河合克敏/とめはねっ!鈴里高校書道部(9)
息があったコンビ。
そんな二人のやり取りを見ていると、
なんだかほっこりする。
思わず笑いがこぼれる。
それは分かっても、
そういう関係性を作るのは簡単じゃない。
阿吽の呼吸は、該当者の二人に、
同じ感覚の部分と
異なる感覚の部分が必要になる。
分かっていても、
生み出そうとすると難しい。
このマンガには
そうした関係性が幾つも登場する。
中でもいいなあと思うのは、
主人公の祖母と
その女学校時代の友人の二人の関係。
主人公の祖母が一方的に
追いかける関係だから、
友人とは呼べないかもしれない。
でも実は、
一方的に追いかけるってのは難しい。
受ける方があってこそ、
成立するものだ。
その押しと引きのバランスは絶妙。
だから続く。
離れていくように見えて、
離れすぎはしない。
完全には離れない。
そして同じ方向を見始めると、
たちまち二人の歩調はたちまち揃う。
二人は書道に熱中する。
女学校を卒業し、
二人はまた違う道を歩き始める。
その生き様・考え方は大きく異なる。
高校生の関係性だけでなく、
時を越えた二人の関係性が、
物語の奥行きを感じさせる。
縦と横に物語を広げる。