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あじさい1

今、家の玄関に『紫陽花』の鉢植えが置いてある。

   紫色の紫陽花

私の家には庭がない。
が、家を囲む塀の玄関周りに言い訳程度の
花壇擬きがあり、そこに松の木、つつじ、南天、
白金木犀などが植えてある。

他には、家を建てた時に植えられたであろう
ウバメガシの木が信じられないくらいの
少量の土の下にしっかりと根を張り
数十年の年月の間に場違いな程の
成長を見せている。

この話しは今から20年程前の話しだが、
なぜか鮮明に覚えている家族の話

生前、特別花が好きで強いこだわりを持っていた訳でも 
ない母だったが、一緒に買い物に行くと
なぜか?そういう気分になるのか?
よく鉢植えの花を買っていた。

玄関や、玄関前に置かれた鉢植えの花は
来年、もう一度咲かせようという努力も気力も
全くない母によって、気がつくと速やかに撤去されていた。


ある年のある日、いつものように買物の途中に
『あ!そうだ!花を買って帰ろう』発言が出た。

多分、母にとっては紫陽花に特別な思い入れは
なく、たまたま紫陽花の時期に色とりどりの
鉢植えが店頭に並んでいるのを見て欲しくなった
だけだと思う。
またか…としか思っていない私は、
その紫陽花が何色だったかも全く覚えていないが、
花を買う日はなんとなく母のテンションが高くなる事に
不思議だなーと思っていた記憶がある。

その日も少しテンションの上がった母と
紫陽花の鉢植えを買って家に帰った。

家に着くと早速玄関に鉢植えを飾った。
『うん!綺麗綺麗!』と言いながら
自分の選んだ紫陽花に満足げだった。

すると、そこに家の中にいた父親が玄関に出て来て、
『紫陽花は不吉な花だから、飾るのはやめろ』と
言って来た。

つづく

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