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浜松の新県営球場計画があっさり「見直し」になったらしい
巨額を要する新野球場の整備計画を見直しへ…故・鈴木修 氏肝いりの事業 静岡県が策定した中期財政計画で明らかに 補助金の再考も
静岡県は持続可能で健全な財政基盤を構築し、新たな取り組みを積極的に進めるため2025年度から10年間を期間とする中期財政計画を策定しました。
この中で、県は2034年度末に通常債の残高を現在から1000億円程度削減することや基礎的財政収支(プライマリーバランス)を毎年度黒字化することなどを目標に掲げています。
目標を達成するためにも、県は2025年度からの4年間を改革強化期間と位置づけ、補助金の見直しなど歳出のスリム化を実施すると共に知事公舎の売却や県有施設におけるネーミングライツの導入などにより歳入の拡大を図るということです。
また、浜松市に建設を予定する新たな野球場や医科大学院大学の設置など大規模プロジェクトの見直しを実施すると同時に県有施設の統廃合なども進めていきます。
新野球場計画は2024年12月に亡くなった自動車メーカー・スズキの鈴木修 元相談役肝いりの計画として知られ、浜松市の経済界などはドーム型球場の整備を要望していました。
一方でドーム型の場合、建設費が370億円と試算されていて、資材や人件費の高騰により事業費がさらに膨らむ可能性が指摘されています。
つい最近「協議会」の初会合が行われて議論らしいものがはじまったと思いきや、思いっきり「見直しを実施」だから、事実上なくなったか、少なくともドーム球場の芽は消えたように思う。個人的にはまあ良かったという感じだが、あれほど物議を醸したのに何やってんだかという感じでもある。プロ野球の常打ち球場でない野球場の計画がこれほど注目された記憶はあまりない。
先日の「協議会」では浜松市長が前のめりで、鈴木知事が否定的なスタンスだったようだが、面白いのが鈴木知事が浜松市長時代にはやはり前のめりで、当時の川勝知事も前向きだったのに随分状況が変わったなと。一番大きいのはやはりスズキの鈴木修ボスが亡くなった事だろう。これは首長が代わるとかいうレベルの問題とはわけが違う。
津波を想定した災害時の避難場所を兼ねる、という話だったが、なぜあんなに海の近くに、と誰もが思う。海辺の住人が避難するためのものだから海辺にあるにしても、せめて海辺の住人が避難する方角に造られるべきだろう。多くの住人は海の方向に向かって避難する事になる。それにあまり海の近くでは劣化も早い。
と、まず場所が不可解だし、プロ野球チームの本拠地という役目を想定しない「ドーム球場」という発想も無謀に思えた。消えるべくして消えた計画という気がする。
今の浜松球場の何が悪いというのだろう。「敷地が足りなくて存続できない」などと市が言っていたが、それは公園内に「第1種競技場」を造る事が前提であって、球場自体に問題があるわけではない。
元々この「第1種競技場」が発端で浜松球場を海辺に追いやるという話になっているわけだから、まず競技場をどこかに建て替えるか(近隣にエコパスタジアムというものがあるのだが)、公園のゾーニングを見直すところからはじめた方が収まりが良いし、市民県民の理解も得やすいんじゃないかと思う。
浜松球場が今の場所、少なくとも公園内に建て替えられる、という結末が浜松球場にとっては一番良いのだろうが、今のところその案は見た事がない。