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『チキン・ラン』ゲームデザイン備忘録~三章:テストプレイ~


【目次】

序章 ボードゲーム=題材+ゲーム性
一章 方針決定
二章 ルール作り
★三章 テストプレイ
四章 テーマ決め
五章 まとめと感想


【この章のポイント】
・一人、制作者、プレイヤーの3種類のテストプレイを行う
・制作者テストプレイでは方針を伝える
・プレイヤーテストプレイでは感想を聞く

前章までで一通りの制作作業が終わったので、今度は実際にそのゲームが面白いのか確認していきます。テストプレイの種類は大きく3つあり、出来る限りすべての種類のテストプレイを行いましょう。(なお『チキン・ラン』は制作者テストプレイをほとんど行えていないので偉そうなことは言えませんが、それぞれのテストプレイにメリットもデメリットもあるので環境があればやりましょう)


・一人テストプレイ
他の人にテストプレイを行ってもらう前にまずは自分一人でプレイしてみましょう。テストプレイに集まってもらったのにすぐに致命的な構造ミスが見つかるとお互いにやるせなくなります。
しかし、ここで100%のクオリティを目指す必要はないので、ある程度形ができたら次に進んでいいと思います(ただし、次の制作者テストプレイを飛ばしてプレイヤーテストプレイに行く場合は(ゲームデザインとしての)ほぼ完成形を持っていかないとあまり大きな効果は得られないと考えられます。)


・制作者テストプレイ
ある程度ゲームが形になったらボドゲ制作を行っている人達にテストプレイしてもらいましょう。メリット、デメリットは以下の通り

【制作者とテストプレイを行うメリット】
・解決したい問題があった場合に具体的な解決案が出やすい
(制作を行う際の経験値が高く、また自身の設計意図をくみ取ってもらいやすいため)

【制作者とテストプレイを行うデメリット】
・ゲームに対しての感想が一般のプレイヤーとずれている可能性がある
(制作者はプレイヤー負荷に強い傾向、またボドゲ慣れや制作者サイドの意見になりがち)

このような特性から、テストプレイを行う前(後でも大丈夫ですが)に

・制作の目標(身内で楽しむのか、ゲムマ等に出展するのか、など)
・設計意図(一章 方針決定の内容)
・現在抱えている問題点

を参加者に伝えるとよりスムーズに意見を出してもらえます。


・プレイヤーテストプレイ
ゲームの仕様がほぼ完成したら、一般のプレイヤーにテストプレイしてもらいましょう。なるべく幅広いプレイヤー(初心者から上級者まで)に行ってもらえるのが理想です。

【一般のプレイヤーでのメリット】
・率直な感想をもらいやすい
(制作サイドの考えを考慮しないためエゴが通用せずある意味厳しい感想がもらえる)

【一般のプレイヤーでのデメリット】
・具体的なアドバイスがもらいにくい
・かなりの完成度でないとテストプレイが行えない
(最低でもゲームとして遊べるレベルでないと一般のプレイヤーはついていけない)

このような特性から、以下の点に注意が必要です

・ゲームとして一通り遊べる状態で臨む
・感想は受け入れるが具体的な意見は基本無視
・感想に関しても設計意図に沿うか沿わないかで考える

なお、プレイヤーテストプレイを行う際は以下のような感想を聞いています。

・最初の説明でルールを把握できたか
・ゲーム終了時、ルールやゲームの流れを理解できたか
・(初プレイ終了後)「2回目をやってみたい」と思ったか
・(2回目以降に)このゲームは面白いか
・一試合の時間の長さをどう感じたか


このように3つのテストプレイをゲーム完成度に合わせて使い分けることが大切です。テストプレイは非常に労力を使い精神的にも疲れる作業ですが、作品のクオリティを上げるためには必須の作業ですので頑張りましょう。

本章はここまでとなります。『チキン・ラン』は幸いにもテストプレイを行った時点でかなりの高評価を受けていたためあまり修正を行いませんでしたが、その後の制作ではテストプレイとルール作りを何回も行き来しています。今回の内容はどのような制作スタイルでも必要なことだと思うので少しでも参考になったら幸いです。

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