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珠美の島〜18年の時を経て〜17話

宿泊先の
ホテルへ向かう

島の中心の
イーフ地区からは
離れたホテルなので
帰りながら
夕飯時に開いていそうなお店を
いくつか教えてもらった


あっという間なのに
何日も経ったような
矛盾した感覚に包まれる
濃密な時間

何年分もの感情の揺れが
たった数時間で
一気に凝縮したような

ホテルの玄関先で
ふたりで並んで
写真を撮ってもらった

撮るのは好きだけど
撮られるのは苦手なので
少し照れくさかったけど

小さくなっていく
戸田くんの車に
めいっぱい手を振って

今回のウートートは
自分の身内がいなくなった今
島で繋がりを持つ彼が
手配してくれなかったら
何も掴めなかっただろう

本当に
稀有な縁に感謝

何かの力に支えられて
導かれている気がする
いつも

部屋に帰って
母とふたりで乾杯

体力的な事もあり
行く前は不安がっていた母も
「行けて良かった」と
満たされた表情を浮かべていた

翌日
定刻通りの飛行機で
久米島を後にした

なんとなく
名残惜しいけど

たった一日の出来事が
この先を左右するかのような

その位の

お昼前に那覇空港に到着
そのままモノレールで安里へ

栄町にある
母の親友の食堂に立ち寄るが
お昼時で忙しそうだったので
荷物だけ置かせてもらって
先にお墓参りを済ませる事にした

久米島から
御霊を移した場所

母の弟である叔父に
連れて行ってもらう
予定だったが
連絡が遅れたせいで
叔父は入れ違いで
広島に発っていた

送ってもらった
グーグルマップのポイントを頼りに
浦西前田駅で下車

「すみません、
 この霊園に行きたいんですけど
 タクシー乗り場は近くにありますか」

「ここならこの駅じゃなくて
 もう一つ向こう、
 終点の駅からの方が
 近いかもしれませんね」

駅員さんが教えてくれた通り
もう一度モノレールに乗り
終点のてだこ浦西駅へ

前に来た時は
まだ出来ていなかった
新しくて立派な駅
降りたのは
自分たち以外誰もいなかった

駅前のロータリーに
停まっていたタクシーに乗って
地図を確認してもらい、出発

開発真っ只中なのか
道路は新しく
辺り一面土地は更地で
整地するための重機だけが
忙しく動いていた

5分程で到着

高台にある大きな霊園
切り立つ崖のような急斜面一体に
お墓が建てられている

海が見渡せる
見晴らしの良い高台

第二次世界大戦で
日本軍とアメリカ軍が
大規模な地上戦を
繰り広げた場所

アメリカ軍に
ハクソー・リッジと呼ばれた
場所のある、浦添城跡だ。



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