使用することが多い。

旨味を凝縮させたい場合は、薄く作ったものを煮詰めて使う。なぜなら濃く作ったフュメ・ド・ポワッソンは臭いからである。基本的には白身で淡白な魚を選んで使う事が多い。

このだし汁を煮詰めて、白ワインを煮詰めたものと合わせると、ソース・アンブランになる。ほかにもソース・アメリケーヌやソース・ベアルネーズ等に旨味の補強として使うこともある。

フュメ・ド・ポワッソンをとる要領で、ヴィネガーをたっぷり加えてそのままソースにすることもある。魚介のヴィネグレットは、魚のソースとして使うことが出来る。

フォン・ド・ジビエ

ジビエや香味野菜を使って煮だしただし汁。基本的にはフォンドヴォーやフォンドヴォライユと同じような工程で作ることが出来る。

肉の種類がジビエになっただけで、特に変わった点はない。ジビエのフォンはジビエのガラを多く用意することが難しいので使う場面は少ない。よってジビエと一括りにしてフォンをとることがある。

ソース関係

ソース・ベシャメル

牛乳・小麦粉・バターで作る白いルー。小麦粉をしっかりと加熱して、小麦粉臭さを消すのが肝であり、牛乳とバターは小麦粉を繋いで、ソースにする役割を持っている。

ルーなので、グラタンやコロッケーなどにも使うことが出来る。同じ要領で分量を変えれば、ブールマニエが出来る。ブールマニエとは小麦粉とバターだけで作った、ルーに濃度を持たせたり、モンテをする際に使うもの。

ソース・ヴルーテ

ソース・ベシャメルと同じように作るルー。フォン・ド・ヴォライユやフュメドポワッソンなどを使用して、旨味を補ったもの。

フォンの味をダイレクトに伝えたいソースの場合に、ヴルーテとしてソースにする場合がある。フォンの代わりに野菜のピューレを使用して、カブのヴルーテなどにすることも可能。

ソース・オランデーズ

卵や油を使用したマヨネーズのようなソース。卵黄に火を通す作業があるため、厳密にはマヨネーズではない。

65度から70度前後の湯煎で卵黄に空気を入れながら、しっかり泡立てることで軽い食感でコクのある仕上がりになる。白味噌をくわえたり、チーズを加えることで、様々なオランデーズソースに応用できる。

ソース・ベアルネーズ

ソース・オランデーズに旨味をさらに加えたソース。基本的なレシピではシブレット・パセリ・セルフィーユ・エストラゴン、エシャロット等を加える。魚に合わせる場合は煮詰めたフュメ・ドポワッソンを使う。

マヨネーズにエシャロットやハーブを加えた、いわばタルタルソースのようなもの。エストラゴンやシブレットなどの香草が、魚料理に合わせやすいサッパリとした味わい。

ソース・レムラードにも似ており、ソースレムラードはマスタード・ピクルス・ケイパー・ハーブなどを加えて作るマヨネーズから派生したソースである。よくアスパラガスのソースとして使われることが多い。凡庸性が高く、応用もしやすいソース

ソース・アメリケーヌ

名前の通り『アメリカン』なソース。甲殻類のガラと香味野菜を使用して煮だすだし汁。

細かく説明するならば、フォン・ド・オマールをとり、それを煮詰めてフュメドポワッソンやブールマニエなどで濃度やコクを加えたものがソースになる。フォンドオマールやフォンドエクルヴィスやフォンドクラブなどと味わいはそこまで変化ない。

甲殻類のソースで、身からも旨味がでるが、殻からでる色素や香りが重要になる。煮だしすぎると、殻からエグみがでるので要注意。シンプルにオマール海老と合わせることが多い。

ヴェルモット等とあわせて香り高いソースにすることも屡々。そのほかにもクリームを加えてビスク風にするなどの応用方法がある

ソース・エスパニョール

とにかく茶色に仕上げ、肉の旨味を凝縮させたソース。しっかりと色付けた小麦粉でルーを作り、そこからフォンドヴォーで牛すね肉などを煮だす。ベーコンやトマト等も使用して、色合いや旨味のバランスを調整する。

