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茶道を始めることで変わっていくこと⑨
11月もはや下旬。クリスマスツリーやおせちの広告を目にし、今年も終わりに向かい始めていることを感じます。
お茶のお稽古をしていると、普段いる世界よりは尊敬語や丁寧語などを使う機会が多いかと思います。昔は俳優さん(特に女性)などが美しい敬語を使うことも多かったのですが、最近は、なんちゃって敬語という感じのものを耳にすることが多くなりました。
「〇〇やられているんですか?」「食べられました?」「来られた」などなど。自分の親のことを他人に対しても「お父さん」「お母さん」と言う人も増えました。一方で、「〇〇させていただく」が当然のようになり、「結婚させていただく」ともなると、どこまで遠慮しないといけないの、などと思ってしまいます。
「する」の尊敬語は「なさる」、「食べる」は「召し上がる」、「来る」は「いらっしゃる」。この三つを、普段から使えると、「ちゃんと敬語を使える人」に見えやすいかと。そんな場面にはなるべく出会いたくないですが、謝罪や何かの許しを乞うような場合では、より効果を発揮するように思います。
とはいえ、語学と同じで、敬語も普段から使っていないと咄嗟の時に出てこないもの。お茶のお稽古をなさる方は、先生や言葉がきれいだなと思う先輩がいたら、お点前だけでなくちょっと会話の練習をしてみると、お稽古がちょっとオトクになるかもしれません。お若い方でも学生時代の部活動で鍛えられて、きれいな敬語を話す方もいらっしゃいますね。
芸能人がおしゃべりをしている番組はあまり見ないのですが、敬語について書こうと思ってから、誰がきれいな言葉を使っているのかな・・・と思って見ていたら、まずは黒柳徹子さんが目に止まりました。この方はTV草創期から活躍しておられるので、さもありなんという感じですが、少し年下の6,70代の方たちは、馴染みやすくしようと思っておられるのか案外敬語の美しさが印象に残る方がいなくて(まぁわたしが確認する範囲などとても狭いのですが)。あとは杏さんと又吉直樹さんが美しい敬語を使える方なのかな~と見てました。お笑いを見ないので、そういう世界での又吉さんの言葉遣いは知らないのですが、たまたまある芸術家(→違う業界の方)と対談している番組での敬語がとてもきれいで。お笑いの人は、なんちゃって敬語を使う方が多い中、芥川賞を取ったのも伊達じゃなく、美しい敬語を使える方なのだと印象深かったです。
もっとも敬語の基にあるのは相手を敬う気持ち。「やられているんですか?」と言われても、敬意を含んでいることはもちろんわかりますし、「あざーす」という形であっても、感謝の気持ちがあることももちろんわかります。受け取る側も相手に人としての敬意を抱いているなら、敬語遣いだけにとどまらず表情や語調も見て、総合的に相手の心持ちを知ろうとしているはず。ですから、敬語に苦手意識を持っている方も、必要な時にどんどん使うことに、まずは挑戦してほしいと思います。
今日の菓銘は「銀杏」。
ちょっと個性的な外見です。
今年の冬はラニーニャ現象で寒くなる予報とか。暑さにも寒さにも耐えられる体を維持するのは大変ですが、まずはしっかり食事をとって体を温めましょう!