小さな驚き 二つ
少し行った先に、「宮山」という周囲を田んぼで囲まれた島みたいなところがある。ほぼ全域が公園になっていて、南端には農産物直売所と「宮山観音堂」がある。観音堂の裏には5世紀早期の「宮山観音古墳」という前方後円墳がある。それを横切るように北に向かって鹿島神社の参道が伸びている。まず、僕が驚いたのは、その鹿島神社の裏手の小高い山頂(標高48m)にある「宮山石倉遺跡」である。
宮山石倉遺跡は、南北7m(?)、東西30mの範囲で山頂に花崗岩の巨石が積み上げられた状態である。「宮山」の周辺は、古鬼怒川の堆積物であると思い込んでいたから、ここで火成岩の花崗岩を見るとは思わなかった。小屋に戻ってから、念の為、産総研の地質調査センターが作成した「地質ガイド」を見ても、この辺一帯は「底位または中位段丘堆積物」となっていた。
とても、古代人が、あの巨大な一枚岩の花崗岩を筑波山塊から切り出して、ここまで運んできたとは思えない。あるいは地質調査で見落としたか?
どうであれ、古代人にとっては神聖な「磐座」だったのだろう。古墳、そして神社や観音堂と深く結びついているのに違いない。
二つ目の驚きは、観音堂の説明板に、山頂の巨岩上にある水は弘法大師が七日七夜の加持祈祷を執行した時の「加持水」だとある。だから、「百日の干天にも乾くことがない」とあった。また、別の案内板には「この石は弘法の硯石と呼ばれ、弘法大使が硯を擦ったと謂われのあるもので、渇水期にも涸れず、この水で墨を擦り習字を書くと字が上手になる」とあった。
こういうのはよくある伝説で、まさか、このところ雨も降らず、この暑さであるから、水があるはずがないと思っていた。ところが、驚いたことに巨石の割れ目に水が溜まっていた。その中を、小さなカエルたちが飛び回って遊んでいた。伝説は本当だった!
オン アボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤ ウン
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