いわゆるソース・ヴルーテの茶色バージョンです。これをさらに煮詰めると、ソースドゥミグラスになります。基本的には派生する為に使うベースのようなものです

ソース・マデール

その名の通り『マディラ酒』のソースです。ポルトガル領のマデイラ島で造られている酒精強化ワインであり、ポルトガルのものしか存在しません。

マディラ特有の甘味と香りがする為、煮詰めてフォンドヴォーなどと合わせてソースにする。肉料理に合わせることが多い

ソース・ヴァン・ブラン

その名の通りSOUCE VIN BLANCと白ワインソースのことを指す。ソースマデールやソース・ヴァンルージュと同じ工程で作ることが出来る。

フュメドポワッソン、白ワイン、エシャロット等が旨味のベースとして使用され、白く仕上げる。こちらのソースの原料である白ワインを、ヴェルモット等に変えることで、応用したソースを作ることが出来る。

勿論、柑橘のジュやゼストを加えて、柑橘のヴァンブランにしたり、フルーツを加えて甘味のあるソースにすることもできる。

世間一般で「白ワインソース」として浸透しており、魚介類と合わせることが多い基本のソース。

ソース・ヴァン・ルージュ

その名の通りSOUCE VIN ROUGEと赤ワインソースのことを指す。ソースマデールやソース・ヴァンルージュと同じ工程で作ることが出来る。

赤ワイン、フォンドヴォー、エシャロット等が旨味のベースとして使用される。ソースの主原料である赤ワインを、マディラ酒やポルト酒に変えることで、ソース・ポルトやソース・マディール等に応用することが出来る。

世間一般で「赤ワインソース」として浸透しており、お肉と合わせることが多い基本のソース。

ブール・ブラン

ソース・ヴァンブランに近いソース。その名の通りBEURRE BLANCと白いバターの意を持つ。つまりバターのソースである。

旨味の補強に、エシャロット、白ワイン、白ワインヴィネガー、生クリームを使用するが、材料としてはソースヴァンブランと似ている。

バターの使用量が多く、ドレッシングを作るときのように、溶かしたバターを最後に乳化させていく作業が重要になる

野菜を使ったオードブル

ア・ラ・グレック

つまり「ギリシャ風」の意味を持ちます。ア・ラ・グレック自体の言葉としてはギリシャ風であり、レギューム・ア・ラ・グレックであれば、ギリシャ風の野菜(ピクルス)という意味を持ちます。

基本的にはオリーブオイル、白ワイン、レモン汁、香草や香辛料とともに冷やして使用する料理のこと。つまりマリネやピクルスを指します

ニース風

南フランスのニースを指します。ニース風サラダは、すべて生の野菜を使い、ソースにはヴィネガーを一切使用せず、トマトは4つ切りにする等の条件があります

カクテル

カクテルといえば数種類の酒を混ぜ合わせた飲み物のことであるが、料理では材料を何種類か混ぜ合わせて彩りよく盛り付けた冷たいオードブルのことをいう

小エビとアボカドのカクテル等が一般的に作られることが多い。

タルタル

生の素材を細かく切って調理したものを全般的に「タルタル」と称しています。中央アジアの遊牧民からきた言葉が語源とされています。

鮪とホタテ貝のタルタル等、魚介類で合わせることが多い調理ですが、生肉と香味野菜を細かく刻んで食べたものが、ヨーロッパに伝わりタルタルステーキとして伝わったと言われています。

トマトとカニのミルフイユ仕立て

ミルフイユとは、MILLEは千 FEUILLEは葉を意味しており、食材を重ね合わせた料理のことを指します。

色合いを良くする為に、ソースヴェルト等を用いてカラフルに仕上げると、良さが行きます。パイ生地を使用して前菜やデザート等、幅広く使用できます。

サーモンのマリネ ポーピエット仕立て

PAUPIETTEとは薄切り肉で野菜等を巻いて、筒状にして蒸し上げるフランス料理のこと。似た言葉にパピヨットというフランス料理もある

パピヨットとは、「紙で包み焼き」にした料理のことを指します

舌平目のポーピエットなども作ることができ、舌平目を折り曲げるような形で、中に舌平目のムースを用いることで料理が完成する。

それと付随してリヨン風クネル等も挙げられる。本場リヨンでは基本的には川魚で作られるものを指す。すり身とパナードを合わせて作るクネル(魚のすり身で作るムースのようなもの)は、ソースアメリケーヌと合わせて食べる料理である。

