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こざき亜衣/あさひなぐ(21)
名言続出。
対話なのだ。いい試合というものは。
たった一瞬の”勝負の時”を、
二人で永遠に探し続ける。
心を読み合い、触り合う。
愛と敬意の行為なのだ。
まったく違うアプローチ、
正反対の場所からやってきた二人が出会う。
まるで違うルートを登って来た登山者のように、
頂上で二人は相まみえ、二人だけの会話をする。
二人だけの世界をぶつけ合う。
恋をすると、相手の心に触れたと思う瞬間がある。
それは幻かもしれない、
単なるセンチメンタルかもしれない。
それでもそう感じるものがある。
一人で生まれ一人で死んでいく、
そんな孤独さを独りじゃないと感じさせてくれる、
幸せで永遠の瞬間。
勝負の時にも、確かにそれがある。
そんな大事なこと、
オレなんかの前で決めちゃダメだぞ。
今、決めるなよ、絶対。
ダメ監督なのだ。
名前だけの顧問なのだ。
それでもいいこと言う。
言っていない言葉に真実がある。
仲間たちと決めろ。
仲間たちの前で決めろ。
仲間を信じろ。
自分を信じろ。
そして仲間たちはその想いをかなえてくれる。
”真剣”は、人を傷付ける。
覚悟のない人間に扱える代物じゃないわ。
勝負はいいだけのものじゃない。
その代償を求める。
心の触れ合いは、心を直に触るだけに繊細で、
時に大きく傷付ける。
取り返しのない致命傷を与える。
そのリスクを負う気持ちがある。
それだけの覚悟があるか。
それを乗り越えていく想いはあるか。
高速で走るF1マシンが、
パワフルで高性能な一方、
ちょっとしたバランスの乱れで
砕け散ってしまう危うさを持つように、
勝負の世界は歓喜の絶望の淵にある。