自分が「キタ!」と思う瞬間
自分にとって「キタ!」と感じる瞬間は2種類あることに気がついた。
2つの「ハマる」瞬間である。
①:1つの「ハマる」は、パズルが(部分的にでも)完成するような、1つ1つの相互の関係が理解できて可視化できたときの理路整然とした秩序を見つけた瞬間。自然科学でいうところの法則を発見した瞬間というのはこんな感じだろうか。
②:もう1つの「ハマる」は、簡単に言えば熱中している瞬間。熱中しているときは、自分が何をしている、例えばその瞬間に歩いていることとかカフェにいることとかサッカーをしていることとかという状態が完全に意識から排除されるような感覚に浸ることができ、時の流れを無視できる。
上記に関連して。
自分がインストールしている哲学は実存主義だが、実存主義を提唱した J. P. サルトルは『嘔吐』(:人間存在の偶然性に関する弁駁書をサスペンス仕立ての小説にしたもの)という著書の中で、「完璧な瞬間」という概念を取り上げて、人生に「完璧な瞬間」は無いことを主張している。
ここでいう「完璧な瞬間」とは、自分の存在が必然的なもので人間には予め定められた運命があってそれを人間は歩んでいく、ということだが、実存主義を基にするとそれは存在しないことが主張される。
「完璧な瞬間」を求めている人間(おそらくすべての人間はこれを求めている部分がほんの少し以上はあるのではと勝手に思うが)は、結局は自分は自分で決意してその結果を受け入れることが自分の単一性・唯一性を構成していることにいずれ気がつく。しかしそれでもそれを認めたくなく、「自分探し」という愚挙をいいわけにして自分の運命が自分以外のところにあることを求める。自分には予め定められた役割があってそれを発見すれば自分の精神は安泰であるという発想だ。
上記の2つの話、<自分の2つの「ハマる」瞬間>、<「完璧な瞬間」>にはどこか似ているところがあるのではとふと感じたのだが、私自身の個別の解釈(哲学とは結局のところ個々人の解釈である)としては、違う、という結論に至った。
まず、自分が「ハマ」ったと感じたときの、①秩序・因果関係といったものを完全に知覚した瞬間、そして②熱中していた意識が完全に自分の外にある瞬間、という2つを記述したが、圧倒的な興奮と圧倒的な落ち着きが同時に感じられる瞬間が、私の言うところの「ハマる」なのである。
そこに、自分が人間として生きている以上逃れることのできない「偶然性」から逃げたいという欲は無い。
自分は実存主義という哲学に出会って以来、すべての結果は自分の関わり方次第であるということを非常に納得した状態で日々を過ごすことができている。
すべての結果とは、例えば、ある人とどれだけの距離で接したいとか、それに関しての自分の物理的・精神的立ち位置のとり方とか、本当はもっと近づきたいのに自分に言い訳していることとか、猪突猛進して信用されなくなったこととか、自分にマイナスでしかないと解釈している人を完全にシャットアウトしていることとか、今この時間をどこに使うことで何ができなくなるかという機会費用とか、このような自分に関わること、そして関わらないことのすべてである。
すべての結果を受け入れる用意が常にあるからこそ、選択的に捨てることを学んで自分の中でバランスを取ることができる感覚を持ち続けることができる。すべては「偶然性」の中で確率的にありえることが自分や身の回りや自分が行ったことのないところで発生しているだけだ。(ここでの「確率的」とは正規分布のことではなく、トートロジーのようになってしまうが、その事象の発生が確率的にありえる分布のことである。べき乗分布かな・・・わかんないけど。)
そこの「必然性」(→完璧な瞬間)を求めると、自分の意に反した結果のときに自分の精神的安定が損なわれる。
もちろん、ここでいうところの「偶然」とは、すべては偶然だから自分にはどうしようもないという諦めではなく、また、何も意思を持たずに傍観してボケーーーーーっとして未来を予想しないということでもない。
そうではなく、自分にとっての「偶然」は、「そういうこともあるよね→自分はこういう思考をする→だからこうする」ということをすべての結果に対して持つという、楽観的で建設的な態度を自分にもたらしてくれる。
だからこそ、今この結果がもたらされたからといって別の結果がもたらされることがあり得なかったわけではないことは十分ありえたことを認識した上で自分の態度表明をすることが自分の唯一性を個性していることを私は知っている。つまりそこに、「完璧な瞬間」(→必然)があるのではなく、偶然が発生している中での自分の態度表明が常に意識されているのである。(これがすべての事象に対する私の解釈(=哲学)である。)
こうして、<①②の「ハマる」瞬間>と<「完璧な瞬間」>が異なることが(私の中で)示された。
日々、自分を自分の外に失うことができる「ハマる」瞬間と出会えるように行動していく。
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