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お菓子盛り付けてみる 

今年は立春過ぎても中々風が温まないです。お住まいの地域はいかがでしょうか。

今日の菓銘は「春告鳥(はるつげどり)」。鶯(うぐいす)ですね。
わたしは↑のように盛り付けてみました。これを「い」とします。

お稽古でお客様役をしてくださる方がちょうど「サクラサク」となったばかりの学生さんだったら

「ろ」とします

これから羽ばたく未来を思って、こんな盛り付け方をしてみようと思うかもしれません。

でも、その場に他にサクラが散った方がいるなら、そもそもそんなことに触れない方がいいかも、とやはり「い」の方が無難かなと思うでしょうか。

自分が思い悩んでいる時には、上を向いている姿は力強過ぎると感じるかもしれません。出された方も同じように感じるかもしれません。でも、出されたお菓子を見て「くよくよしてもしょうがない、前(上)を向こう」と受け取る方もいらっしゃるでしょう。人様の心の内、心の動きは見えません。

鶯の上を向く角度が、例えば20度ならいいけれど60度はダメ、じゃあ40度はどう、39度は・・・とすると、絶対的は「正解」なんてものがあるわけではないこともお気付きでしょう。客と亭主の置かれた状況、その組み合わせで答えは幾通りもあります。同じ人の組み合わせでも、日により「答え」も異なってくるでしょう。

お稽古でこのお菓子が準備されていた時、一瞬で色々なことを考えて盛り付けをしています。お稽古を長年続けている方ほど、自分で気を回しているとも気付かずに取り込む周囲の情報は多いことと思います。でも、お菓子をあまりこねくり回すわけにいかないこともあり、盛る時はほんの短い時間。これがAIだったら、どうでしょうか。盛り付けられた結果の画像だけをたくさん読み込んで答えを出すのでしょうか。お稽古場特有の周囲の情報まで加味させたいなら、その固有情報からかつて出した結果に至る連動性の入力の手間が別途必要になってくるのか。お菓子の盛りつけにおいて、人はAIに適さない判断を一瞬で行っています。お菓子によっては扱いにくいものもあり、その場合は箸などの道具を扱い慣れてきた方の方が、より思ったことを反映できるでしょう。目に見える違いは殆どないかもしれませんが、実は個性が反映されているとも言えますね。一回一回のお稽古、ちょっと工夫・試行錯誤してみるのも楽しいかもしれません。「い」も「ろ」もどちらもあっていいと思います。お客様もご亭主の思いを受け取る楽しみがあるかもしれませんね。

「は」

ちなみにこれはほとんど真っすぐに盛ってみたもの。腹部が真っすぐでなく丸みを帯びているため、そこまでではないのですが、少し水鳥っぽい感じも出てしまうかなぁ、とわたしは「答え」にしなかったのですが、「は」が一番いいと思う方もいらっしゃると思います。あなたご自身は、どう出されるものがお好みでしょうか。

市場では貝類や菜の花を目にするようになってきました。春が近づいています。けれど来週は寒の戻りか冷え込むようですね。まだ本番が待っている受験生の方などは、引き続き用心してお過ごしください。

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