見出し画像

ランブン雑談・ボドゲ編 その2 『「ボードゲームって人生ゲームとかですか?」を無くす』(著note氏)を読んでの感想 【コラボ】

閲覧ありがとうございます。ボドゲ工房Rのランブンです。今回はタイトルの通り、note氏の記事を読んでの感想を書いていきます。まずは以下の記事を読んでいただきたいと思います。

『「ボードゲームって人生ゲームとかですか?」を無くす』のURL

https://note.com/note_0922/n/n5a9f9ac016e2

この企画はTwitterにてnote氏とご縁があり始めました。反響があれば続けていきたいと思いますのでコメント等お願いいたします。

それでは本題に入ります。この記事は2つのセクションに別れているため、各セクション毎に感想を書いていきます。



・「活動目標」について

筆者が述べている目標はボードゲーマーなら同感できる点が多いと思います。私も実際に「それって人生ゲームとかですか?」と聞かれた経験があります(説明が面倒なので「ざっくり言うとそうです」と答えましたが)。友人にボドゲを趣味にしている人が多いため感覚が鈍りやすいですが、ボドゲというコンテンツの知名度が低いというのは事実だと私も痛感しています。実際、私自身もボドゲを趣味にし始めたのが3年ほど前で、それ以前は全くその存在を知りませんでした。しかも、元々盤上遊戯が好き、具体的には将棋、麻雀、花札、トランプ、TCGなどで遊ぶのが好きだったのにも関わらず、です。けれども、これは恐らく私だけではなく様々な人が経験していることだと思います。つまり、ボドゲ界隈の知名度がそのレベルであって、ボードゲームを好む可能性がある人にすらその良さが届かないのが現状であるということです。
このような状況を打開しようという試みは素晴らしいと思います。コンテンツの盛り上がりは商業的な側面において重要なことはもちろんですが、新作のクオリティにも直結すると考えているからです。界隈に人がいなくなれば、そこに投資する人や新しく物を作る人も減っていき、結果として品質は劣化していきます。制作者としてボドゲ人口が多いに越したことはないというのも本音ですが、一ボドゲプレイヤーとして面白い作品が出てこなくなるのも悲しいことです。確かにボードゲーム文化が根付いているドイツ等の国からの輸入が無くなるなんてことは考えにくいですが、やはり国内でも同じように盛り上がり、より良い作品がたくさん生まれるような状況を維持できるのが良いと思います。



・『数値目標』について

「家庭用ゲーム機と同程度に市場規模を拡大できれば十分に認知が広がっている」
これは間違いではありませんが、正直高すぎる目標だと思います。ボドゲ大国ドイツですら市場規模は600億程度なので、まずはここら辺を目指すと分かり良いと思います(もちろん夢を大きく持つのは大事ですし、デジタルゲームと肩を並べたくなる気持ちも重々分かりますが)
けれども、実際問題ボードゲームの市場規模を広げることはかなり困難だと個人的には感じています。その理由はボードゲームの性質上の弱点が多いからです。
私が考えるボードゲームの弱点は以下の通りです。

①コストパフォーマンスが悪い

これはあくまでデジタルゲーム、特にコンシューマーゲームと比べてですが、ボードゲームは比較的お金のかかる趣味だと考えております。
例えば、コンシューマーゲームにおいてハードの価格を30000円、一つのハードにつき5本のソフトで遊ぶとすると1本7000円の作品の価格は
30000÷5+7000=13000円
となります。そしてこの作品で400時間遊ぶとなると一時間当たりの価格は
13000÷400=33円
となります。もちろん個人差はかなりあるとは思いますが、かなり安い趣味であると言えます。
一方、ボードゲームにおいて価格を3000円、50時間遊んだとしても60円。これだけでも倍の値段が掛かっていますが、そもそも3000円のゲームを50時間遊ぶこと自体まれであり、さらに場所の確保等の問題を含めるとコストパフォーマンスの差は歴然です。もっと端的に言ってしまえば『ドミニオン』と『ブロックス』を買うお金で『スマブラSP』が買えてしまいます。(私はどれも好きですが、コストパフォーマンスで言えば『スマブラSP』の方が優れていると言わざるを得ないと思います)
このようにその性質上どうしてもお金がかかってしまうという弱点があります。

