松田奈緒子/重版出来!(4)
人は他者の評価によって、
活かされもすれば死にもする。
誰かが期待してくれる、
自分のために時間を割いてくれる、
自分のことを気にしてくれる。
そうした誰かの行為が心を温かにしてくれるし、
背中を押してくれる。
辛いのは価値を無視されること、
軽んじられること。
いつもは他者への思い遣りに満ちた人も、
大変なこと、嬉しいことがあった時などは、
つい配慮が漏れる。
だから好事魔多しみたいなことが
起きるのかもしれない。
元々口が滑りがちな僕は、
よっぽど気をつける必要がある。
他者への敬意を失えば、
その態度は他者を傷つけやがて自分に返ってくる。
たとえ他者からしっぺ返しがなかったとしても
知らずないうちに心は荒むとも思う。
期待しない方がいいという考え方もあるだろう。
他者に期待した分、無視された時、
敬意のない態度を取られた時の衝撃は大きい。
ひとつに集中せず複数に分散しておけば、
ダメージも少なく済む。
けれど自分の想いを賭けた対象であれば、
期待せずには要られない。
だから皆、人間関係で悩むのかもしれない。
本気であればあるほど尚更に。