叩いて伸ばしたサーモンで野菜等を巻き込んで、ポーピエットとして提供することがある。

それと似た料理に、ガランティーヌ(温製)・バロティーヌ(冷製)と呼ばれるフランス料理がある。

ガランティーヌ・バロティーヌ

主に、鶏肉や魚肉等の詰め物を、低温で茹でて提供する料理のことを指します。GALANTと「洗練された」の意味をもつ。その背景にはアスピック等でコーティングしキレイに見せて豪華に盛り付けてきたことから来ている。

基本的には、鶏肉のガランティーヌとして提供されることが多く、ポーピエットと同様に筒状に仕上げることが多いが、ガランティーヌ自体に筒状の意味はない。

カニのスフレ

SOUFFLEとは「吹く」という意味がある。メレンゲに様々な材料を混ぜてオーブンで焼いて作る、口当たりが軽い料理のことを指します。

デザートではなく、料理で使われるスフレは、一般的にソース・ベシャメルをベースとして作ることがある。魚介類のスフレの場合は、様々な魚のすり身を使用して、卵黄等で繋ぐ。メレンゲと混ぜ合わせ焼き上げることで完成する。

鶉の温かいパテ ソース・ポルト

パテとは、細かく刻んだ魚や肉をベースに作るファルスを、焼き上げた料理。テリーヌ型を使用して焼き上げられた料理を単にテリーヌと呼ぶこともある。

パテの語源はパイ生地から来ており、実際にはパイ生地で包んだ料理の事を言うが、最近ではパイ生地の意味を失ってい

パテアンクルート等では、ピスタチオやトリュフを用いることが多く、切った断面の華麗さで競い合う人が多い。フォアグラ等を使用して触感を補う人も多い

エスカルゴのフイユテ

FEUILLETEEとはFEUILLEとミルフィーユと同様に「葉」を意味し、織り込んだ生地のこと、つまりパート・フイユテを指します。パイ生地のことですね。

単純にクリーム煮にしたエスカルゴを、焼き上げたパイ生地で挟んで、フイユテと呼ぶことが出来ます

フォアグラのテリーヌ

高級なオードブルの定番である。各種の酒や香辛料のバランスで味が大きく左右されるが、フォアグラ自体の良し悪しによって大きく影響を受ける。

基本的には、フォアグラの下処理を済ませて、香辛料や酒でマリナードする。その後、湯煎やスチームコンベクションなどで、中心温度を50度前後になるように加熱したものを指す。時には成形したり、グースファット(鴨の脂)でコンフィーにすることが多い。

カトルエピスやマディラワイン、ポルト酒、コニャック等をマリナードに使用することが多く、砂糖はトレハロースで代用することが多い。

カリフラワーのヴルーテ

ソース・ヴルーテで挙げたように、野菜を用いて仕上げる料理もある。

カリフラワーをベースとして、旨味のベースをフォンドヴォライユや生クリームで仕上げる。小麦粉やバターなどで濃度を漬けることによってヴルーテに仕上がる。白く仕上げるのが基本なので、白い食材を、色の変化が無いように仕上げる工夫が必要になる

平目のボンファム シャンパン風味

「ボンファム」とはフランス料理の家庭料理や田舎料理に着けられる名前なので、あまり高級レストランでその名前が使われることは無い。

ソースオランデーズなどがベースとなって、グラタンのように最後に焼き色をつけて提供される料理。勿論ソース・オランデーズではなく、卵黄さえ入っていれば、泡立てた生クリームなどで仕上げることもできる。

主の食材である魚介類は、様々なお酒を使用してポシェすることで、風味をつけてアレンジすることが出来る。

舌平目のノルマンディー風

その名の通り、ノルマンディー地方の特産物である、シードルやバター、生クリームを使って作られる料理のことを指す。

煮た調理をするものとして、コトリヤード風等があげられる。いわゆるフランス・ブルターニュの郷土料理。もとは、鍋ひとつで作る豪快な漁師料理で、ブイヤベースを白く仕上げた料理のことを指す。

最後に生クリームで白くし、まろやかにまとめ上げる調理工程が入るだけで程ブイヤベースと変わらない。臭みが強調されるのを防ぐために、白ワインやヴィネガー、レモン汁、香草などで調整する

