別居後1週間
猫を新幹線で連れていくことが一番辛かった。
自分一人ならなんとかなる。災害級の暑さであろうと、地震で新幹線が止まって一晩を車内で過ごそうと、台風で交通機関が止まろうと、生きて帰ることができる。ただ猫は。
そのことでずっと気持ちが休まらずにいたから(夢にも散々見た)、どうにかこうにか地元にたどり着いたときには本当に安心した。自分がずっと願っていた『帰る』ことの嬉しさより、猫を安全な場所に連れてこられたことの安心が優った。でも……。
猫は家につく、というのをこんな風に実感することになるとは。
隅っこに隠れて、全く動かない猫。
ご飯も食べない、水も飲まない。大好きなちゅーるにも無反応。
胃が破れるかと思うぐらい不安で、泣いてしまった。
それから1週間、やっと家中を散歩するようになった。家の人間に慣れるのはまだ先のようだけれども、時間が解決してくれることを信じている。
だんだんと身体が動かなくなっているのを感じる。
引越した日や、翌日は色々とやることや調達しなければいけないものもあり、動いていたのだけれど、
それが終わると、この暑さもあり(今まで住んでいた場所より10度も高いのだ)、夏バテ…というには心理的な負担も大きすぎて、動けなくなってきた。
時折、胸やみぞおちのあたりがギュッと引き絞られるような不安が襲う。息が浅くなり、居ても立っても居られない気持ちになる。食欲もなく、ひたすら水を飲んでいる。睡眠も薬で無理やり寝入ったはいいものの、1、2時間で目が覚める。良くない兆候である。
ストレスに強い人間だと思っていたけれど、そうじゃない。ストレス反応を我慢することに慣れていただけだ。
楽しい、と思うことをしたい。
好きな人に、猫に、幸せになってもらいたい。
それだけなのにね。