②プレイ環境に制限が大きい

これもコンシューマーゲームとの比較になりますが、ボードゲームはほとんどの場合

・人数が集まらないと遊べない
・ある程度時間を確保しなければならない
・スペースの確保も難しい

といった問題を抱えています。もちろんオンラインで行う事もできますが、やはり実際にあってプレイするよりは面白さが落ちてしまいます。(コンシューマーゲームでも同様の問題が発生しますが、ボードゲームほどはその面白さの下がり方が大きくなく、かつオンラインでできることの恩恵をボードゲームより受けているように感じます)
また、知名度が低く自身の周りだけでプレイヤーを集めるのが難しいため見知らぬ人と行うことも多くありますが、対面である以上必ず品位の問題が発生します。カードゲーム業界やゲームセンターでも同じ問題は存在しますが、人口の少なさの関係上ボードゲーム業界の方がより深刻な問題のように感じます(オンラインゲームは互いの顔が見えないため比較すると民度が低いですが、相手に与える悪影響は対面の方が大きいと考えています)
このようにコンシューマーゲームと比べると手軽さに欠け、現代社会においては流行させるのに不利な性質であると考えられます。

③人口の割に存在するジャンルが多岐にわたりすぎている

これはボードゲームの良い点でもあるのですが、とにかくジャンルが多いので同じ趣味の人でも全く話がかみ合わない状況が生まれやすいです。「ボードゲームが好きです」は「スポーツが好きです」と言っているようなものと考えると分かりやすいかと思います。スポーツはジャンルごとに人口が多いのでジャンルごとに集まることが容易ですが、ボードゲームではそうはいきません。また、これは個人的な感想ですが、ボードゲームは音楽や映画、小説よりもいわゆる「not for me」が発生しやすい性質があるので、中々同じ趣味の人と集まるのは難しいです。

④観戦料での売り上げを期待しにくい

他の成功している業界、スポーツや将棋・囲碁・麻雀では観戦料で商業を成り立たせていることが多いです。最近ではeスポーツというものもありますが、とにかく観戦料を取る(または観戦の際にCMをつけ、スポンサー料を取る)ことは必須であると考えられます。しかし、ボードゲームでは現状そのような動きは見られず、また今後も難しいと考えております。逆にここさえ確立することができればもしかすると業界は盛り上がるかもしれません。

⑤拡張が制作しにくい等お金にできる部分が少ない

ボードゲームではTCGのように拡張でお金を儲けることが難しく、またアニメ化なども難しい部類に入ると思います。なので、必然的にそれに関連したグッズの販売なども難しく、結果ボードゲームでの利益はボードゲームそのものの売上のみとなってしまいます。④でも述べたように観戦もしにくいのでユニフォーム等も当然用意できず、他の業界に比べてお金にできる部分が少ないのです。これでは業界に進出しようという企業もなかなか現れないのも納得せざるをえないと思います。

⑥法整備が追いついておらず権利が守られない

これはスマホゲームですでに同様の問題が発生していますが、パクリ行為が横行することが目に見えています。ボードゲーム業界ではあまり目立っていませんが、お金になる業界と認識されれば必ず後追いによって低リスク低価格で利益を奪おうという企業は現れます。これは業界にとってマイナスでしかないので、法律が整備されないといけないと思います。制作の性質上ゲームルールに対してどこまで著作権を認めるかというのは難しい問題ですが、ここを解決しない限り仮に一度盛り上がっても廃れていってしまうように思われます。

このような弱点があるため、デジタルゲームレベルで流行させるのは難しいと感じています。確かにボードゲーム業界はここ数年で急速に盛り上がりを見せていますが、それは個々の犠牲や、いわゆる「買って応援」で成り立っている側面も大きく、業界としてはまだまだ食べていけるほどの規模にはなっていません。これらの弱点を上手く克服し、商業として成立するような状況にしていかなければ、いつまでも「それって人生ゲームとかですか?」と言われ続けるでしょう。
ただ、ドイツでは商業的にボードゲームが成立しており、しっかりとした専門家が存在するのも事実です。勿論文化や風土が違うので一概には言えませんが、何故ドイツではボードゲームが成功したのかについては学ばなければならないかも知れません。私自身はただの同人ボドゲ制作者ですが、これからのボドゲ業界に関してはもっと考えていかなければならないと考えさせられました。Note氏と私では活動内容が大きく異なりますが、これからも業界を盛り上げられるよう協力していけたらと思います。



本章はここまでとなります。私自身ボードゲーム界隈での歴が短いので間違っていることもたくさん言っていると思います。けれども、今回の記事をきっかけに様々な議論が展開されればそれで充分です。コメントやTwitterなどでどんどん意見を出していただけたら幸いに思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

【広告】
ボドマートにて『チキン・ラン』出展
【URL】
https://t.co/vwpUTOImCk

多人数短時間(4~7人、20分)、自由な交渉とシンプルな数比べ
キャッチコピーは「―破産か、罵倒か―」
2020年秋ゲームマーケット
『Mole in the Cult』出展予定
旧名:カルトとモグラ
多人数中量級(4~8人、60分)、じっくり遊べる正体隠匿系ゲーム
キャッチコピーは「裏切者には粛清を」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?