舌平目のデュクレレ風

デュクレレ風とは、デュクレレというフランス人の名前を指す。同じように名前がフランス人の名前になった料理に、ロッシーニ風や、ソース・ショロン等があげられる

白身魚を、エシャロットやトマト等と一緒に白ワインで煮た料理のことを指す。煮汁にバターを加えたソースをかけて提供する。こちらもブイヤベースが派生したような料理であることに変わりはない。

ホタテ貝のア・ラ・ナージュ

「ナージュ」とは水泳のことを指し、同様の調理法の意味を持つポシェがある。ナージュという液体の中で茹でる調理法。

魚介類のパナシェ サフラン風味

パナシェとは、色や味、形の異なる材料を二つ以上あわせて混ぜ合わせた料理やお菓子のことを指す。実際にはビールをベースにした冷たいロングドリンクのことで、言葉の意味は「混ぜ合わせた」の意味を持ちます。

カクテル界隈では、あくまで透明であることが条件とされています。

それと単体の言葉の意味を持つデクリネゾンという言葉がある

デクリネゾンとは、言葉の意味としては「変格」「方位角」「偏差」という意味を持っています。フランス料理で使う場合は、同じ食材を異なった調理法で仕上げて提供する場合を指します。

ホタテ貝のデクリネゾン 2種のソース

デクリネゾンとは、言葉の意味としては「変格」「方位角」「偏差」という意味を持っています。フランス料理で使う場合は、同じ食材を異なった調理法で仕上げて提供する場合を指します。

「ホタテ貝のマリナード」と「ホタテ貝のア・ラ・ナージュ」を同じ皿に盛り付けて、違う味わいを感じてもらう場合、デクリネゾンという言葉が使われます。

鮭のパヴェ オゼイユ風味のソース

パヴェとは、フランス語で「石畳」「敷石」のことを指します。敷石や石畳みのような見た目に盛り付けたときに、用いる用語です。

モダンな見た目に盛り付け、鮭が石畳みのように見える盛り付けをすれば、パヴェと呼ぶことが出来るでしょう。実際にフランス料理用語というわけではないので、日本人には伝わりづらいかもしれません。

グルヌイユのムニエール プロヴァンス風

グルヌイユとはカエルのことを指します。グルヌイユの足は、チューリップのような見た目をしており、盛り付けやすいことから、フランス料理でよく使われる食材です。

味わいとしては、淡白な鶏肉の味がするため、高級料理に向いていませんが、実際に創意工夫をして、高級料理に用いられることが多いのが事実です。

ほとんどムニエルにするのが一般的で、淡白であることから、しっかりと旨味を閉じ込めるような調理が向いています。ロティやポワレなどの素材を生かした調理をすると、グルヌイユ自体に旨味が多くないので、面白みがあったない料理になります。

スズキのパイ包み焼き ソース・ショロン

ソース・ショロンは19世紀末に料理人ショロンが考案されたとされるソースです。実際にスズキのパイ包み焼きに合わせるソースが定番になっています。

簡単に説明すると、ソース・ベアルネーズに熟れたトマトの果肉を加えたソースのことを指します。考案したというほどのソースではありませんが、汎用性が高く、トマトの旨味と酸味がよく合います。

スズキのロースト ソース・ヴィエルジュ

ヴィエルジュソースとは、トマトをベースにエシャロットやニンニクなどを煮込んだソースのことを指す。ソースに濃度があるわけではなく、シャビシャビのブールノワゼットのような纏まりのないソースになる。

舌平目のフリット コルベール風

コルベール風とは、ルイ14世統治下の政治家コルベールに敬意を表してつけられた、あるいはコルベールのお気に入りの一皿だったという説がある。

パン粉でパネした舌平目に、メーテルドバターを添えたシンプルな料理である。

メーテルドバターとは、パセリのみじん切りを練りこんだバターのことを指します。香草の香りがするバターを、温かい料理に乗せることによって、バターが溶けながら、パセリの香りが立ちます。

肉の分類編

子羊・羊

一般的に子羊のことはアニョーと呼ぶ。一般的には生後1年未満のものを子羊と呼ぶ。羊は成長すればするほど、独特の臭いがするのに加えて、肉が固くなるので、子羊が好んで使われる。

