不思議な夢と絵のお話
2022.04.08
(制作手記。是非作品と併せて読んでみて下さい)
【不思議な夢と、生命と、絵のお話】
2019年11月19日。祖母が息を引き取った。
そして祖母が亡くなった後に見た1つの「夢」。
以前から絵にしよう絵にしようと思ってて、
やっと手を付けれた物です。
その夢は不可思議で、祖母の背中を
流す度に、まわり(壁か何か?)に塗られた
絵の具がどんどん流れて、
白くなっていくという夢。
本来「絵を描く行為」を考えると、
絵の具を上に上に塗り足していくのが
自然なはず(=作品に命を与える行為)と
思われますが、その夢ではむしろ逆で、
どんどん背を流す度に白く(描く前の白い
キャンバスの状態に戻るかのように)なるのが
印象的でした。その様子を絵にしたくてしました。
それらを踏まえて、この絵は東洋的な描写による
アプローチでの制作としました。双子の方は
また別の描き方をしています。
ターニングポイントになったのは
事実なのだろうと思っています。
これは絵にしなくてはならなかったんです。
美術がもろはの剣で、なおかつ危うく
脆いものである事を常に自覚し、「美術の力」
などと盲信することは辞めて美術の表現を
するものとして、切に、清潔に誠実に、
制作と向き合わねばと思い改めたきっかけです。
絵画の生、或いは死。
絵画もとい絵を描くことにおいて、
死に足を踏み入れる心持ちは、如何様にして
現世にその躯体をもって具体せしむるか。
にしても、やはりこれは油画の為の絵だなと
思わされます。こレに関しては習作なので、
力を抜いてやる意味もあってひとまず水彩で
描き起こしましたが、本作では油でやって
いきますので、白で覆いかぶさっていく、
その制作の様が実に楽しみです。