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炉開き③

こんばんは。10月も下旬ですが、袷を着るとまだ少し暑く感じます。

とはいえ、炉開きの時期が近づいてきました。
炉開きの際には、三べと言う、織部(おりべ)、瓢(ふくべ)、伊部(いんべ)を道具組の中に含ませると言います。

織部・・焼は、茶道具でなくとも日用食器でも目にすることはあるので、ある程度ご存知の方もいらっしゃるでしょうか。瓢は夕顔や瓢箪の実のガワの部分を使ったもの、伊部は岡山県の備前焼の別称で、備前市には伊部という地名もあります。

この三べはお茶をする人にはよく知られているのですが、先生や季節のお道具の本などには「炉開きには、三べと言って、~のお道具を使います。」と言われるばかりで、理由がわからない。色々本を読んでみても載っていないな~ともやもやしていたのですが、たまたま行った茶道資料館の展覧会で、展示の説明の中に記載がありました。「べ」は「伏せる」の意味で、炉を使い始める時期に火伏せを願って、音の同じ「べ」のつくものを使うのだそうです。音が同じだから、という理由で別の何かが引き合いに出されることが本当に多いですね・・・。漢字辞典も一応調べたのですが、「伏」の字には「べ」の読みはありませんでした。もっとも、あまり明確に三べの由来を語られないのは、諸説あってどれか一つが強力ということがないからかもしれません。ただ、亥の話にしても、三べの話にしても、火事を出すことをとにかく恐れていたのだということは、よくわかります。わたしたちもお稽古の際は、心して火を扱うようにしたいものです。

今年は先週末に終わってしまったのですが、例年これくらいの時期に備前市伊部では備前焼まつりが開催されます。天気がよいことも多いので、もしご興味あれば一度お出かけください。普段使いの食器を探したりするのも楽しいかもしれません。

今日の菓銘は「嵯峨の秋」。
嵯峨野の落柿舎から想を得ているとか。

個人的には、炉開きを迎えると正月が間近に迫って来た感を覚えます。年賀状を購入して、どんなおせちを作ろうかと本をめくりだしたり。今年もあと二か月と少し、無事に過ごせるとよいですね。

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