Moneyballのビリー・ビーンについて
Moneyballという2011年に出た映画が個人的には好きなので、その中でも主人公の1人のBilly Beane(ビリー・ビーン)について少し書きたい。
私が見た中での彼の特徴は以下の2つだ。
・哀愁:もしプロにそのまま行かないで大学に行っていたらという心との対話。自分で自分の道を選んだことの結果を受け入れるしかないという人生の重さ。
・負けるのが嫌いという軸が決まっていること:負けないためであれば手段を選ばないこと。負けないのであれば、これまでの歴史や感覚に頼った戦術ではなく、新しく自分が知った数学をベースとした戦術の構築と実行を自分の責任のもとで思い切ってやること。新しいものを取り入れてそれに不満がある人と戦うことを厭わないこと。
上記を踏まえて、映画の中で一番好きなシーンについて書いてみた。↓
Moneyballという映画の中で一番面白いシーンは、私が繰り返し見た中では、ビリーとピーターが電話をしていて、ピーターに「お前だったら俺を一巡目で指名するか」というビリーからの質問に対し、ピーターが最初はとっさに嘘をついたが次の返答では「9巡目で指名しますかね。奨学金で大学行ってたほうが良かったと思います。」という発言をビリーに返すシーンである。
この、自分の過去の判断に対する疑問を常に抱えつつもそれに対する明確な解答を見いだせていないビリーと、人間臭いコミュニケーションは得意ではないが優しく返答しようと嘘をついたがすぐに見破られてビリーが本当に聞きたがっている本音を語るピーターの率直さが重なり、二人が率直なコミュニケーションによって近付くシーンが私は好きだ。(電話を切った後の、「やっぱり大学に行ったほうが良かったのかな」という感じのビリーのため息は、それでも過去には戻れないことを受け入れて今を進むしかないという悟りの表情も見逃せない。この悟りを、ビリーはこれまで数え切れないほど体験してきたことが想像される。)
この映画は実話であるが、映画において描き出す表情やシーンは映画としての体裁やメッセージを意識しているだろうから、完全には事実を再現しているわけではないかもしれない。しかし、映画を楽しむ・味わうという意味では、上記のような感触を私は経験した。
率直さに私がいつの間にか着目したのは、私自身が、率直で本質的なコミュニケーションを好んでいることと重なっているのだろう。
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