日本で使われる羊肉は、ほぼ輸入に頼っている。

首肉、肩肉、キャレ、セル、胸肉、もも肉と様々な部位の名称がある。キャレと呼ばれるあばら骨のついている背肉は、コートレットとして用いることが多い。よく見られる部位である

フランスのブレスの若鶏

フランス中東部ブレス地方のいわゆる地鶏である。ブレス鶏は厳しい管理のもと基準を満たすものだけが「ブレス鶏」と認定される。

フランスにはこのように、認定のもと基準を満たすもののみが・・というブランド家畜が多く存在する。なかにはシャラン鴨とよばれる高級鴨等があたる。

日本で「地鶏」と称するためには、用いる品種の50%の血が日本在来の鶏であること、飼育期間は80日以上、また飼育方法にもいろんな基準がある。

フランス鴨・野鳥・家畜の品種

バルバリー鴨

大型の品種で、フランスの8割以上がこの鴨

シャラン鴨

ナント鴨と呼ばれることもある。フランスでも評価は高く、鬱血させたままとさつする特殊な飼育を用いる。シャラン地方産の鴨と、シャラン鴨ブランドは別物なので注意が必要。

ルーアン鴨

こちらもシャランと同様に、窒息死させて血を体内にとどめたまま出荷させる。肉が赤みを帯びて、野性味が強くなる

鳩(ピジョン)

鳩の消費量が多い、ヨーロッパでは古くから交配を繰り返して、食用に飼育しているため、日本の鳩とはまるで違う(日本の鳩は食べたことない)

ほろほろ鳥

フランスはホロホロ鳥の生産量が最も多い。鶏とキジの中間くらいの味わいで強いクセやにおいは感じられない

ウサギ(ラパン)

フランス語ではラパンと呼び、どっかの車の名前にもなっている。肉は淡いピンク色で、脂肪が少なく、クセもない。慣れてない日本人にとっては、さばかれる前のウサギは、頭もついているので、かなりグロい。

鹿

最近では地場産の鹿が増えており、日本の地名がついた鹿が多くなってきている。その中でも高級なブランドである蝦夷鹿は、フランス料理に多く用いられる

肉質は豚のようだが、実際にはかなり筋肉質で固い。子猪は筋肉が未発達なので、肉が柔らかくて美味しいが、大人になると煮込みなどで繊維を壊さないと硬すぎて食べづらい部位が殆どを占める。ロースを薄くスライスして食べることが多い

うずら

小型の鳥。フランスでは野生の鶉は、殆ど姿を消して、食用の飼育鶉が殆どを占めるとされている。小型の鳥の為、丸々一羽を使った料理などでよく使われる

キジ

独特の野性的な風味がする大型の鳥。基本的には仕留めたあとに、硬直した筋肉を熟成させるところまで処理するのが一般的

メイン・ヴィアンド系統の料理

牛フィレ肉のステーキ ソースぺリグー

ソース・ぺリグーの名称は、トリュフの名産地であるペリゴール地方の町の名前を指している。つまりトリュフのソースのことである。

ロッシーニ風などでも使われる、高級なソースでソースマディラがベースとして用いられ、トリュフやジュ・ド・トリュフなどで香りをつける。

牛肉の煮込み ブルゴーニュ風

ブルゴーニュ地方の代表的な料理のひとつ。フランス語名でも有名になっており、その名をブッフブルギニョンと呼ぶ。

ブルゴーニュ産の赤ワインで煮込むことが条件であるが、実際にはどんな赤ワインを使用しても差し支えない。

子牛肉のブランケット

BLANQUETTEとブラン、つまり白いを意味する料理。白身の肉を、白いフォンで煮る料理で、昔風であれば、白いルーなども使用する。

子牛だけでなく、鶏肉で作ることもできる。その場合フリカッセと呼ぶこともある。

子牛肉のクレピネット

クレピネットとは日本語で網脂のことです。本来、ソーセージ用ひき肉を網脂で包んだもののことを言う。しかし豚肉に限らず、子牛や鳥のひき肉、魚介などを持ちいて網脂で包む料理のこともさす。

