尿路結石について

■尿路結石について

人間の尿は、腎臓で作られた後に尿管を通って、蓄積され膀胱がいっぱいになると尿道を通って体外へ排出されます。

尿が排出までに通る経路を、尿路といいますが、この尿路に石ができてしまう病気を、尿路結石といいます。


■尿路結石って?

腎臓で作られた尿が尿管を通って膀胱に蓄積され、尿道を通って排出されるまでの過程の中で、体内で不要になったシュウ酸カルシウムが結晶化することがあります。

このように、尿が体外に排出されるまでの経路でシュウ酸カルシウムなどが結晶化し大きくなってしまった状態を、尿路結石と呼びます。

尿路結石は、男性なら7人に1人、女性なら15人に1人程度の頻度で発症する病気で女性に比べて男性のほうが発症しやすい傾向があります。

男性は、40代での発症が最も多くなるのに対し、女性は閉経を迎えた後、50~70代になってから発症しやすくなるのも特徴のひとつです。

また、男女問わず、肥満や生活習慣病を発症している人が尿路結石になりやすいとも言われている。


■尿路結石の症状は?
尿路結石によって現れる症状は、尿路のうちどの位置に結石ができるかや、結石の大きさによっても変わってくるが、代表的なものは以下の通りです。

◇体の側面、脇腹、背面に現れる強い痛みまたは鈍痛
◇痛みによる冷や汗や顔面蒼白
◇残尿感、頻尿など排尿異常
◇嘔吐
◇血尿
◇血圧の低下

上記症状のうち、痛みは特に尿管や尿道に結石ができた場合に起こりやすく、頻尿や残尿感などの排尿異常は、膀胱に結石ができた場合に、起こりやすいと言われている。

■腎臓や、膀胱に結石ができている場合
なお、尿管や尿道ではなく腎臓や膀胱に結石ができている場合は、鈍痛程度の弱い痛みを感じる程度で、無症状のまま進行していくケースも多いです。

また、血尿は結石が大きくなり尿路の粘膜が傷つけられた場合に発生する症状なので、血尿が出た場合は石がかなり大きくなっていると考えられる。


■尿路結石は再発しやすい?
尿路結石の原因であるシュウ酸カルシウムの結石は、カルシウムや尿酸の代謝に障害がある人に特に発生しやすいと言われている。

尿路結石の再発を繰り返す人は背後にカルシウムや尿酸代謝に異常をきたす病気や感染症が潜んでいる可能性が考えられる。


■再発を予防するためにできること
尿路結石は、一度発症して痛みや発作を経験すると、再発する可能性の高い病気です。


■尿路結石の原因となるシュウ酸とは………

シュウ酸は、人体にとって、栄養素というより老廃物です。

ヒトの体内で、アスコルビン酸・ブリコール酸などの有機酸が代謝され、最終代謝産物の一つとしてシュウ酸が生成される。

シュウ酸のヒト・人体における合成量は微量です。

病的な問題・尿管結石症を起こすようなシュウ酸過多は、食べ物が原因です。


■食品とシュウ酸

動物性食品は、ほとんどシュウ酸を含みません。

シュウ酸ナトリウム(可用性蓚酸)は、野菜に含まれている。

特に、ホウレン草は際立ってシュウ酸ナトリウムを多量に含みます。


■シュウ酸ナトリウムとシュウ酸カルシウムについて

シュウ酸成分は、シュウ酸ナトリウムとシュウ酸カルシウムがメインです。

シュウ酸カルシウムは、トロロ芋に含まれ、針状結晶による皮膚炎が問題になりますが、消化管で吸収されにくく尿路結石の原因とはなりません。

■摂取されたシュウ酸の体内動態

ホウレン草は、シュウ酸ナトリウムを多く含む食材です。

シュウ酸ナトリウムは水溶性で、消化吸収された後血液に溶存し、血液に乗って全身を循環します。

シュウ酸は最終代謝物である。消化吸収過程で、シュウ酸はナトリウムと電離する。

血液、体液、尿に溶存しているシュウ酸は、イオン状態で溶存している。

最終的に、シュウ酸は、腎・糸球体でろ過され、尿として排泄される。

この、電離状態のシュウ酸がカルシウムイオンと接触すると、シュウ酸カルシウムという結晶を形成します。

カルシウムと結合は強固であり、シュウ酸カルシウムは難溶性です。(シュウ酸ナトリウムは水溶性)

