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松田奈緒子/重版出来(2)

仕事をしていて、プライベートの中で、
時代が変わったと感じることが多い。
特に人と人との関わり方の部分。
自分の弱いところ、恥ずかしいところをさらけ出し、
ドロドロになって向き合い、深い部分でつながる。
かつてはそれがいいとされたように思う。
スマートな人、洗練された人もいたけれど、
内側に抱えるものにこそ価値があった。

今はそうでない気がする。
互いの領域には踏み込まない。
ていねいに慎重に、回避する。
互いの価値観を尊重し、
間違っても相手を変えてやろうなんて思わない。
相手に深く関わることは、
時に傲慢で野蛮なことだと認識される。
ハラスメントしないよう、
表面的なすれ違いに留める。

この漫画は、まるで時代が遡ったようだ。
社員同士、編集者と作家・書店員、
恋人同士、家族関係。
濃い情念がほとばしる深い交流が次々起こる。
思わず胸が熱くなり、心揺さぶられる。
たぶん僕らはこうした交流を求めているのだと思う。
でも傷つかないように、傷つけないように、
普段はその想いに蓋をして過ごす。
どうなんだろう。
本当にそのままでいいんだろうか。

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