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茶の湯を通しての人付き合い①
秋真っ盛り。スーパーには、葡萄や梨、柿、栗など秋の果物がたくさん並んでいます。お値段も中々のものですが・・・。
お茶をなさる方なら、お茶席で出すべきでないとされる話題に「我仏 隣の宝 婿舅 天下の軍(いくさ) 人の善悪(よしあし)」という言葉を聞いたことがおありかもしれません。これは連歌師牡丹花肖柏(1443-1527)が連歌で話題にしてはならないことを詠ったものを茶の湯にも当てはめたもので、『山上宗二記』で触れられています。「公事(くじ)の儀、世間の雑談、悉(ことごと)く無用なり」とも。「数寄に入りたる事(茶の湯に適った事)」を話すべき、と。
現代にあてはめてみると、軍(いくさ)は詠まれた当時と同じ意味合いのものは無く、お茶をなさるのは比較的女性の方が多いことを考えると婿舅は嫁姑とも置き換えられます(同性のことを人に話したくなるものなのでしょうか)。そして政治のことも茶席の話題にはふさわしくない、というのはお察しいただけるかと思います。お茶を美味しくいただく為に集まった会であり、思想・信条などで客を選別しているわけでなく、だからこそ話題にすることで意見の違う人との対立を起こしたり、同調を促して不快な思いをさせることのないよう配慮しようということですね。
で、これはあくまで茶席内限定の話。お茶をする人が茶席の外でも、こういった話をするべきでない、ましてや政治に関して意見を持つべきではない、ということを言っているわけではありません。社会に生きる一人の人間として、政治に興味を持ち、自分の意見を持つことは大事です。投票権のある方は、10月27日の衆議院議員総選挙では是非投票してください。
今SNSで、どちらかというと若い方で、自分の興味のある分野ごとにアカウントを作り、一人で複数アカウントをお持ちのことも多いとか。で、AのアカウントではBの話題をしないこの現象を、若い人が他人と深い話をできなくなっている、というように言う方もあるようですが、そんなに悪いことでしょうか。上記の茶席では茶の湯に適った話というのも、自分の中にある複数のアカウントのうち茶の湯アカウントでの知人と交流を深めているということになるのでは、と思います。時代に応じ舞台が変わっただけで、昔から人は場の空気を読んで、似たような人付き合い術を駆使してきたのかな、と。SNSのアカウントであっても、茶の湯であっても、その界隈だけの話をしていく中で、もっと相手のことを知りたいと思うことがあるかもしれません。そんな時、人によってはそこから一歩踏み出すでしょう。望む結果にならない時も、より相互理解が深まる時もあると思います。わたし自身、どちらの経験もありますが、踏み出すこと、踏み出し方など、結果に関係無く、踏み出す過程で学んだことも多いように感じます。
今日の菓銘は「山路」。
今年はがんばって、2回も栗仕事をしました。無心に皮を剥いている時間は結構好きだったりします。
大阪の三連休は好天に恵まれそうです。昼夜の気温差はそれなりにあるので、お出かけの際にはお気をつけの上、お楽しみください。