こざき亜衣/あさひなぐ(23)
一度も負けられないトーナメント。
学生スポーツは一発勝負で、
負けたらそこで終わりとなる。
すべてがそうかと言うと、
実はそうでもなかったりする。
関東大会。
勝ち上がったといっても、
どこにもつながらない。
インターハイの出場権は、
大体の場合、都道府県予選で争われる。
同都道府県同士の戦いで、
都道府県予選と異なる結果になろうと、
インターハイに出場できるチームは覆らない。
勝利したからといって、
頂点というわけでもない。
同じ地域の仲間たち、
ちょっとしたら顔見知りもいる。
レベルの高い戦いでありながら、
ある意味、敗北を恐れず、
思う存分、自分の実力を試すことができる。
ある種の連帯感を覚えながら、
登って来た高みに感激する。
そして新たな高みを知る。
新たな戦いへの刺激を得る。
僕は愛知県出身だったので、
東海大会だった。
高校の授業を休んで参加した大会。
その華やかな雰囲気、
ふわふわした絨毯を歩いてるような感覚だった。
インターハイへの出場は、
残念なことに閉ざされていたので、
最後で最高の舞台だった。
勝負でありながら、
スポーツそのものを楽しむ。
そんな雰囲気がそこにはあった。
上につながらない大会、
運営には大変なことも多いだろうが、
そうした大会によって、
高校生たちは多くを学ぶと思う。