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夫君の対義語は・・・

やっと秋到来、と言いたいところ。が、植物も気候の変化に対応しきれないのか、手元の本には9~10月が開花時期と書いてある杜鵑草(ほととぎす)が、風炉の季節も終わる頃にようやく咲き始めました。

30日に赤坂御苑で天皇、皇后両陛下主催の秋の園遊会が開かれました。従来招待資格者に併せて招かれる配偶者の名札は「〇〇夫人(ふじん)」「〇〇夫君(ふくん)」のみの記載だったところ、今回から姓名(のみ)が記載されるようになったとのこと。

夫の対義語が妻であるならば夫君に対しては妻君(さいくん)・・・いや、さいくんという場合はどちらかというと「細君」か。漢和辞典を引くと夫君には男子に対する敬称の意味もあるようですが、妻の字には敬称に当たる熟語の記載は無い(ちなみに妻は、いわゆる正妻のこと)。細君は他人の妻を意味する場合でも敬称ではなく、自分の妻を指す場合なら謙遜して使う語で、細一文字では妻の意味は無い(つまらないという意味はある)。で、夫人(ふじん)には、天子の側室、高官や貴人の妻の爵号、自分や他人の母の尊称、婦人に与えられた称号や尊称に加え、日本語特有で他人の妻の尊称の意味もあるとのこと。

奈良時代あたりに興味がある人間としては、夫人という漢字だけを見ると思わず「ぶにん」と読みたくなります(←かなり少数派であること認識しております)。これは律令に定める天皇の後宮に使える女性の称号の一つで、一番上が妃(ひ)で四「品」以上。この記載の時点で内親王と考えられます(現代の内親王に比べると対象が狭く、基本的に天皇の娘と姉妹を言う)。夫人はその次で三位以上。ということで、なんとなく夫人という字面に格が落ちる印象があったりします(←かなり少数派であること認識しております)。

夫君に対する夫人の語は、日本語特有の他人の妻の尊称の意味で、今回選ばれ、使われたのでしょう。とはいえ、配偶者に併せて招くなら、一気に姓名のみにせず、〇〇夫人△△、〇〇夫君△△と併記するのが一番周囲にわかりやすかったのではと思うのですが、どうなんでしょうね。個人尊重はもちろん大事だと思いますが、趣旨からすると迷走している気もします。

ちなみにわたしが最初に夫人(ふじん)という言葉を知ったのは、キュリー夫人。それこそ「石破夫人」的な「名前」で語られてきた彼女の名前の表記は現代において問題にされていないのか今回ネット検索してみると、今では「マリー・キュリー」の題で書かれている伝記本もかなりあるようで。時代の変化をここにも感じました。

実は比較的敬語が駆使されるお茶仲間内で、配偶者をどう呼ぶかという方に話を持って行きたかったのですが、夫君VS妻君でなく、細君だったことに気付き、違う方向に行ってしまいました。またどこかで、書いてみたいと思います。失礼致しました。

今日の菓銘は「菊の露」。
我が家の野路菊も咲き始めました。

今日、来年の年賀葉書が発売になったのですが、ネットニュースでトップ画面にはもう出てこない。値上がりもしたし、書く人がどんどん減っているのでしょうね。これまた世の変化を感じますが、書く予定の方は、少しずつ準備をしていくことといたしましょう。


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