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こざき亜衣/あさひなぐ(17)

高校2年のインターハイ予選。
人生で一番幸せな時かもしれない。
まだ頼もしい先輩もいる。
憧れの目で見つめて来る後輩もいる。
いっちょやってやるかと、気持ちがはやる。
守るものはない。
湿っぽさともまだほど遠い。
あと1年ある。
今日、失敗したってやり直せる。
上り坂の途上、ただ上を向いて戦える時。

この舞台に立つまで、
チームは様々な修羅場を越えてきた。
その横に立つ見知らぬチームも、
もうすっかり顔見知りとなったライバルチームも、
それぞれの事情を抱え一堂に整列する。
1年生の時には知らなかった経験、
3年生が抱える悲壮感を感じることもできる。
自分たちも来年は。

何時間かののち、一斉に並んだ者たちは、
それぞれの家へえと帰っていく。
散り散りバラバラとなる。
勝者と敗者を分け、
ある場所では希望を打ち砕き、
あるところには歓喜を降らす。

静けさと昂奮。
同じ種目を目指す者たちの共感と対抗。
なんだか素敵だな。
高校生の大会が輝くのは、
時に終わりがあるからだと思う。
1年ごとに役割を変え、大きく成長する。
時の切なさがその姿を輝かせる。

さあ勝負!

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