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月見②
今日は中秋の名月。夜は大分涼しくなってきたので、ちょっと空を見上げてみるのはいかがでしょうか。今年は満月と同じ日になる、と話題のようです。
今日は月に因んだ話を。
中国の「淮南子(えなんじ)」という紀元前140年頃に編纂されたと思われる書物に、今に語り継がれる元になっていると思われる、月に関する話が載っています。覧冥訓の終りの方に出てくる嫦娥(じょうが)の話です。
羿(げい)という男が西王母(桃の話でも出て来た、道教の世界で言う仙女の女王様のようなお方)から不死の薬をもらいますが、妻の嫦娥が夫からこれを盗んで月に逃げる、というお話が載っています。羿は万仞(ばんじん)とも言われる高い山の上にある西王母のところに自ら行って薬をもらってきているのに嫦娥は夫の苦労の成果を独り占めしようとする中々のお人です。後の時代にはそんな嫦娥がヒキガエルの姿に変えられたというような話が付け加えられることもあります。
「淮南子」は早くから日本にも伝わっていたようで日本書紀の記述にも影響が見られ、万葉集でも月の神が持つ若返りの水を詠んだ歌があります。
天橋も 長くもがも 髙山も 高くもがも 月夜見の 持てるをち水
い取り来て 君に奉りて をち得てしかも(巻十三 3245)
(月に行って月の神の持っている若返りの水を取ってきて、我が君に奉って若返りたいものだ(※若返らせてあげたいものだ、という表現ではないようです))
昔は中国でも日本でも、月に若返りの水があるという「話」は知られていたようですが、今の日本ではかぐや姫のお話でそれらしいことに触れるくらいでしょうか。
不老不死の薬があるというなら、欲しいと思いますか?わたしはもしあるなら、老化がちょーっと遅くなるくらいの薬が欲しい、程度。不老も不死も特段希望はしないですね・・・。
今日の菓銘は「月兎」。
日本では月で兎が餅を搗いているいるという話がよく言われますが、中国では兎が薬を搗いているのだとか。日本に伝わった後、色々話が変遷していっているのでしょうね。
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そういえば今年は卯年ですが、残り3か月となってきました。早いです・・・。
前回書いていた「きょうの料理」の栗の白みそペースト、テキストには載っていたのですが、TVでは放送しませんでした。もしもし見てくださった方いらしたら、申し訳ありませんでした。
月見団子や月見酒、お好みに合わせて、秋のひと時どうぞお楽しみください。