女の朝パート397

吉祥寺のTULLY'S COFFEEに来た時から、

店内は、珈琲の高貴な甘い香りに溢れておりました。





しかし、独りぼっちで椅子に座る者達は皆無口。

スマフォやパソコンばかり見つめ、

何だかとても忙しそう。特に手が、その指が!

珈琲が泣いてますよ。

カップから滴る涙が見えませんか?

珈琲が泣いてますよ。

溶ける氷からすすり泣く声が聞こえませんか?

私はもう耐えられません。

そんなに冷たくなっちゃって、

声も手も出せないまま身動き一つ出来ず、

一人孤独に凍えているじゃないですか?

私には解りません。

そんな近くで苦しんでいるのに、

何故今すぐその手を止めて、寄り添ってあげないのですか?

伸ばせば直ぐに掴めて飲める所に置きながら、

それは何故ですか?

それでは余りにも珈琲が可哀想です。

運命に翻弄されず、自負自身の愛をを貫いてる愛す珈琲なのに、

それでは余りにも悲しく儚い結末になりませんか?

私は同じ匂いを再び嗅げた瞬間から、

これは正に運命だ!と思って、信じて邁進してきたつもりだけど、

私はこれ以上、大好きな珈琲が泣く姿も、

飲まれて無くなって仕舞う姿も見たくありません。





嗚呼、珈琲から魂が抜けてゆく。

さよならアイスコーヒー、ごめんなさいアイスコーヒー。

私は見送る事しか出来ないし、

何も出来ない自分の運命を呪うけれど、

こんな私をどうか許してください。

最後だけど、いつも私を受け入れてくれ、

いつも寄り添ってくれ、時々やり過ごしてもくれ、

色々と本当にありがとう。

私は、初めて見た時から、ずっとずっと、

愛す珈琲の事が好きでした。


えっ私?

私は、珈琲がある場所なら何処にでも現れる、

ただの通りすがり、その名も珈琲女。

相変わらず名前は気にいらんが、



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