デザインの勉強②(とはいえ経緯の話)
その昔、駅直結のビルで終電間近まで働いていた時。
癒しのひとつが、駅ナカや職場じゃないビルの大型書店で素材集の本を買うことだった。
こういう感じのものがとても気に入って、使う予定もないのに(本当に一切ない!)購入しては魅入っていた。20冊くらい買ったと思う。
ひとつひとつに気に入りの写真やイラストがあり、私の生活はその「気に入り」にコラージュされていた。
結局身体を壊して前職にうつったのだが、引越しを伴っていたから素材の入ったCD-ROMを何枚か紛失していて、すこしだけもったいないなと思う。
ただそのときは本当に、ページを繰りながらあらわれる美しい写真やイラスト、模様をただただ眺めるだけで幸せであったので、CD-ROMのことは特段重要ではなかったのだ。
けれど。
ポスター作ってみる?
上司に言ってもらえたあの一言で、私には新たな幸せが増えた。
あの美しい、私を癒してくれた、ある意味で戦友とも言っていい素材たちを使うことができたから。人生を変えてもらったと思っている。
無くしてしまった素材も多いけれど、本を見ていたらインスピレーションは湧いてくるし(インスピレーション!これに尽きる)、実際おおいに役立ってくれた。
ただ癒やしを求めて購入した素材集がこんな形で活きることになるなんて想像もしていなかった(ぼんやりとジョブズの有名な点と点の話を思い出したり)。
自分にはデザインというものがある、という気づきで世界が拓けていく。
いつもは資料だか報告書だかを書くwordのA4の中に色を置いて、図形を置いて、素材を置いて、
ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら、それでもこれ!という直感がかならず来る。
パズルのピースがぴったりはまるその瞬間が幸せだし、なんならその試行錯誤の時間だってただただ至福だ。
(デザインはあくまで人に見られるため、人にわかりやすくするため、人の情動にはたらきかけるためにあると分かっていつつ、自分の内面にも深く踏みこんでいる、少なくとも私は)
こうして独善的になりがちなので、ちゃんとデザインの勉強本も買いました。えへん。
「なるほどデザイン」と、「デザイン入門教室」はとてもとても勉強になった。
デザインというものの基礎、考え方の話からどのように使用されるか、人間の心理にどう働くか。
言語化されて、整理されて、構成されて、単純化されて、見える世界が違ってくる。
実際にポスターを作るときによく見るのが「和のデザイン 美しいレイアウトのしくみ」と「魅せる日本語タイトル」。
私は和のデザインでポスターを作ることが多かったので、大変大変お世話になった。伝統的な和のデザインからあたらしい、スタイリッシュなデザインまで。配色やフォントも勉強になる。
魅せる日本語タイトルの方はタイポグラフィと、写真を使ったポスターデザインをすごく参考にさせていただいた。
ふたつとも、実際に使われている広告ポスターを見本にしてもらえるのはありがたい。
色の本は完全に趣味に走って買ったのだけど、ロゴにした時の配色の見本だったり、世界の伝統的な色の組み合わせを教えてくれたり、名画の色使いをポイントで数値化してくれたりと、勉強にもなるし見ていて楽しい。
このシリーズは全部欲しい。
フォントでも配色でも画像のトンマナでもなんでもいい、「気に入り」をどんどん私の内側に増やしていって、コラージュするようにデザインする人生にしたい。
とりあえず、独善的でも、それができたらいいなと、今は考えている。