030 | 追悼 大平透

こんな時だけど書き上げてしまおう。声優の 大平 透 が亡くなった。往年のTVアニメや、アメリカのTVシリーズや洋画の吹き替えで、どんだけお世話になったか知れない。



タツノコアニメ'69年「ハクション大魔王」の魔王は、コミカルな駄目親父っぷりが印象深い。大平の声の演技がとっても楽しかった。

また'72年「科学忍者隊ガッチャマン」の南部博士は、大平の低く抑えた声の演技で、もう博士の目の黒い内は、なんぼギャラクターが悪の陰謀を張りめぐらそうと巨大鉄獣メカを繰り出そうと、国際科学技術庁と科学忍者隊は安泰だと思える圧倒的な存在感があった(で、最終回に近づくに連れ、その絶対の安心がどんどん削ぎ落とされる展開に燃えた)。

思えば大平は、'76年「ポールのミラクル大作戦」や、'80年「とんでも戦士ムテキング」や、'83年「未来警察ウラシマン」などなど、タツノコアニメでは善悪共に組織のリーダー役で常連だった。



往年のアメリカTVシリーズ「スパイ大作戦」('66年~)の冒頭、毎度一方的に指令を伝えて消滅するテープの「おはよう!フェルプス君」で始まる大平の名調子は、その後に展開するインポッシブルなミッションと同じように、毎回楽しみだった。

映画「スターウォーズ」エピソードⅣ~Ⅵのベイダー卿の、圧倒的な黒さと存在感は、大平の声の演技で日本で極致に達した。また、'05年のエピソードⅢ「シスの復讐」の最後にベイダー卿は誕生するけど、そのちょびっと出てくる場面もちゃんと大平透がアテてて、その采配に痺れた(同シリーズは本国スタッフが外国語の吹き替えも監修してるそうだ)。

まだDVDも、劇場での日本語吹き替え音声も一般的じゃない'93年劇場で見た「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」に出てくるハロウィン・タウンの町長は、まるで人形アニメ版ハクション大魔王かと思えるシルエットとトホホ顔で「いつかTV放映すんなら吹き替えは大平透がぴったりだろうナ」などと夢想したものだ。で、後年DVDで日本語吹き替え確認したら、バッチリ大平透になってて嬉しかった。



洟垂れ小僧の頃から現在まで、大変お世話になりました。あなたのお陰で幾つものアニメや、TVドラマや、映画が、大好きになりました。コミカルな演技からシリアスな役まで、悪玉から善玉まで、その幅広い声の演技を私はこれからも忘れる事がありません!