この場合、パテやテリーヌのように網脂で包んだ料理のことを、クレピネットと呼ぶことが出来、肉をムース上にして包むこともあります。

子牛コートのロースト グラン=メール風

グラン=メールとはGLAND-MERE、つまり おばあちゃんの意味です。いわゆるフランス版の肉じゃがのことを指します。

付け合わせに、シャンピニョン、ベーコン、ポムリソレ、ペコロスなどが添えられることが多く、高級というよりは田舎料理に当たります。

豚コートのシャルキュティエール風

シャルキュティエールとは、フランス語で豚肉屋さんという意味を持ちます。ソースに白ワイン、玉ねぎ、ピクルス、マスタードが入ったソースで、主に豚肉に合わせるソースとして使われます。

玉ねぎをじっくりソテーし、白ワインやヴィネガーで酸味を加えながら煮詰めて作るソースです。酸味が利いており、サッパリとしたソースです

カスレ

カスレの由来は、カソールという深い土鍋から来ています。豚肉やアヒル肉、白いんげんなど豆を用いたシチューを指します。

ベースは白いんげん豆ですが、用いる肉が羊、豚、鳥と土地によって違うため、論争が続いています。

若鶏のソテ シャスール風

シャスールとは猟師風を意味します。狩人風などとも言われ、シャンピニオンやエシャロット、白ワイン、トマトなどを用いたソースのことを指します。

高級にするならば、フォンドヴォなどでコクに深みを持たせて、コニャックや香草でしっかりと香りをたたせると良い。

ひな鶏のグリエ ソース・ディヤーブル

鶏に塗り付けたマスタードを接着剤にし、パン粉を漬けて焼き上げたものを、ディヤーブルと称することがあります。ディヤーブルソースとしては、カイエンヌや胡椒などで辛みのアクセントをつけた、フォンドヴォーベースで作る場合が多いでしょう、

言葉の意味は「悪魔」であり、辛みの聞いたアクセントが利いたソースです。ソース・ディヤーブルは、エシャロット、白ワイン、白ワインヴィネガー、ミニョネット等をいれしっかり煮詰めて、フォンドヴォやトマトでさらに旨味を加えます。

鶏肉のカツレツ キエフ風

キエフとはウクライナの首都のことを指します。料理としては、中に詰めたメートル・ドテル・バターが揚げた際に流れ出す料理で、それらがソースになります。

メートルドテルバターでなくても、エスカルゴバターやマルシャン・ド・ヴァンなどでも代用することが出来ます。

若鶏のフリカッセ

フリカッセとは、鶏肉や子牛肉の白い煮込み料理のことを指します。鶏肉は色づけないように焼かないと、フリカッセにはならず、白く仕上がりません。

最近の調理法は、鶏肉を真空パックにして、低温調理でソースと別である程度完成させてしまうと、柔らかく仕上げることができます。

田舎風の場合は、シャンピニオンやペコロス、バターライスなどを添える場合が多くあります。白ワインの種類を変えることで、シャンパン風味やヴェルモット風味にすることができます。

鶏の赤ワイン煮

COQ AU VIN (コック・オ・ヴァン)として呼ばれることが多い料理です。若鶏をしっかりと焼き色をつけて、フォンドヴォーやフォンドヴォライユ、赤ワインなどで煮込む料理で、牛肉の赤ワイン煮込み(ブッフブルギニョン)の鶏肉バージョンです。

非常に手間がかかる料理になります

鴨のエギュイエット ガストリックと果汁のソース

「ガストリックと果汁のソース」はここでは、ビガラードソースのことを、指します。ガストリックを作り、コニャックやグランマニエ等を加えて、フォンドヴォーなどをベースに作ったオレンジ果汁のソースになります。

鴨とオレンジを合わせるのは、超定番でいろんなお店で見かけます。エギュイエットとは切り方のことで、鶏むね肉の細切りのことを言います

鹿肉のグラン・ヴヌール風

ジビエの定番の料理です。グラン・ヴヌールとは王候貴族に使える狩猟頭の意味です。

ソース・グラン・ヴヌールとは、簡単に言えばソース・ポワブラードに赤すぐり(グロゼイユ)や生クリームを加えたソースを指します。

鹿肉は、香味野菜や赤ワイン、コニャック、黒胡椒やスパイスでマリナードして表面に香りをつけて使用します。マリナードする前に、ソミュール液のように加熱してエキュメしてから使用します、すすることでスパイスの香り成分が水分に移ることを目的としています。

ソース・グラン・ヴヌールに栗のピュレ、根セロリのピュレを合わせると、非常においしい付け合わせとして食べられるでしょう。

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