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こざき亜衣/あさひなぐ(14)

トーナメントを勝ち上がっていくと、
残りのメンバーは段々と少なくなる。
勝利を重ねれば重ねるほど、
高揚を覚え喜びが満ちる一方、
孤独感も増していく。
両側が谷底へと続く細い道を、
綱渡りのように歩いていく感覚。
誰もが助けてはくれない。
最後に頼りになるのは、自分だけの世界。
潔い一方で恐怖や不安も襲ってくる。

薙刀部に入部した時にはみそっかすだった、
主人公の東島旭は強くなる。
知らず知らずのうち、
ひとつずつひとつずつ階段を上り、
気がつくと無視できない存在にまで育つ。
誰よりもひたむきに薙刀に向き合い、
誰よりも努力を重ねた積み重ねが結実する。

先輩が勝ち上がる様子を見ていた時には、
皆でワイワイ楽しくしていればよかった。
勝てるわけないと、目の前の試合に臨み、
少しでも善戦すれば喜び、当然のように敗れて、
のほほんとしていればよかった。
トーナメントを勝ち上がるためには、
覚悟を決める必要がある。
仲間との楽しい時間を失う可能性もある。
高みを目指す者たちに挑み、
同じく孤高の道に歩を進める必要がある。

旭よ、さあどっちを選ぶ。
茨の道を行くか、楽しみの道を行くのか。

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