鯨統一郎/金閣寺は燃えているか? 文豪たちの怪しい宴
川端康成「雪国」
田山花袋「布団」
梶井基次郎「檸檬」
三島由紀夫「金閣寺」
日本文学史に名を残す名作。
古今の評論家によって評論され、
あらゆる方面から分析され尽くされ、
既に評価が定まった作品。
それが鯨統一郎にかかると、
まったく違う新しい一面を見せる。
「雪国」は怪談。
「布団」はラノベの祖。
ラノベ風にタイトルをつけると、
「文学少女の育て方」にニヤニヤさせられる。
同じく
「坊ちゃん」は「マドンナとテストと無鉄砲」
「痴人の愛」は「嘘つきナオミと壊れた譲治」
と、この遊び面白すぎる。
ちなみに「やはり俺は恥の多い人生を送っている」
というのもあり、太宰のあの名作だ。
「檸檬」では、
丸善の書棚に置いた檸檬は爆弾の象徴ではなく、
文壇に送り込んだ自分の著作「檸檬」を、
表しているという。
三島由紀夫「金閣寺」では、
三島の人生そのものが語られる。
三島が自死したのは、
「金閣寺」を完成させるためであり、
自衛隊市ヶ谷駐屯地に立てこもったのも、
政治活動ではなく芸術活動だという。
鯨統一郎のすごいところは、
本当にそうかもしれないと思わせる推理力。
疑問に感じられる点を突きつけられ、
仮説が積み上げられ、まんまと信じ込まされる。
このシリーズ面白い。