RAMUNOS

筑波山麓の雑木林に囲まれた山小屋で猫のピーと棲んでいます(二住生活)。 自然とくに植物…

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筑波山麓の雑木林に囲まれた山小屋で猫のピーと棲んでいます(二住生活)。 自然とくに植物と珈琲と本が好き。 ここでは自然の移ろいや日々の出来事をnoteします。

マガジン

  • 植物たち

    身の回りの植物たちをメモします

  • 珈琲

    大好きなコーヒーについてのアレコレ

最近の記事

彼岸花

涸沼川の脇にある墓地の斜面にヒガンバナが咲いていた。もうすぐ秋の彼岸だというのに、今年は酷暑だったせいだろうか、咲いているヒガンバナが少ないように思える。やっと見つけた群落だ。繁茂した雑草の中で、毒々しいまでに鮮やかな赤色で自分の存在を主張していた。 子供の頃から、こんな所に誰が植えたのかと疑問に思ったことが度々あった。日本のヒガンバナは三倍体なので種子ができない。では誰が? あんな大きな球根を鳥が咥えて運んだとは思えない。動物かというと、球根には毒があるから動物は手を出さ

    • 河童の影

      タイトルの写真は、女河童の「ねねこ(禰々子)」である。これは利根町の民俗歴史資料館に飾ってあった。近くの大学生たちが作ったそうだ。参考にしたのは、江戸時代末期の地誌家である赤松宗旦の『利根川図志』である。赤松宗旦は、柳田國男が少年期をおくったのと同じ茨城県利根町布川の出身で、彼の『利根川図志』は利根川流域の民俗を知るのには欠かせない書物である。 茨城県南部には、利根川をはじめ多くの河川と湖沼があり、そのせいか水と関連が深い河童の伝説が多くある。 昨日訪れた小美玉市の「手接神

      • ヤツデ

        これまでヤツデ(ウコギ科)を誤解していた。この木は、葉が大きく広がっている形が面白いものの、日陰のジメジメしたところにひっそりと生えている脇役だと思っていた。いわば日陰者の木だと。 しかし、今朝、その思わぬ美しさに気が付いた。まだ、夜の暗さが残っている部屋で朝のコーヒーを飲んでいたら、窓辺のヤツデの葉が美しく輝いている。今春に出たばかりの若葉に朝日が当たって、葉の裏側に抜けた光がみずみずしい緑を放っていた。 ヤツデの魅力は葉ばかりでない、晩秋から冬の初にかけて咲く花も味わい

        • 『なつだ オバケだ ゾッとする展』 

          先月(8/16note)、実物を見られなかった柳田國男少年が不思議な体験をした「石の玉」が、『柏市郷土資料館』に展示されているというので、自宅に帰った際に見てきた。「石の玉」は、直径12、3cmのまん丸の球体である。凡人の僕がいくら見つめても、柳田少年のように気が変になるようなことはなかった(笑)。 この企画展は『ゾッとする展』というテーマで、柏市周辺に伝わる不思議なモノや不気味な絵を集めて展示している。地獄絵図や幽霊の掛け軸、妖怪やカッパ想像図、そして奇怪なモノなどである

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        • 植物たち
          11本
        • 珈琲
          6本

        記事

          足腰を鍛えるために古屋敷へ

          今年の夏は、あまりの暑さに屋内ばかりにいたので足腰が弱ってしまったような気がする。そこで、どこかに行って、無性に歩きたくなった。ただ歩くだけではつまらない。何かを見学したい。 そこで、霞ケ浦方面に向かったが、まず途中の旧玉造町で『大塲家郷士屋敷』を見学した。大塲家は代々、水戸藩の大山守を務め、20数ヶ村の藩有林を管理し、各村の庄屋の上に立って、勧農、年貢の徴収、訴訟、地域の治安維持など、水戸藩の出先機関のような役割を担っていた。また、水戸藩主や幕府の領内視察の際の宿泊地でも

          足腰を鍛えるために古屋敷へ

          週一日の珈琲マスター

          僕は週に一日のコーヒーマスターである(笑)。8年ぐらい前に、お隣の奥さんから、今まで空家だった古民家をお茶でも飲みながら本が読める場所にしたいので、僕にコーヒーを淹れてくれないかと言われた。僕も、「お茶を飲みながら静かに本が読める場所もいいかも」と思ったので引き受けることにした。もう、それから8年、真冬と真夏を除いて毎週一日、土曜日だけオープンして、自分で焙煎した豆でコーヒーを淹れている。 そのうち、いろいろな人が訪れるようになった。八郷にも個性ある人が多く住んでいるが、南

          週一日の珈琲マスター

          ALL ABOUT COFFEE

          昼食に何処かに行こうと小屋を出ようとしたら、郵便配達がウイリアム・H・ユーカーズの『ALL ABOUT COFFEE -コーヒーのすべて』(角川ソフィア文庫 2017)を届けてくれた。この本は以前から読みたいと思っていたが入手困難とかで、なかなか実現しなかったのだ。忘れかけていた今頃になって届いた。早速、昼食が済んでから、市立図書館に持ち込んで読み始めた。ここは冷房が効いているので(小屋にはクーラーがない)、僕の「夏の避難場所」である。「僕の書斎」と呼んでいる(笑)。 『A

