多奈崎市にまつわる2つのできごとと、その副産物、静かなリスタートへ|2024年振り返り①
あけましておめでとう。2024年がすっかり終わってしまいました。本当はこういうポストは年末にするのでしょうが、ちょっと今年はバタついてしまい、年明けて元日になってしまいました。ここのところ、とりあえず「今年ももう終わりなんて早いですねー」、年の近い人であれば更に「来年もうn歳だなんて早いですね」と、もはや鳴き声の如く口にしているのですが、とまれかうまれ、2024年の振り返りになります。
もともと一つの「振り返り」記事として書き始めたのですが、次第にことのほか筆が乗ってしまったため、トピックごとに記事を分けることとしました。①では、空想地図「多奈崎市」関連の振り返りを綴っていきます。
活動のダイジェスト:2つのできごとについて
2024年、『多奈崎市』にまつわる表立った活動としては、3月に書店「CITYLIGHT BOOK」でのトークイベント、そして12月にJ-WAVE「THE ORIGINAL」出演がありました。この2つ自体が大きな出来事だったのですが、これらきっかけとなり、「多奈崎市の描き直しの完了」(2021年から着手、3月半ば完了)、および「多奈崎市サイトのリニューアル」(12月実施、2019年から5年ぶり)という副産物がそれぞれ得られ、これらも(あるいはこれらこそが)今年の大きな成果でした。
3月:トークイベントと、それに伴う「描き直し」の完成
こちらは「多奈崎市 詳細都市地図-第8版発売記念」と題して、代々木上原の書店「CITYLIGHT BOOK」にて行いました。
CITYLIGHT BOOK はわたしが引っ越してきた頃(昨年6月)から少し明けたくらいのころにできた書店ですが、ここの店主の方と知り合ったのは今年2月のこと。
このお店の存在は開店当初から知っていて、実際に書籍を見に足を運んでみて、そのメチャわたし好みの選書に惚れてもいたのですが、バーカウンターもあるこのお店で、ゆっくりお酒を飲むという過ごし方をいつかしてみたいな……と思ったまま、2024年を迎えてしまっていたのでした。そんな折、2月のある日、たまたま上原で人と呑む用事があったのですが、集合がかなり夜遅く、それまで暇な時間ができていました。そこでふと思い立ち、初めてこのお店のカウンターに足を運んでみることにしました。店主と常連らしき方がいて、少しお話に混ぜてもらいながら、ふとZINEと地図の話を流れで出してみたところ、ありがたいことに興味を持っていただき、それからとんとん拍子に、地図/ZINEの取り扱い、そしてイベントの開催まで話が進んだのでした。
イベントをどうするかも含め、色々と話をする中で、最近なにか活動してますか?と問われ、そういえば2021年から始めた「多奈崎市の描き直し」(2019年に一通り完成した多奈崎市の地図について、リアリティの面で疑問が生じつつあったため、歴史の再考証を行い、その地図の内容を大幅に描き直すという試み)が、それなりに進捗してきていたことを思い出します。そこで、当日までに多奈崎市の描き直し完成させ、イベントは「多奈崎市 改訂版の発行記念イベント」という建て付けにする、というシナリオができあがりました。
イベントは、これまでのわたしの活動遍歴、多奈崎市の歴史や街のあらましにまつわる話などをしつつ、終盤は実際の地図を手元に、参加者からの質問とそれに対してわたしが回答、それに対して更に…のようなコミュニケーションも生まれました。
そして、このイベントに合わせて『改訂版』の多奈崎市が一旦完成(A1サイズの大判が埋まる領域が描き直しできたという意味)しました。描き直しは2021年からの作業でしたが、実際には地図の更新は2019年末を最後にほぼ行っておらず、サイトに掲載したり印刷して販売する作品として表に出る地図の更新は、実に5年ぶりのできごとでした。
中学2年生の制作開始から、まちの骨格自体は大きく変更することなく拡張を続け、イベント出展への誘いがあった2019年(大学3年)に急いで大判地図として一度形にしていた多奈崎市のすがたですが、そのリアリティに納得していないところはその頃から既に少しあり、いつかちゃんとした形に描き直したいなあと思っていました。翌2020年、コロナ禍は想像以上にアウトプットが進まず(外出が難しくとも、書籍や地図からのインプットは行えると思いきや、地図制作のモチベーションには、実際の街に出て歩くという行為が意外と重要でした)、気づけば社会人という身分になってしまい、空いた時間で描き直しに少しずつ手をつけるも、決定的な「締め切り」がないままにダラダラと進捗を産んだり産まなかったり、気づけば3年そこら経過してしまっていました。そんな中で、降って沸いた「トークイベント」というイベントを締め切りに据えて、積年の課題であった多奈崎市の描き直しに、一端の区切りをつけることができたということは、今年の大きな成果だったと言えましょう。
結局のところ、外的要因による明確な締切があると、人は動く。そのことを改めて強く実感したのでした。
12月:ラジオ出演とサイトのテコ入れ(5年ぶり)
時は流れてつい先日のこと、J-WAVEの番組「THE ORIGINAL」にゲストとして出演させていただく機会がありました。
(Podcastで、過去回の聴き逃しを配信中です。。!)
