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年間5万人以上の命を奪う大腸がん、そのリスクと予防策

日本国内でのがん患者やがん死亡者は年々増加していますが、特に深刻化しているのが大腸がんです。厚生労働省のデータによれば、2020年にがんで亡くなった37万人以上のうち、男性の大腸がんによる死亡順位は3位、女性では1位となっており、年間5万人以上が大腸がんで命を落としています。この傾向は高齢化や食生活の欧米化が進んだことが一因と考えられますが、特に日本の大腸がん検診制度が不十分であることも関与しているかもしれません。さらに、世界的にも大腸がんの発症年齢が若年化しているという点も見逃せない問題です。

便潜血検査の限界と内視鏡検査の重要性

現在、大腸がんリスクを調べる最も一般的な方法は便潜血検査です。この検査は便中の血液を検出し、大腸での異常を早期に発見するためのものですが、近年ではこの検査が早期の大腸がんを見つけるには不十分であることがわかっています。血便が出る段階では、がんがすでに進行している可能性があるため、より早い段階でがんを発見するには内視鏡検査が不可欠です。しかし、現状では日本国内で大量の内視鏡検査を行う施設が不足しているため、まずは年1回の便潜血検査でファーストスクリーニングを行うことが推奨されています。

リスクを高める要因と食生活の見直し

食生活も大腸がんのリスクを高める重要な要因です。特に、牛肉や豚肉といった赤肉や、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉の摂取は、がんリスクを増加させることが世界がん研究基金の報告で明らかにされています。加工肉を毎日50g摂取すると、大腸がんリスクが18%増加するとされており、控えめな摂取が推奨されています。一方で、食物繊維の摂取が少ない人はリスクが高まるという研究結果もあります。また、飲酒や肥満、さらには人工甘味料を使用したダイエット飲料の摂取もリスク因子として挙げられています。

硫化水素と大腸がんの関連性

加工肉やダイエット飲料が大腸がんリスクに関与する理由として、腸内細菌が硫化水素を生成することが挙げられます。硫化水素の濃度が高まると、がん細胞の増殖が促進されることが研究で示されています。また、動物性高脂肪・高たんぱく食によって腸内の硫化水素濃度が上がる可能性が指摘されており、特に赤肉や加工肉の過剰摂取には注意が必要です。

予防策としての運動と食事の重要性

大腸がんのリスクを下げるためには、運動が効果的であることが明らかになっています。また、食事面では食物繊維やカルシウム、不飽和脂肪酸を含む魚を積極的に摂取することが推奨されています。これらの予防策を実践することで、日常生活から大腸がんのリスクを低減させることができるでしょう。

高齢化や食生活の変化が進む日本において、大腸がんのリスクと対策を理解し、適切な検診や生活習慣の見直しが求められています。

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