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珠美の島〜18年の時を経て〜13話

宗形さんの後ろを
三人並んで着いて歩く


「鬱蒼とした」
と言う言葉が
ぴったり当てはまる

無人島になった期間の間に
人が住む以前の
自然の島の姿へと
戻っていったんだろう

「ちょっと先見てくるから
 ここで待っててよー」

と宗形さんは道を右に外れ
茂みの中へと入って行った

「あー
 あったあった」

しばらくすると
茂みの中から声がして
宗形さんが戻ってきた

お墓のある方向では無いが
誘なわれるまま行ってみる

かなりのサバイバル

「えーっ
 こんなところ行くのー!」
シブる母の前後を
戸田くんと二人で挟み
無理やり連行

「これじゃない?」

宗形さんの
連れて行ってくれた
その場には
見覚えの無い石碑

うちのお墓では無い

「ここじゃないよ、で
 これは何?」

「東の奥武に入植した時に
 建てられた石碑よ」

そっか
ここでは無いんだけど
こんな石碑も残ってるんだな

携えてきたお花を
半分にして供えた

石碑をたてた人達の
決意というか
未来を切り開く
情熱のようなものを感じる

目を閉じて手を合わせ
先人に敬意と感謝を表す

茂みを掻き分け
元の一本道に戻る

ここをまっすぐ行って
白い井戸が見えてくれば、
なのだけど

なのだけど

やっぱり

その先は完全な
行き止まりになっていた。

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