ラジオ出演は、2023年6月の「FUTURESCAPE」以来およそ1年半ぶりでした。収録が始まり、話し始めてみると、KREVAさんから発せられる質問や感想、その視点や切り口がとても第一線のクリエイターのそれで(第一線のミュージシャンなので当たり前なんですが;;)あっという間のひとときでした。メチャ楽しかった……
さて、FUTURESCAPEが生放送だったのに対し、今回は事前収録ともあり、出演決定から放送までかなり時間に余裕がありました。そこで、放送日までに多奈崎市のサイトを5年ぶりにリニューアルしてみるか、というのを思い立ちます。
こちらは地図と同様、2019年に構築したものでした。
ところでわたしのWeb制作にまつわる話をしますが、HTML+CSSが書ける(〜高校在学)→JSも書ける(〜大学前半)→PHPも書ける(大学中盤以降)、と必要に応じて段階的に積んできました。
なまじソースが書けるので、WordPressといった既存のCMSの取り回しの悪さ(自分の思った通りのデザインにしようと思うと格段に難しくなる)もあって、自身の作成するサイトにはDIY精神を発揮し、CMSは導入せず、サイトの中身もひたすら手作りで作り続けてきました。しかし、いかんせん更新の手間がすごく、前述のような地図進捗そのものの停滞もあり、2020年以降は更新が大きく停滞していました。
そんな中、たまたま別の活動でWebサイトを作った際に、表示側は自分でフルカスタマイズで作りつつ、そこに出すコンテンツをCMSで管理するような方法を11月ごろに体得。そこに今回のラジオ出演がタイミング的に重なったことで、多奈崎市のサイトの一部をCMSで管理できるような構成に再構築する、というリニューアルを実施します。ついでにサイトデザインも、2019年4月に構築し11月まで使用していたもの(きわめて短命だった)がデータで残っており、改めてみると今のデザインより今風な印象を覚えたため、CMS導入と同時にデザインデータも入れ替え、ラジオ放送日を前に新装OPEN!としました。
2025年に向けて
2024年、地図そのものの更新と、サイトの再構築という、2つのテコ入れが実施できた一年でした。2019年以降、断続的に停滞気味だった多奈崎市に関する活動を、ゆっくりとリスタートできたような感触があります。
一方でこれらは、これから多奈崎市の活動を広げていくにあたって、必要な下地づくりができた、という段階でもあります。
2019年、多奈崎市の観光マップや商業施設のフロアガイドなど、街にまつわるさまざまなグッズを制作しましたが、地図そのものの描き直しに伴って、こうしたグッズの中身が正となる地図との整合性が取れなくなっており、新たに作り直す必要が出てきています。(そうでなくとも、それらの製作段階から5年も経過しているので、何らかの経年変化は生じていると考えるのが自然ですが。。)ガイドマップから郷土料理まで、地図をベースに制作するさまざまな街のアイテムを改めて作るにあたり、そのベースになる設定がようやく固まったところで、2025年以降は再び地図「以外」を充実させていきたいなあと考えていたりします。サイトにしても、2024年のリニューアルで、更新しやすくするという構築までが済んだので、以降は、その中身を充実させる方向に舵を切りたいところです。
こうして綴ってみると、2023年以前と比べ、少しずつではありますが、多奈崎市の作品制作に対するモチベーションが再び上昇気味にあるのを感じます。昨年のような大型の空想地図合作案件がなかったり、2023年から制作を始めたZINE「空想と地図」もVol.4まで刊行を終え、次第に安定化のフェーズに入りつつあったりする中で、広く「空想地図関連」の活動として括られる内訳として、2025年は多奈崎に対する配分が、再び少し大きくなるような気配を感じています。