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ぼくのかんがえたさいきょうのドラフトかいかくあん

 古い言い回しですみません。数少ない好きなネットスラングなので。

 100人のプロ野球ファンがいれば100通りの「ドラフト改革案」がある。チーム編成の根幹にかかわる問題だから関心が高いのは当然と言える。
 しかしどう制度を改革しても、すべての球団、ファンを納得させる事は不可能だ。それを考慮に入れても、「平等」を大前提に考えるならば、過去のいずれの制度も皆を納得させることはできていないと思う。

 とは言え、究極の理想はドラフト制度なしの完全自由競争なのだが、戦力の不均等や契約金のさらなる異常な高騰を招く事が明らかなので、やはりドラフトは必要と認めざるを得ない。資本主義の世の中なのだから欲しい選手を獲るのにいくら金を積んでも良いだろうという声もあるだろうが、プロとしての実績に対する評価ならともかく、まだプロになっていない例えば大学生に大金を払うのは何か違う。
 その契約金の高騰を抑えるのと、戦力の均等を建前に長い間施行されてきたのがウェーバー方式なわけだが、ペナント下位の球団から欲しい選手を指名できるというのは一見理にかなっているが、ウェーバー方式によってどれほど戦力が均等になっただろうか。メジャーはウェーバー方式だという声もあるかと思うが、メジャーはウェーバー方式ですべてを解決しているわけではない。

 スカウトが存分に眼力を活かし、契約金の高騰を抑え、かつ「平等」である事。この3つを大前提に、こんな提案をしたい。
 ドラフト1位、2位の獲得は「くじ引き」とする。いきなり「スカウティングの意義が薄れるではないか」と言われそうだが、スカウトの真骨頂は、「ドラフト3位以下」と言われた選手の発掘にあるのではないだろうか。もちろん上位指名確実と言われる選手の見極めは大事だが、そういう選手はどの道競合になる。
 だから1位、2位選手の獲得にはくじ引きとする必要がある。1位、2位選手獲得の自由がなくなる代わり、「3位以下」の選手をまったくの自由競争にするのである。つまり「自由枠」があった時代のまったく逆。実質3位以下の選手のために契約金が異常に高騰する事は考えにくいし、スカウトは選手に対して比較的「上の立場」でモノが言える。つまり選手の周囲の大人を懐柔するなど、スカウトが本来やるべきではない仕事に神経を使う頻度が減る。

 そして「平等」の部分だが、ウェーバー方式はそもそも平等ではないし、大昔の指名順くじ引き方式も、指名順が決まった時点で平等ではない。だからくじ引きは原則有利、不利がないよう以下のように定めたい。
 全球団が欲しい選手を入札する。重複があった場合はくじ引きとなる。当たりくじを引いた球団と、重複がなかった球団は交渉権が確定する。重複があった場合はまたくじ引きとなる。当たりくじを引いた球団と、重複がなかった球団は交渉権が確定する。こうした手順を重複がなくなるまで繰り返す。つまり2024年現在の1巡目のルールで良い。
 その手順で2順目まで行う。つまり全球団が2人の交渉権を獲得するまで行う。えらく時間がかかりそうだが、交渉権を獲得するのは2人までだから、トータルでは時間の短縮になるはずである(最初のドラフトは確かこんな感じではなかったか)。
 このルールなら、すべての球団に公平である。

「ちょっと待て、肝心なところがまるで平等ではないではないか。なぜドラフト1位2位の選手に球団選択の自由がなくて、実質3位以下の選手が自由なんだ」
 当然、誰もがそう思う。それに対する答えは、、、

「球団選択の不自由は、名誉と、高額な契約金の対価である」

 つまり、高校やアマチュアの一線で活躍していた以上、プロが競合するのは必定と考えるしかない。もちろん、1位2位指名選手はFA権取得条件を緩和するよう配慮する必要はある。
 1位2位が決まったら、実質3位以下の自由獲得競争である。ただし今まで通り10月下旬にドラフトを行っていたら、年内に獲得競争が終わらなくなってしまう。そこでドラフトの時期を早める必要がある。
 ここで気を使いたいのがやはり高校生である。まだ野球部員として活動している間に入団先の事で注目されては色々と弊害があるだろう。だから高校生には最後の舞台となる選手権の終了直後、つまり8月下旬としたい。大学や社会人はどうなのかというと、ドラフト後に神宮大会や日本選手権が普通に行われるから、比較的問題は少ないだろう。

 ドラフト終了後、つまり9月のはじめあたりから、「ドラフト外」選手の獲得合戦になる。3位以下の選手に多数の逸材が埋もれている事は歴史を見ても明らか。スカウトの腕の見せ所である。
 と言っても、年内に全球団の獲得選手が全てすんなりと決まるだろうか。そんな風に、言った後ですぐに疑問が沸くほど、この「改革案」は穴だらけである。8月といっても、球団の立場からすれば、ドラフト外選手をあと4~7人獲得するのには遅すぎるかもしれないし、プロの都合だけではなく社会人、大学、高校、独立リーグすべての周期も考慮しなくてはならない。第一、似たような案がとっくの昔にボツになっているかもしれない。
 ではなぜ提案したかというと、先にも述べた契約金の高騰を抑える事、スカウトが本来の仕事に専念できる事、そして「平等」である事。この3点は何とかしなければならないからである。

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