          ALL ABOUT COFFEE

          雲が好きだ

          僕は子供の頃から雲を見るのが好きだった。小学校の帰り道、雲を眺めては、似ている動物を当てはめて遊んでいた。この歳になっても、相変わらず青空に浮かぶ雲を眺めるのがたまらなく好きだ。ふと見上げた空に美しい雲が浮かんでいるのを見つけると、実際に行ったこともないのに、「この雲は地中海の小さな漁村の空に浮かんでいたな〜」とか、「アメリカの草原のはるか遠くの地平線上にもあった」、「北欧の冷たい海の上に浮かんでいたな〜」などと思ってしまう。すると、今までのモヤモヤした重苦しい空気は一挙に軽

          雲が好きだ

          柳田國男自筆 『原本 遠野物語』

          先日(16日)、布川の「柳田國男公苑」を訪れたので、また彼の『遠野物語』をじっくりと読みたくなった。合わせて、最近、もっと自由にのびのびと万年筆で文字、特に漢字を書きたいと思っていた。昔の人は、速くスラスラと書くために行書や草書を日常的に使っていたのだろう。僕もそれを真似したくなって、テキストとなる本を探していた。 たまたま、この二つを同時に叶える本を見つけた。2022年に岩波書店から発行された原本遠野物語編集委員会編『柳田國男自筆 原本 遠野物語』である。これは柳田の「毛

          柳田國男自筆 『原本 遠野物語』

          「大人形」を見に

          小屋を東に少し走ると霞ケ浦が横たわり、それに接するように関川地区がある。関川地区は、主要道路や交通機関から離れ、都市の喧騒からも隔絶されて昔からの暮らしが静かに営まれている。  この関川地区では、江戸時代から地域の人々によって、毎年、盆明けの16日に「大人形」作りが続けられている。今年も行ったが、見たのは長者峰集落の一体のみで、代田集落は今年から作るのを止めたようだ。 集落の辻の角に、昨年のが朽ち果ててあった。この1年間、悪霊から集落を守ってくれたが、もう戦いに疲れ果てて、力

          「大人形」を見に

          柳田國男の少年期

          流山の自宅から八郷の山小屋へ戻る際に、東に大きく遠回りして、千葉県の布佐で利根川を渡り対岸の茨城県の利根町布川へ出た。ここは、僕が尊敬する柳田國男が多感な少年時代を過ごしたところである。彼は、明治二十年(1887)に兵庫県神崎町から、長兄の鼎(かなえ)を頼って家族から離れて一人でこの地にやってきた。すでに兄は布川の小川家の離れで医院を開業していた。この時、柳田國男は13歳。その頃の肖像写真を地元の「歴史民俗資料館」で見たが、その真っ直ぐに正面を向いた利発そうな眼差しと意志が強

          柳田國男の少年期

          川魚専門店 『川せみ』

          田舎を走っていて、ふと、この道は、昔通ったことがあるかもと思った。昔とは4、50年ほど前の昔。まだ、息子が幼い頃、家族で宇都宮のおばあちゃんの家に行くのに何度か通った。 しばらくしたら「川魚専門店『川せみ』」の看板が現れた。これを見て、「間違いなく昔通った道だ」と確信した。当時、街を抜けた田んぼの中に、一軒だけポツリと小さな店があったのを覚えている。手前には川が流れている。店の名前が『川せみ』というのも印象深かった。場所と生業を上手く表している良い店名だと感心した。 懐かし

          川魚専門店 『川せみ』

          小さな驚き 二つ

          少し行った先に、「宮山」という周囲を田んぼで囲まれた島みたいなところがある。ほぼ全域が公園になっていて、南端には農産物直売所と「宮山観音堂」がある。観音堂の裏には5世紀早期の「宮山観音古墳」という前方後円墳がある。それを横切るように北に向かって鹿島神社の参道が伸びている。まず、僕が驚いたのは、その鹿島神社の裏手の小高い山頂(標高48m)にある「宮山石倉遺跡」である。 宮山石倉遺跡は、南北7m(?)、東西30mの範囲で山頂に花崗岩の巨石が積み上げられた状態である。「宮山」の周

          小さな驚き 二つ

          真夏のマルシェ

          神社前の広場で、小さなマルシェが開かれた。 強烈な真夏の光と子供たちの悲鳴が、 僕の憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれた。 ありがとう マルシェ!

          真夏のマルシェ

          コーヒーの完全自家調達を目指して

          約三年ほど前、小屋の部屋に緑が欲しくて小さなコーヒーの鉢を300円で買ってきて窓際に置いた。その後、コーヒーの木は冬の寒さにも耐えて、ぐんぐん大きく育ち、今では高さが1メートルにもなった。四季を通して、みずみずしい濃緑の葉を繁らせている。喜んでいるのは僕だけではない。雨蛙もすっかり葉の上が気に入ったようだ。 コーヒーの木が、僕のところに来るまでには長〜い歴史がある(笑)。 コーヒーは、少なくとも千年前にはアフリカのエチオピア周辺で発見されていたと言われている。それが奴隷によ

          コーヒーの完全自家調達を目指して

          夜刀神に会いに

          『常陸風土記』の行方郡の段に、角を生やした蛇体の神の話が出てくる。その遺称地とされる夜刀神社と椎井池に行ってきた。神社は小高い丘の上にあった。丘の下は谷になっていて、そこに椎井池がある。池と言っても泉で、底からコンコンと澄んだ水が湧き出ている。少し先には木々に囲まれたどんよりとした沼がある。あたりは椎や白樫の巨木、竹、杉などが鬱蒼と繁って薄暗く、あまり気持ちの良いところではない。もちろん誰もいない。 この角を生やした蛇の神は、「夜刀神(やとのかみ)」と言って、その姿を「見る

          夜刀神に会いに