【恋するリコーダー】・本村睦幸さんからリコーダーを教えてもらう その3
リコーダーは小指が命だ
さあ、いよいよリコーダーレッスンに入ることになったが、ここで驚くべき衝撃的な事実が明らかになった。
「田口さんのリコーダーは、ジャーマン式ですか?それともバロック式です?」
「え、どっちだろう?」
「ちょっと見せてください。ああ、バロック式ですねそれでいいです。バロック式のほうがアルトと同じ運指なのでスムーズに練習が進められます」
「そうだったのか? でもそれってどう違うんですか?」
「バロック式だとファの音が、こういう指なんですよ」
「ああ、えっ?えっ?」
ようするに、右手の指の親指と中指以外はすべての指を使うということだ。
「これ、難しいでしょ」
「大丈夫、大丈夫、すぐ慣れますから。それに、アルトリコーダーの方は今のところ小指を使わなくてもいいですから」
(でも、いつかは使うんだよね?)
マジ〜。私、これまでリコーダーをいいかげんな運指で吹いていた、だから、ファの音で小指を使ったことがなかった、つまり、右手の小指はドの音以外は出番なしのお休み状態だったんだけどな。
で、バロック式の「ファ」に挑戦すると、右手の小指がぜんぜん動かない。おい、小指もっときびきび動けよ。なんか脳の信号が小指だけ通じてないような感じだ。これじゃ、小指に気を取られて演奏どころじゃない。
小指の鈍さは、薬指と中指にも影響を与えてくる、これはまいった、小指なしでならソプラノリコーダーをわりとすらすら吹けたのに、いきなり突っかかるようになってしまった。しかし、これが正しい指づかいなのだから、これを克服せねばバロックなんかむり。インチキな運指でどうにかなるほどクラッシックは甘くないだろう。
小指ってすげえ大事みたい
楽譜以前に指が動かない、そもそもこれまでの運指が間違っていたという、大ピンチな事態に遭遇してしまった私は、小指について考え始めた、
他の指よりも小指の動きが鈍いのは、なぜか。
あ、キーボードを叩く時になぜか右手の小指を使っていないじゃない?
そうだ、いつの頃からか右手の小指を使わずにキーボードを打っていた、なるほど。右手が鈍くなっているのは、キーバード打ちをさぼらせていたせいか。左手の小指は活躍しているのになぜ右手は小指を使わなくなったんだ?
そこで右手の小指を使ってキーボードを打つように意識してみた。すると。小指を使ったほうが姿勢がよくなることに気がついた。
わかったぞ。視力が低下してパソコン画面に近づかないとキーボードが打てなくなり、それで姿勢が崩れたものだから小指を使わなくなってしまったのだ。身体が前のめにになると小指が使いにくいからだ。
というわけで、姿勢も矯正すべく、小指を復活させることに。くそっ。久しぶりに小指を使うと勘が鈍ってキータッチミスが増えるが、これもリコーダーのためだ、しょうがない。
身体を緩ませる小指
以前に太極拳の師匠から、小指は、内側、陰の側の筋肉で、この筋肉は太極拳の動きをする際、身体のバランスをとるのにとても重要な筋肉だと教わった(太極拳を9年ほど続けている)。うーむ。それがこんなに衰えていたとは!これはいかん。
なんと、リコーダー自主トレが、右手の小指を鍛えるところから始まるとは。
いきなり筋肉を使うと、痛みが出てしまう可能性もあるので、小指の使いすぎのためのストレッチなんかも検索して、時々、ストレッチをすることに。
https://qitano.com/s25
怠けがちな薬指も同様に鍛えるために、原稿執筆時に右手の薬指、小指に最大限がんばってもらうことにした。ああ、疲れるわ。使っていればそのうち、神経が他の指と同じようにつながるようになるだろう。こりゃあリハビリだわ……。
今日の気づき
初心者のみなさん、まずは、あなたのリコーダーがバロック式かどうかを確かめましょう。バロック指揮でしたら、ファの音の運指が難しいです。それを克服するために、小指を鍛えましょう。
楽譜以前に筋トレです。特に、指の動きが鈍くなっている高齢者の初心者は、小指を意識して生活するところから始めると、指が動きやすくなります。ついでに小指を鍛えると姿勢がよくなります。
ちなみに、武道でも重視されるのは小指です。小指と薬指を意識することで入りすぎる力を緩和することができるからです。
この理屈でいけば、リコーダーであっても、小指と薬指を鍛えることで、力の入りすぎを緩めることが可能で、なめらかな運指を実現できるはず。(あくまでも仮説)
だが私は自分の仮説を信じる。力が入っていたらバロックの超技巧的な指づかいなどできるはずがない。
力を抜くために薬指と小指の力が必要、というわけで。これからキーボードをなるべく薬指と小指で打つ……。あー、めんどくせえ、この原稿も右手の薬指と小指を使いながらタイピングしておりますっ。
日々の執筆を応援してくださってありがとうございます。