シュウ酸カルシウムは凝集して結石を形成しやすく、とくに尿路系結石を起こしやすい物質です。


■アスコルビン酸過剰内服とシュウ酸の関係

アスコルビン酸(ビタミンC)を過剰内服した場合、ほとんどは代謝されず、アスコルビン酸のまま排泄される。

アスコルビン酸の代謝量は、上限があるため、アスコルビン酸に由来するシュウ酸合成量も上限がある。

ビタミンCをたくさん摂取すると尿路結石になるという都市伝説がありますが、科学的根拠はありません。


■トロロ芋のシュウ酸カルシウムに関して

シュウ酸とカルシウムの結合は極めて強いために、シュウ酸カルシウムは水に難溶性です。

トロロ芋に含まれるシュウ酸カルシウムは、針状結晶(しんじょうけっしょう)の為、皮膚角質部位に微小外傷を生じ、かゆみ・かぶれの原因となります。

トロロ芋を食べた後、シュウ酸カルシウムは結晶のまま消化管を素通りします。消化吸収はされません。

シュウ酸カルシウムは、皮膚炎を起こすことはありますが、吸収されず排便されるため、尿路結石症とは関係ありません。


■日本人に多いのは、シュウ酸カルシウム結石症と呼ばれるもの

シュウ酸はどのような食品に多く含まれているかというと、圧倒的に多いのはほうれん草です。

また、コーヒー、紅茶、コーラなど嗜好品の飲料にも比較的シュウ酸が多く含まれている。

ところが、日本の食生活では、ほうれん草を食べるときにちりめんじゃこや、鰹節をかけて食べる習慣があります。

また、コーヒーや紅茶にはミルクを入れて飲んでいる。

カルシウムとシュウ酸が結合することによって、吸収するシュウ酸を減らすことができる。

あとは、尿が濃くなりすぎないよう、水分を摂ることを心がけるといいでしょう。


■台風一過の早朝に尿路結石が多い?

水分の摂取との関係では、やはり気温が高い8月など夏場に結石が起こりやすいとされている。

ひとつ興味深い点として、気圧も関係あるのではないかと言われている。

例えば、台風が通過して、明け方の暑いときに結石が起きやすいのではないかとみている。

つまり、気圧が低いところから上がっていき、なおかつ気温が上がっていくところ、そして明け方方という時間帯がリスクファクターなのではないかということです。


■豆腐で腎臓結石??400個もの結石を腎臓に貯めた男性の話

豆腐はカロリーも低くてヘルシーなイメージがあり、積極的に食べるヒトが多い食品と思いますが、豆腐が原因で(腎臓)結石になってしまうことがあるようです。

激しい激痛のために病院に駆け込みCTスキャンをした所、左の腎臓に小粒の石が多数詰まっている状態だったそうです。


■豆腐を作るときに使われる凝固剤について

豆腐を作るときによく使用される凝固剤は、主に4種類あります。

*塩化マグネシウム(にがり)

*塩化カルシウム

*硫酸カルシウム(石こう)

*グルコノデルタラクトン

です。

400もの腎臓結石があった患者さんは、硫酸カルシウム(石こう)が凝固剤として使われていた豆腐を毎日食べていたようです。


■凝固剤の硫酸カルシウム(石こう)って危険なの?

豆腐の凝固剤に使われる塩化カルシウム、硫酸カルシウムは人工的に生成された凝固剤になります。

硫酸カルシウムは別名、澄まし粉とも呼ばれ、にがりの代用として第二次大戦中から豆腐の製造に使われるようになりました。

硫酸カルシウムは岩塩や海水および硬水に含まれている。


■なんで腎臓結石になるか

結石は腎臓内にあるうちは特に症状はありません。

ですが、腎臓から尿管に落ちてくると、突然わき腹や下腹部、腰の後ろ側などが激しく刺し込むような痛みに襲われる。

また、腎臓の機能が低下したり、炎症を起こしたりする場合もある。


■簡単にできる予防法

*酸っぱいものを食べる

酸っぱいと感じる酸味の成分に「クエン酸」という成分があります。クエン酸は腎臓のカルシウムと結合して体外に排出してくれるので腎臓結石を防ぐのに効果的です。

また、高尿酸血症における酸性尿や、尿路結石などを改善する薬としてもクエン酸カリウム、クエン酸ナトリウムという医薬品が使われます。(尿アルカリ化薬)(人によっては副作用が現れる可能性があるので注意が必要)

□腎臓結石は再発率が高い病気で有名なので、普段から食生活などを意識するようにした方がいいでしょう。

■ちなみに…

生薬として石こう(石膏)が使われる場合がありますが、解熱作用や止瀉作用(下痢を止める作用)などがあるとされている。


参考文献:












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