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父のひとこと

小学校3年生くらいの頃だったろうか。

父が運転する車の後部座席で、弟といっしょに、幽霊やお化けやの話をしてギャーギャー盛り上がっていたことがあった。たぶん夏だった。

ひとしきり話終えたあと、父がポツリと、

「いちばんこわいのは人間だよ。おれは人間がいちばんこわいと思うな」

と、言った。

その言い方が、諭すでもなく、教えるでもなく、怒るわけでもなく、

むしろどこか、あっけらかんとしているような、ひとりごとのような感じだった。

ので、かえって子供心に印象に残って、大人になった今でも折に触れて思い出すエピソードのひとつ。

父の言うように、たしかに人間はこわい面もあるだろうけれど、こわいだけではないんじゃないかな・・・と今のわたしは思ったりしている。


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