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衣更え①

今日の大阪は台風2号の影響で、昼間は結構な大雨でした。御覧いただいている方、特段影響無く過ごされているとよいのですが・・・。

学生さんなどこの6月1日から、薄手の服に衣更えとなっていますね。
「更」の字は、新しいものにかえる、物事を入れかえる、という意味を持ちます。現代でも「更衣」「更新」「更生」「更迭」という言葉で使われる例が見られるでしょうか。

地域によって多少時期の違いはあるようですが、この衣更えの風習自体は平安時代から始まっています。当時は旧暦4月1日と10月1日だったようで、現在の5月1日と11月1日と考えると、服に体調を合わせるのが少し大変だったのではないか・・・という気もします。江戸時代には旧暦9月9日~3月末日が綿入れ、4月1日~5月4日と9月1日~8日(短い!)が袷、5月5日~8月末日までが単衣と決まっていたとか。あまりの暑さに少し変わりつつありますが、現代の袷が10月~5月、単衣が6月と9月、薄物が7,8月と「決まっている」のと大分近い感じですね。

平安時代の衣更えには、これに合わせて扇の素材も変わったようです。夏は竹と紙で出来た蝙蝠(かわほり)、冬は檜扇(ひのきの薄板を繋げたもの。お雛様がお持ちのものが一番想像しやすいでしょうか)。今は専ら暑い時に扇ぐ為に持つことの多い扇ですが、当時は高貴な女性が軽々しく見せるものでなかった顔を隠す為などにも季節関係無く使われました。蝙蝠は紙でできているため軽やかさもあり、涼やかさも感じられるということがあったのでしょう。冷房の無い時代の涼を取る工夫が感じられます。

これぐらいの時期に、お茶室では建具を襖から葦戸に替えるところもあります。これも冷房がないため、風通しをよくし、影を落として、涼しく感じさせるための工夫だったのでしょうね。今だと却って冷房が効きにくくなる!なんて思う方もいらっしゃるかも!?

今日の菓銘は「撫子」。
現代、花屋で並んでいる撫子は園芸種のものが多く、ダイアンサスの名札がついていたりしますが、お茶でよく使われるのはカワラナデシコやイセナデシコなど。ちなみに「常夏」の別名を持つものの、既に一回目は5月に殆ど咲いてしまいました・・・。

全国続々と梅雨入りしています。湿度が高い時期は、それはそれで過ごしにくいものです。どうぞご無理なさいませんよう。

参考資料:「全訳 漢辞海」「大江戸年中行事の作法」






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